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百物語が終わる迄  作者: 藤田 一十三
第十八巡 無題
131/143

第九十話 昴 鉄棒

 昔の合コン仲間に聞いた話です。

 今は合コン成功して結婚して、マンションが林立する街に住んでいるんです。マンションエリアに遊歩道とかあって、小学校なんかは車道通らずにマンションの間の遊歩道通っていけるんだそうですよ。ぐるっと数キロで一周できるから、住人の散歩コースでもある。

 で、ある日、朝早くに歩いていたら、小学校の鉄棒に人がぶらさがってたんだそうです。

 普通に、両手でね。

 ぶら下がり健康器ってのがむか~しあったそうだけど、本当に、ただぶら下がってたんだそうです。小学校の鉄棒は遊歩道沿いにあって、一番高いものは大人でも足が浮くくらい。その一番高いやつに、おじさんがぶらさがってる。

 一応、関係者以外立ち入り禁止ね。でもまあ、子供が飛び出さない程度の柵しかないので、入れちゃう。まだ登校時間にも早い時間だったそうです。

 そいつは結婚して太ってきたもんだから、ダイエットしようと出勤前に遊歩道をウオーキングすることにした。なので、ほぼ毎日歩く。

 そして、ほぼ毎日、そのぶら下がりおじさんを見ることになる。

 嫌な光景だなあと思いつつ、前を通っては一応確認してしまう。おじさんは、いつもただ前方だけをみつめてぶらさがってる。

 ようやく三キロばかりやせた頃、毎日の習慣で小学校の鉄棒に目を向けた元合コン仲間は、我が目を疑う光景に遭遇した、んだそうです。

 鉄棒に、いつものおじさんがぶらさがっている。

 でも、その日は、鉄棒の端の方に狭そうにぶら下がっている。

 何故かというと、鉄棒のど真ん中はすでにロープで首を吊っている先客がいたから。

 首、伸びちゃってたし、たった今というようには見えなかったので、仲間はそこで一一〇番したそうです。

 で、警察が来るまえに、おじさんはすとんと着陸して、すたすたと立ち去ってしまったんだそうだ。もちろん、警察にはそんな男がいたとは伝えたそうだけどね。

 さすがに、しばらくは行かなかったそうですよ。でも、体重が増えたので、再開することにした。

 そうしたら、やっぱり、おじさんがいる。

 おじさんが、小学校の一番高い鉄棒の、端っこの方にぶらさがっている。

 真ん中じゃない。

 何故か、ロープが真ん中にあったそうです。

 ちょうど、人の首サイズの輪を作ったロープが。

 小学校の鉄棒にそんなもんあったらダメじゃないですか。

 でも、通報するのもどうかと、ちょっと迷って、通りかかったよく顔を会わせる人をつかまえて相談してみた。

 すると、その人には、ロープは見えないと。

 おじさんしか見えないと。

 それで、通報するのはやめたそうです。

 そして、ウォーキングもやめたそうです。


 語り終えると、語り部は一本の蝋燭の火を消した。


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