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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
3."Sealing the creaking heart on the road to turn back."

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13."Jackpot Sad Boy Ⅴ"

VIPルームは、1回の賭けに最低でも500チップ賭けなければならない。

このスロットも同じだ。

500チップで一回転。大当たりは500万チップ。

しかしここはVIPルームなので当選時のチップは倍になるので1000万チップだ。


VIPルームの外の台なら細々した当たりもあるのだが、VIPルームだけはそうもいかない。1000万が当たるか当たらないかだ。


僕の持ちチップは8300。16回しか回せないし、それだけのチップでチャンスタイムまでいけるかどうかすら怪しいのだ。

和也は30回回せる。この時点でかなりのハンデを背負わされている、と思った。


2台あるスロットのうち、1台がチャンスタイム中だった。

おそらく誰かがここで打ちながらチャンスタイムになって、あと少しで連チャンだからとか言ってたら金が尽きたのだろう。

「あー、清水とかいうやつがそこで全財産スってたからな。

隼人そこ使っていいよ。隼人の友達が当てたんやしさ」


…………あいつ、だからVIPルーム来なかったのか。

いや、来れなかったのか。


 え、じゃあ俺のチップ渡したの意味なかったんじゃ………

 タキシードもそりゃ僕に「アホかこいつ正気じゃないやろ」みたいな目線向けてくるわ。

「隼人くん…………?」

「黒崎…………気持ちはわかるし、同じなんやけどさぁ……清水(アイツ)ならどうにかVIPルームに来る気せん?」


 清水のことだ。

 どうせ醜くもがいてVIPルームに帰ってきてタキシードの男に睨まれながら俺に勝負をしかけてくるだろう。

 そのためにまずは和也を倒す。

「黒崎……せっかく誘ってくれたのに悪いけど、今日はこのままずっとVIPルームから出んかもしれんわ

そうなったらごめんな?」


 黒崎に軽く手を振りスロット台に座ると、和也も足を動かし、隣の台に 座る。

「…………隼人、興奮してるな。こっちきてからやと珍しい関西弁やな」

「そりゃ気分も上がるわ

文化祭やで?ここにおるんが和也じゃなかったらよかったんやけどな」



 僕達の賭けが始まった。



 レバーを引き、スロットが回る。

 ボタンを押し、絵柄が止まる……外れだ。

「しっかし………チャンスタイム突入してるとはいえ、和也もとんでとなくカスな勝負しかけてくるよなぁ」

「と言うと?」


 レバーを引き、スロットが回る。

 ボタンを押し、絵柄が止まる……外れだ。

「とぼけんなよ和也…………チップにすげぇ差があるやろ?」

「俺なんかクソデカハンデ背負ってるしええやんか」


 レバーを引き、スロットが回る。

 ボタンを押し、絵柄が止まる……外れだ。

「お互いとんでもない運ゲーすぎるやろ……それこそブラックジャックとかポーカーとか……なんかあるやん」

「ルールあんまわからんし」


 レバーを引き、スロットが回る。

 ボタンを押し、絵柄が止まる……外れだ。

「え、まさかとは思うけど今の今までそのチップ全部スロットで………?」

「え?もちろんそうやけど」


 レバーを引き、スロットが回る。

 ボタンを押し、絵柄が止まる……外れだ。

「呆れた………」

「お、チャンスタイム来た!これでハンデ終了〜!

あとは隼人が当たり引かないこと祈って俺が当てるだけだなぁ」

「クソ親父………」


 ボタンを押し………絵柄が………止まり…………

『7』

「お?」

「そう当たるわけ……俺が何時間かけてこの額集めたか………」



 ボタンを押し………絵柄が………止まり…………

『7』

「お……ワンチャンあるかもなこれ………んで和也、パチカスじゃん」

「パチンコやからパチカスじゃないわ………スロッカスな?」



 ボタンを押し………絵柄が………止まり…………

『7』

「「はぁぁぁぁ!?」」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 テッテレテーテテテテーー、とけたたましい効果音の末、スロット台から大量のチップが流れ落ちてくる光景を後ろから見ていた(茉美)は、言葉を失い口をあんぐり開けていた。

 親子共々、状況を飲み込めていない様子であった。

 和也さんに至っては現実逃避をするかのように…………いや、現実逃避で今もなおスロットを回し続けているが何も当たらない。


 大当たり(スリーセブン)なんて、そんな簡単に出ていいものではないはずだ。

 ちなみに、今のところの持ちチップの差はどんどん広がっている。

 隼人くんが1000万5300チップを保有しているのに対して、和也さんは現在進行形でチップを溶かしている。

 しかも隼人くんは今連チャン中だ。

 現在進行形でチップが増えているため、グングンと差が広がる。


 7600チップにすら私は届いていないのに、その金額は今は端数なのだ。

 先程までの最高記録はおそらく和也さんの1万5000チップだろうから、余裕で1位だ。


 「流石に俺の負けや。隼人」

 そう言って和也さんは、チャンスタイムに入ったにも関わらず持ちチップが1万を切ったあたりでスロット台から離れる。

 チップを工面するためにゲームをしに、VIPルームの外行くのだろうと思ったが、VIPルームの中には居座っている。


 そしてその台に、入れ替わるようにして座ったのは…………

「よ、小林!」

「清水………やっぱりか!」

 一度VIPルームを追い出されたはずの清水だった。






第13話「ジャックポッドサッドボーイ Ⅴ」


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