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百物語が終わる迄  作者: 藤田 一十三
第十巡 思い出
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第五十七話 岩田 自動ドア

本来相川の順番ですが、前巡時に立ち去りました。

 祖母が亡くなった時に、聞いた話です。

 入院設備のある病院って、急に容態が悪化した患者さんの家族とかのために、必ずどっかしら中に入れるところがあるじゃないですか?

 祖母が亡くなった病院は、正面に二枚の自動ドアと、一枚の手動ドアと、一枚の自動ドアがあって、そのうち、一枚の自動ドアが夜間も通れたんです。

 夜中に危篤だって連絡を受けて駆けつけたんだけど、うちは遠くてね。私は間に合わなかったんだけど、近くに住んでた叔母も間に合わなかったんだそうです。

 車で駆けつけて、その正面ドアの方へ向かったら、そのドアを通って出てきた人がいる。親戚の誰かかな? と思ったけど、 全然こちらを見ずにまっすぐ行っちゃったんで、違ったんだな、と思ってドアに近づいたら、またすぐ出てくる人がいた。

 先の人と一緒に行動している人だと思えたから、その出てくる人に道をゆずろうと避けて。待つのに、なんとなく先に出て行った人の方を振り返ったんだそうです。

 そうしたら、先に出て行った人が植栽の前からこっちを見て立っていた。叔母は「あっ!」て、声出して驚いたそうです。

 その人、その前の年に亡くなった祖母の妹さんだったそうなんです。

 お迎えか!? て。慌ててドアの方を振り返ったら、案の定、危篤のはずの祖母がドアを抜けてきたんだそうです。

 叔母を見て、微笑んで、それでも歩く速さを変えずに祖母は妹さんの方へと歩いて行ったそうです。

 姉が追いつくのを待っていた妹さんが再び背を向けて植栽にぶつかるように消えると、祖母もその後について消えてしまったんだそうです。

 病室に行ったら、祖母は息を引き取ったばかりだったそうです。

 ちゃんとお迎えが来たんだから、迷わず逝けただろうね、て。

 安心して、送ることができました。


 語り終えると、語り部は一本の蝋燭の火を消した。


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