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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
3."Sealing the creaking heart on the road to turn back."

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12."Jackpot Sad Boy Ⅳ"

「和也…………? こんなとこで何してるんよ」

「見りゃわかるやろ? 1位狙いや」

 和也は、祥子を差し置いて1人でギャンブルに勤しんでいたのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 和也は、僕にとって父親というには違和感のある人だ。

 別に血が繋がっていないわけではない。

 家庭環境も複雑ではない。


 ただ、あまりにも距離が近すぎる。

「隼人!!公式のツイート見た!?あれ神アプデすぎん!?」

「隼人ーカドショ行こうぜー!なんか俺の奢りでオリパとか買う?あ、ゲーセンが良ければそっちでもいいけど」

「隼人ーこのジムリーダー強くね?」

「隼人!レイド手伝ってくれん?」


 まるで、友達に接するようなノリだ。

 元々、僕も和也もポケ●ンが好きで、和也が持っている古いハードやソフトを借りて遊んだりしてたら和也が喜び意気投合。

 しかも、和也が昔やってたと聞いて僕が音ゲーにハマり和也も復帰。

 和也の今1番の趣味であるカードゲームには、和也のデッキを借りて出たショップ大会で優勝してしまったことをきっかけに僕も少し和也に付き合うようになった。


 そんなこんなで一緒になって遊んでいると、和也の見た目が若々しいこともあり、時々友達だと勘違いされたりもする。

 そんな和也は、正直親としてというより「よくいろんなもの奢ってくれて、趣味の合う友達」という認識が一番近い。まぁ、和也でなければたかることはしないのでそこは親としてみている部分かもしれない。


 和也はまぁ………ドがつくアホだ。

 つい最近まで、ヤギが本当に紙を食べると思い込んでいたのだ。

 料理上手な祥子が「私の料理なんて幼稚園児レベルやで?」と言っていた時も「いやいや、祥子ちゃんが幼稚園児なら俺5歳児やで?」などという意味のわからない返しをしていた。

 なんなら5歳児なら祥子よりハイレベルである可能性すらある。


 そんなアホさも、息子に対してありえないほどフレンドリーなのも、子供からすればいっぱい遊んでくれて優しくていい父親だ、というふうに解釈される大きな要因なのだろう。

 僕だって実際和也のことを舐めて邪険に扱うことも多いが、基本的に僕は和也をいい父親であると認識しているし、和也の事が家族として好きだ。


 きっと、他の家庭に比べてかなり仲が良い方だと思う。そう思うくらい親子関係は良好だ。

 ある意味では親友とも言える和也が、学校関係者ですらないのにうちの学校で1位を目指そうとしている。

そんなの見過ごせない。

 1位を目指しているのもそうだし、ここの学生としての意地というものだってある。


 ゲーセンのゲームのプレイスコアランキングを自分の名前で埋めたり、地元のカードショップの大会で根こそぎ賞をかっぱらったり、お祭りの屋台の金魚すくいでおっちゃんに「もうやめてくれ」と言わせたり、そんなのとはわけが違う。

…………いや、今回だけは迷惑行為ではないのでこれらよりは遥かにマシだが。


「でもよそ者には負けられへんわ。和也」

 僕の心に、完全に火がついた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 元より、和也も僕もカジノ上級者というわけではない。

 ブラックジャックやポーカーは、あくまで僕がルールを知っていて時々ディスコードで遊んでいたからだ。

 やっている時間の差というのもあり、僕はそれなりに順位は高かったが別に上手くはない。


 それに、和也のお小遣いの使い方は割と数百円単位くらいでなら察しているので、和也がギャンブルに手を出していなさそうなのもこれはまた事実だ。

 ちなみに和也の持っているチップは………1万5000。僕の目標も最高記録もゆうに上回っている数だ。


「もしかして今最高の記録持ってるんって………和也?」

「うん。文化祭を大人が大人気なく荒らしに来た」

「帰れ」


こうなったら意地でも和也を叩き潰して帰りたいところだが………

「隼人くん、お父さんどうやって倒すの?」

「あぁ…………和也、何で勝負する?」

 僕の問いかけに、VIPルームを見渡す和也。


 和也が考えた末に出した結論は、「スロットで」

「………は?」

 まさかのギャンブラー思考だった。





第12話「ジャックポッドサッドボーイ Ⅳ」



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