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百物語が終わる迄  作者: 藤田 一十三
第十五巡 悪い霊
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第八十話 冬季 道に寝る人

 噂で聞いたことはあったんです。

 会社近くのスクランブル交差点で、いきなり、道で寝込む人がいるという話。二、三年前からあったらしいですね。

 体調不良とか酔っ払いとかでもなく、そういう病気でもないのに、何故か、寝る。

 同じ人が何回も繰り返すわけじゃなく、突然、誰かが、寝る。

いきなり前にいた人が寝たので躓いて転んだとか、交差点に倒れ込んでバイクにはねられたのを見たとか、何回も救急車が来てるとかね。

まあ、新手の都市伝説だと思っていたんですけど。

 行きあいました。

 スクランブル交差点の、反対側にいた人です。普通にサラリーマン、ネクタイにスーツで、ビジネスバッグ持って、生真面目そうな眼鏡の人。腕時計気にして、青に早くならないかなって感じで立っていたんですよ。

 その人が急に眠そうになって、カバンを抱きかかえて、一生懸命まばたきしているな、と思う間に膝をついて、そのまま前のめりに。

 周りの人も当然急病だと思って、声かけたりしているわけです。まあ、信号が青になったし、進行方向なので、私と同僚もそっちの方に渡って行きました。

 同僚が言うには、なんか憑いてる、と。

 私は今年の新入社員ですけど、その同僚は今年支店から転勤してきた人なんです。その同僚は、人より色がたくさん視えるらしくて、人の気配や感情の種類も目に視えるし、人から人へなんらかの感情が向かうのも視える。その人のものではない何かがまとわりついているのが色違いで視えるんだそうです。

 だから憑いてるって言うからには、何かくっついているんだろうなと思いましたが、まあ、命にかかわるわけでもないので、通りかかりにちょっかいをかけたりはしません。

 通行人が救急車呼んじゃってましたしね。

 またしばらくして、同じスクランブル交差点で、向かいで信号待ちしている同じ会社の人がね、似たような感じで眠りこけました。

 やっぱり隣りにいた同僚が、あれはこの間のと同じだな、と。

 今度はすぐ青になったし、同じ会社の人ですからね、二人で駆け付けました。近くにいた人が声かけたりしてくれていましたけど、同じ会社の者だからあとはこちらで、と、お礼を言って信号変わらないうちに行ってもらって。

 同僚が言うには、その人はいつもスケジュールぎっしりで走り回っている人だから、すぐ起こして仕事に行かせないと問題が起きるだろうと。

 なので、抱えていたカバンを同僚に取ってもらって、スマホをポケットとかにしまっていないか確認してもらってから、ぽん、とね。

肩を叩いてみたら、バチっと、特大の静電気みたいなのが弾けて、途端に、相手は目を覚ましました。

 同時に同僚が、あ、逃げた、と。

 視線が、それを追って。

 信号が赤に変わって新たに立ってる人に、また憑いた。で、また、ぱたんと。

 同じ会社の人はすぐに立ち上がって、信号待ちのうちにこちらの説明を聞いて、カバンを受け取るとすぐに急ぐんで、と、信号変わった途端に走って行っちゃいました。次に倒れた人は複数の友達と一緒だったので、私らは速やかに移動しましたよ。

 でもね、さすがに職場の近くなんで。

 御多忙な社員も犠牲になりかけましたからね、ちゃんと解決した方がいいってことになって。その後、ちゃんとお祓いされました。今はもう、起きてません。


 語り終えると、語り部は一本の蝋燭の火を消した。


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