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百物語が終わる迄  作者: 藤田 一十三
第十三巡 名残り
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第六十七話 昴 時計

一部メンバーが変更になりました。同じ苗字の人もいるので、タイトルに入る名前を姓名の名の方になります。

語り部一人目 森山昴(継続) 二人目 神谷冬沙(新規) 三人目 深見冬太(新規) 四人目 神谷冬季(継続) 五人目 宮内亜希(新規)

 うちの会社の、工場長に聞いた話です。

 奥さんのお父さん、お(しゅうと)さんですね。そのお舅さんがとても大切にしていた時計があって、亡くなった時に遺骨と一緒に骨壷に入れるか随分もめて、結局、形見分けとして娘である奥さんがもらったんだそうです。

 手巻き式で、お舅さんは夜寝る前に毎日巻いていたらしいんだけど、どのくらいのペースでどの程度巻けばいいのかはわからない。それで、使うつもりもなかったんで、箱に閉まって仏壇にあげておいたんだそうで。

 これが、四十九日の時、お寺に一緒に連れて行こうと仏壇から持ち出したら、まだ動いていたんだそうです。

 いくらなんでも、一ヶ月半も巻かないで正確な時間を刻んでいるはずないんですよね、手巻き式が。。

 それで、納骨の際に、その時計も一緒にお墓に入れることになったんだそうです。

納骨って、葬式終わってすぐするところもあれば、後日するところもあるそうですね。その奥さんの実家は、四十九日が過ぎて以降に納骨する風習だったそうで、四十九日をお寺でやって、その後、納骨することになった。

 先祖代々の墓って言っても先代がお墓を動かしていたんで、新しいお墓だったんだそうです。

 墓石の下に空間があって、棚があって、そこに骨壷を納める形。で、そこに、骨壷と、一ヵ月半も経ってから壷を開けるのは躊躇われたとかで別に時計を入れた箱を置いて納めたそうです。

 その六年後、跡を継いだお兄さんが事故で急死して、遺骨を墓に納めることになったんだそうです。

 納めようとしたら、時計の秒針を刻む音がする。墓石を動かした、中からね。

 恐る恐る時計の箱を開いたら、思ったとおり、時計が動いている。

 たとえ電池式だったって、六年も動いているはずないし、万が一ソーラー式だったとしても、陽の当たらない墓の中、 蓄電されるはずもない。

 多分、まだ、動いているだろうな、て、工場長は言っていました。

 次に誰が納まることになるかわからないけれど、墓石を動かせば、秒針が聞こえてくるだろう、て。

 お舅さん、あの世でも愛用の時計を使い続けているのかねえ。


 語り終えると、語り部は一本の蝋燭の火を消した。


ここから三巡百物語の予定です。

引き続き毎日22時更新を目指します。是非是非、ブックマークをお願いいたします。

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