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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
1."You walk down a stormy road and see the end of it."
6/44

2."Stormy new life"

「じゃ、みんなとりあえず適当に自己紹介からしてもらおうか〜……じゃあ出席番号1番の足立から順番に行こうか」


 先生に一番で指名された足立くんは、「あぁやっぱりかぁ俺"あ"から名前始まるから薄々わかってたけどさぁ……」とぼやきながら立ち上がり、自己紹介を始める。


「えぇ……1年2組の出席番号トップバッター、足立隆(あだちたかし)です。

 趣味はスポーツ観戦。部活は……中学ではサッカーやってました。高校で続けるかは微妙ですけど何かしら部活には入るつもりです。運動部で何かこれは入りてぇなって思ってる部活あれば誘ってください。

 とりあえず1年間よろしく。来年も一緒になれたらいいな〜って思います………ってのはまだ早いか?」

 本当に、お手本のような自己紹介を見せてくれた。

 これで一気にハードルが上がること間違いなしだ。


 こういう自己紹介のお約束として、初手からハードルを上げた後陰キャが一気にガクッと質を下げるのがテンプレだ。

 ハードルを上げず、かといって質を下げないような自己紹介ができればいいのだが。

 そんな事を言っている間に違う人が自己紹介を始めた。

「1年2組の出席番号、女子ではトップバッターです。

 井口沙也加(いぐちさやか)です。中学は女子テニス部でしたが高校でどうするかは未定です。

 趣味は音楽を聞くことです。おすすめとかあったら教えてください。

 1年間よろしくお願いします」


 今回はぼちぼちな感じの自己紹介だった。

 その後も自己紹介がいい感じに続いていき、黒崎さんの番になった。

黒崎茉美(くろさきまみ)です。

 高校生活、青春、色々楽しみたいと思ってます。

 ただ、部活には入らないと思います。友達と遊べる時間を大事にできたらなと思います。

 1年間よろしくお願いします。

 あ、恋愛には興味ありますけどヤリ●ンには興味ないんでそういう人たちはマジで話しかけにこないでください。以上です」


 ーーすっごいのぶっ込んできたぁぁぁ

 高校生の恋愛って、純愛がゼロとまでは思っていないがそこまで多いわけではないだろう。

 僕は夏菜子をそういう目で見たことは無かったし(デートをしたこともなかったけど)、純愛だったと僕は思っているが、思春期男子って純愛だけで恋愛しているわけではないと思う。さっきのエセ陽キャたちは今もうありえないぐらいに青ざめているが、下心を持っている男はもうそれだけでフラれるというのならばもう「私、絶対誰とも付き合わないので」と言ってるのと変わらない気がする。


 空気がすごく重くなった。

 このあと僕の自己紹介するのは非常にキツい。

 しかも黒崎さんはこのあと僕がどんな行動に出るのか好奇の視線を向けてきている。

 多分この状況を楽しんでる。


「えぇと、小林隼人(こばやしはやと)です。

 部活に入る予定はありません。

 学校生活みんなでワイワイ楽しめたらいいなと思います。文化祭とか体育祭とかみんなで楽しみたいです。

 1年間よろしくお願いします」

 ちょっと自己主張薄めな気はするが、この重苦しい空気ならそれも仕方ないと思われるレベルだろう。

 ーーいや、ちょっと陰キャくさかったか?

 まぁ少なくともヤリ●ンだとは思われていないだろう。恋愛には無縁そうな人間に見えているだろう。


 と思っていた矢先、「ねぇ、隼人くんってもしかして里香と付き合ってたりするの?」

「へ!? いや……そんなんじゃないけど……マジでただの隣人……っていうとよそよそしすぎるのか?」

 いきなりとんでもない質問をぶっ込んでくる。これが陽キャなのか?

 人との関わりが極端に少ないからわからない……


「えぇ〜里香が結構仲良さげに話してたからてっきりもう付き合ってるのかと」

「まぁ中学の頃も他の男子に比べて仲が良かったとは思うよ?幼稚園に入る前からの付き合いだし。

 でもまぁ、なんていうか。それだけ長い間友達でいるとなぁ、恋愛対象には見えなくなるんだよなぁ……」

 里香は割と男友達的ノリだったような気もするし、ずっと一緒にいたからこそ彼女として過ごす未来が見えない。


「まぁそれに、恋愛はもういいかな……苦い思い出があるから……」

「何?告ってフラれた?」

 フラれた前提なのが引っかかるが、自分から告白したような覚えはない。


「いや、彼女とね……」

「え!?彼女?里香?フラれたにしては今も仲良いね?」

 だからなぜフラれた前提なのか。

 それに里香との関係についてはさっき伝えたばかりだと思うのだが。


「いや、里香ではないし。別れたんだけどね?」

「フラれたかぁ……何したの?」

「なんでさっきから全部フラれた前提!? お互い愛し合ってたんだけどね……まぁ色々あって……」

 僕の顔を見て、探らない方がいいと察してくれたのかそれ以上黒崎さんは何も詮索してこなかった。


「お互い愛し合ってた、かぁ……恋愛はもういい、ねぇ……」

「ん、なんて?」

 僕の問いかけに黒崎さんは「ううん。なんでもない」

 とにこやかに笑ったのであった。



第2話「嵐のような新生活」



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