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『不動産会社に新卒入社した俺が無職になるまで』

作者:α
スーツに高級時計、外車にお姉ちゃんとの飲み会。
絵に描いたような、
「カッコ良い社会人」――新卒の頃に憧れた煌びやかな世界。

ブラック?労働基準法?パワハラ?
関係ない。
夢を掴むためなら俺は何だってやる。

入社初日から昼夜を問わないチラシ配り、アポが取れるまで、受話器はガムテープで手に固定。

駅前で「家買いませんか!?」と叫ぶ広告塔になり、訪問営業では怒鳴られ門前払い。

不動産"営業"が何かもわからないまま、恥をかなぐり捨てて走り回った。

そして――たった"1案件"が、全てを変えた。

気づけば月間売上トップ。
自分では何をしたのかも分からないまま、ボーナス240万円。
その金は、高級時計やオーダースーツ等の高級品、飲み代へと消えていく。

「使った分、稼げばイイんだよ!」
カネは使わないと入って来ない、そう教わった。

次第に知恵がつき、客=カネ、如何に効率よく金を引っ張れるかが肝と学んだ。

宅建業法?そんなの知らねぇ。
自分さえ良けりゃ何でも良かった。
不動産屋は稼いでナンボ。

授かり婚をした妻とは口論ばかり、子供にも愛情が湧かず、家庭はギリギリでも、可愛い愛人が居ればどうでも良い。

それでも社会は動き続ける。
金利上昇、融資審査は厳格化。
買い顧客はこれまで通りの物件だと手が届かなくなり、売却依頼に群がる不動産屋たち。

買取再販在庫は捌けず、
かつての“イケイケ社長”は、
SNSの更新すら止まり――

ある日、海に浮かぶ遺体として発見された。

そして会社は倒産。
営業マンだった俺は、無職になった。

あの時、憧れていた“キラキラ”は、もう欠片も残っていない。

社会の現実に呑み込まれた再就職先を探す男の携帯に一本の着信が届く――


これは、不動産業界の光と闇、
“勢いだけの若者”が辿った、ひとつの物語。
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