11.“Jackpot Sad Boy Ⅲ”
僕は150チップ……つまり勝った分全てを持ち上げ、一点狙いのストレートアップに賭けることにした。
12月生まれだから12、と言う安直な理由で今までの努力を無駄にする覚悟を決めた。
ディーラーがボールを落とし、運命のルーレットが回りだしたーー
ボールが落ちたのは…………まさかの1。
僕の持ちチップは5500にまで一気に増え、VIPルームに行けるようにもなった。
黒崎は225。
別に黒崎が弱いとかではない。自分で言うのもアレだが、38分の1を当てるなんてなかなかできる芸当ではないので真似してはいけないのだ。
5500もチップが集まって、富豪みたいに金の数を数えているとタキシードを来た生徒が話しかけてきた。
「お客様、こちらVIPカードでございます。
今すぐVIPルームにいらっしゃっても構いませんし、お連れ様がVIPになっていただくのをお待ちになる間ここで賭けを続けてくださっても問題ありませんが、どうなさいますか?」
ほんとにVIP待遇じゃん。
一応この人は先輩であるはずなんだが、めちゃくちゃ低姿勢だ。
その時、教室のドアをドンドンと叩く音が聞こえた。
「金なら払うからチップくれよーー!!」
「あなたなけなしの所持金500円でしょ」
「全財産払うから!!」
「だから500円でしょ?」
中々に金欠なクズ……清水が立っており、タキシードを来た男が追い出そうとしている。
500円ごときの賄賂でルールを捻じ曲げることはまぁなかなか難しいだろう。
「お兄さん、僕がアイツに500チップ渡しでもいいですか?」
タキシードの生徒は渋い顔をしながら
「本気ですか?」
と疑いの目を向けてくる。
まぁ確かにそうだろう。
本来ルール違反なのに、それを最初の金額の2.5倍の金額渡そうとしているのだ。
「ほら、これあげるから使い切るなよ? VIPルームで会いたいな」
それだけ言って僕は黒崎の元に戻る。
1500チップ以上が入室条件になっているVIPルームだが、VIPルームにも色々ルールがある。
VIPルームは1回ごとのベットで最低でも500チップベットしなくてはいけないうえに、持ってるチップが1500を切った時点でVIPカードのみならず、今後VIP関連の全ての権利を失うことになるのだ。
つまり最低チップだけで挑んで負けたら、場合二度とVIPルームで遊べなくなるかもしれないということだ。
なぜそんなルールがあるのかというと、VIPルームはベット条件が高い代わりに帰ってくるお金が通常の2倍。
つまりルーレットのストレートアップの場合本来が36倍なのでその2倍の72倍。
最低条件の500チップでも36000チップ返ってくることになるのだ。
「あと、追加で実は特典がありまして。
ベットが1500チップを超える賭けをするたびにハッピーターン3個か100ml缶のジュース1本をプレゼントしています」
「ハイリスクハイリターンなハッピーターンだな」
VIPルームに挑むには、まだ黒崎が条件を満たしていない。
僕1人で向かっても面白くないし、清水の行方を見届けたいのもある。
僕はそこから40分ほど、チップを増やしながら2人を見守ることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しばらくして、僕の持ちチップが8300を超えたあたりで、黒崎のチップは3200に到達。
清水も4000チップほど貯まっているようだ。
「清水ー! VIPルーム行く?」
「いや、後でいい。すぐ追いかけるからさ」
ニヤッと笑みを浮かべている清水だが、これはおそらくもっと貯めてからVIPルームで一気にかけて一発逆転とか狙ってるんだろう。
成功したら面白いが、どうせ失敗に終わる未来が見える。
VIPルームに入室した僕達は、タキシードの男たちに声をかけられる。
「VIPルームへのご入室は初めてですよね? このラックにかかっているタキシードから何か一つお好きなものをお選びください」
そう言われて見せられたラックには本当にいろんなタキシードが並んでいる。
どうやら借りていいらしい。雰囲気作りかな?
タキシードを借りてブラックジャックのテーブルに座った。
するとそこにいたのは………
「え?和也?」
第11話「ジャックポッドサッドボーイ Ⅲ」
木曜投稿できませんでした
来週もちょっと忙しいので休稿の可能性高いです




