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百物語が終わる迄  作者: 藤田 一十三
第十三巡 名残り
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第七十話 冬季 曇り

神谷冬季。1~2日目から継続。3日目人員変更に伴い「神谷姓」が二人になったので、タイトルでは「神谷」から「冬季」に変更します。貴重な10代の時に4年間も神道系修験道者の元で修業していた。視えるし祓えるけど物理的には非力な人です。

 毎日のように乗る電車だと、だいたい同じ辺りに乗るじゃないですか。周りの人もなんとなく見たことある人だったりする。私は乗り換え一回でその前後は二、三駅ずつなんで、たいてい電車には立って乗っています。

 先日も、帰りにだいたいいつもの辺りに乗ったわけです。乗り換え後の電車ですね。時間はいつも同じってわけじゃないですけど、その日もたまに見かける人が幾人かいる感じでした。前に座っている人もそうでした。それでその日は、前に座っていた人の後ろのガラスが曇っていて、なんか、人型に見えたんですよね。

 まあ、冬場はね、よくあることです。結露だので窓が曇るから、そんな形で見えやすくなる。でも、夏なんですよね。

 前に座っていたのは、若い女の人で、時々見かけてはいたんですけど、その日は少し雰囲気が違っていました。

喪服だったんです。

 また、数日後に、同じ人が前に座っていて。やっぱり、後ろの窓が曇ってて。

 人型が、前よりはっきり曇って映っていて。ちょっと手で拭えば消えちゃうようなもんです、しょせん窓の曇りですからね。けど、そこに、若い男性の陰影があるわけですよ。

 座席に座る彼女と深い関係だった彼なんでしょうね。喪服だったのは彼のお葬式の時でしょう。

多分、亡くなった彼の意思ではなく、彼女の意思で、その場にあったように思えました。

 次に見た時には、僕にはもう、はっきり姿が見えて。

彼は、僕が気づいたことに気づいたようで。戸惑ったような表情で、僕と彼女の背中を見比べていました。

 僕は、以降は乗る車両を替えました。だから、その後のことは知りません。

 残された人の想いが大切なのもわかるんですけどね。

 でも、それで本当に、いいんでしょうかね。


 語り終えると、語り部は一本の蝋燭の火を消した。


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