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百物語が終わる迄  作者: 藤田 一十三
第十五巡 悪い霊
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第七十ハ話 冬沙 首吊りの木

 ママ友の実家の方に、首吊り神社と呼ばれる神社があるんだそうです。

もちろん、うちじゃないですよ?

 小さい地元の神社で、普段は無人。遊具が二つ三つ置かれているそうですが、子供が遊んでいるのは見たことがない。お賽銭箱はお社を囲う垣根と門の内側に手を伸ばして入れる形であったそうですが、たびたび門を壊されるので門を撤去、お賽銭は入れているのを目撃しても後日氏子さんが南京錠を開けてみても空っぽで、ガムが内側にくっついていたりする、そんな神社だそうです。

 ちゃんと年に一度は地域の人が集まって、お神輿が練り歩くようなお祭りをしていたそうなんですが、何年か前から規模が縮小されて、今では神主さんを呼んでお社の前で神事を行うだけになったそうです。

 そんな風になって一年後ぐらいに、神社の敷地内の木で首吊りが発生したんだそうです。

 なにせ小さい神社なので、鎮守の森もなく、神社を囲むように十本ほどの木が生えているだけだったそうで、その中でも一抱えほどもある大きな木に、ぶら下がっていたのだそうです。

 平和な田舎町でね。そうなると、界隈にそんなことがあったと広まるわけです。普段ほとんど人が通らないのに、連日、車で通りかかってスピードを落としたり、犬の散歩ルートを変えたりして、見物人が通りかかるようになったそうです。しばらくの間ですけどね。

 落ち着いて数か月経ったころ、また同じ木に、人がぶらさがったそうです。

 同様に通りかかる程度の見物人が続いて、それがまた落ち着いた頃に、新たにまた人がぶらさがる。

同じ木にです。

 三人続いたところで、使われた枝は切り落とされたそうです。

 けれど、別の枝にまたぶらさがった。

  二人続いて、とうとう、その木は根本から切り倒されたそうです。

今は、別の木にぶらさがるようになったそうですよ。警察も巡回ルートに入れているそうですけどね。

面白半分に、死の現場に近づいてはいけません。


 語り終えると、語り部は一本の蝋燭の火を消した。


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