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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
1."You walk down a stormy road and see the end of it."
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5."An Invitation to Hell"

 陽キャはすごい。

 新学期が始まりはや3日目の昼休み。

 知り合いが里香しかいない絶望的状態な僕はともかく、

 他はなんとなく大きなまとまりができてきている。


 出席番号エースこと、足立くんを中心とした1軍グループ。

 次に出席番号ワーストエースこと吉田くんを中心とした2軍グループ。

 さらに、原田くん率いるエセ陽キャグループ、

 そして、陰キャ同士が集まってできている小規模グループがちらほら、といった感じだ。


 女子は4〜5人程度のグループが3つ4つほどという感じだろうか。

 その中の一つに黒崎さんはいるわけだ。

 恋愛には割と強めの思想を持っていたが彼女は最初に、色々楽しみたいとか友達との時間を大事にしたいとか、そんな感じのことを言っていたのだ。


 男子のグループは主に、中学で仲が良かった人たちが「こいつ席近くて仲良くなったんだ〜」的なノリで連れてきた人たちを加えて作るグループなので、僕は呼ばれなかった。


 つまりはまぁ、孤立した。

 最後の砦である里香は黒崎さんのグループに溶け込んでいるためもうどうしようもない。

 やっぱ陽キャすげぇわ。


 本当にその一言に尽きる。

 里香の適応力には本当に感心する。

 僕はとりあえず、こうなることを予想して持ってきていたラノベを取り出して読み始める。

 最近アニメがかなりヒットしていた作品で、興味があったから買おうかと考えていたところ、和也が全巻一気買いしていたので和也が読み終えた巻から借りて読んでいる。


「ねぇ隼っちって今ぼっち?」

 15年の付き合いがある幼馴染から、デリカシーなどかけらもない言葉をかけられたところでしおりを挟み一度読書を中断する。

「まぁ、友達ができたらこうなってはないよな、とだけ。」

「なら食堂で一緒にご飯食べへん?なんか京都から来たのが私だけじゃなくて隼っちもって言ったら色々聞かれてさ〜話してくうちに彼氏かと思われてて………誤解解くの手伝って」

 そりゃあまぁ、遠回しに「あんたの彼女だと思われたくないからお前説明しろ」と言ってるようなもんだがその彼氏が僕ならそりゃそうだろう。


 ただ、「お弁当食べ終わったばっかなんよなぁ……」

 昼休みが始まった直後に一人で黙々と10分で食べ終わって次の授業の準備を終わらせている。

 暇だからラノベを読んでいるだけなので別に屋上に行くこと自体は構わないが一緒にご飯を食べるというのは難しい。


「はぁ……もういいから来て」

 少しキレ気味な里香に連れて行かれた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 うちの学校の食堂は割とメニューが充実している。

 唐揚げ、ハンバーグ、焼き魚、トンカツ、カレー、ラーメン、うどん、そば、コロッケ……などなどのメニューが充実しており、定食は全てワンコインで収まるというなかなかの良心的な値段設定。


 いろんなメニューが用意されているのだが、なんと弁当を持ってきている生徒にも食堂の席の利用を認めている。

 これにより弁当派と食堂派が一緒にご飯を食べられると言う親切設計。

 ただ、それが何も食べない僕に適用されるのかは怪しいのでコロッケを1つだけ買ってから、里香に案内された席に着く。


 食堂にいたのは4人。

「隼人く〜ん、さっきぶりだね」

 クラスの男子人気で言うとトップなのに彼氏ができるかどうかが危うい、黒崎さん。


「こいつもう弁当食べてるとかありえへんねんけど〜?」

 俺を連れてきたこの学校の関西弁担当、里香。


 あとはーーー見覚えのない人たちだろうか。


「あぁ、そっかあーしら面識無いのか。

 加藤愛香(かとうあいか)で〜す。あ、クラスでやった自己紹介覚えててくれたらやる必要もないだろうけどどうせあ〜ゆ〜ので覚えられる人って茉美みたいなとんでもないこと言い放った人ぐらいじゃん?」

 肩よりも長く伸びた金髪の、いかにもギャルと言わんばかりの格好をした彼女の発言にそんなことはないだろうと言おうとしたが案外その通りになっていることに気づき反論はやめておくことにした。


「とんでもないって、事実じゃん!」

 と黒崎さんが反論しているが実際否定はできない部分があると思う。


「私は佐々木彩葉(ささきいろは)

 里香の友達? 彼氏? よくわかんないけどとりあえずよろしくー」

 ツインテールに髪をまとめた少女はめんどくさそうに名乗り、スマホに視線を落とす。スマホの向きや位置を動かしまくっているのでおそらく自撮りするのにいい角度を探しているのだろう。


「ちょっと待って……今いいとこなの。

 あと少しで……なんて言ったら君が困惑するかその答えが浮かびそうだから。あ、そうだ。

 私、高田伺奈(たかだうかな)です。宇宙人の末裔で、腕が時々タコみたいになります」

 と、明らかに今その場で考えた嘘をついた彼女には、

「騙されねぇよ!?」

 と思わずツッコんでしまった。



「あれ……つかみは失敗か。面白さに振りすぎた……?」

「中身の問題というか、もはや隠す気0なぐらいオープンだったけど?」


「で、自己紹介は終わり?

 ていうか隼っちが誤解解いてくれればそれで十分なんだけど」

「「「「じゃあ質問コーナー開始!!」」」」


 あちらからすれば楽しい時間(コイバナ)なのかもしれないが、

 こちらからすればそれは地獄の時間(コイバナ)なのだ。







第5話「地獄への招待」



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