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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
3."Sealing the creaking heart on the road to turn back."

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9.“Jackpot Sad Boy Ⅰ”

「まぁ……これは万人に通づる話だよ。

さっきも言ったけど多かれ少なかれ、他人には見せていない自分の姿というものはあるしね」

 引っかかったね、と言わんばかりの笑みで爆笑している由美を見て黒崎は大きくため息をつく。


 確かに、僕が溜め込んでいるものはある。

 それが、いつか僕に破滅をもたらすことも少し考えれば理解できる。

 むしろ破滅する未来のほうが自然に感じてしまうレベルのものだが、それを黒崎が支えるというのは正直よくわからなかった。


 文化祭の占い、という商売の都合上学生カップルが多く訪れることを考えた結果のビジネスなのかもしれない……というか由美の今までの話しぶりがすべてそういうシナリオならばこれもその一環と考えるのが良いだろう。

「まぁ、それが無難ですよね…………その水晶もどうせ演出でしょうし」

「え? 水晶どころか全部演出だしそれどころか全部ワンパターンのシナリオだから」

 ドヤ顔でそんな発言をする由美を見て呆れ果てた僕とは反対に、静かに怒りを募らせていたのは黒崎だった。


「由美姉ちゃん…………? これが全部シナリオで、ってことは私に言ったのも全部…………」

「うん! 嘘って言うと語弊あるけど占いとかではない」

 黒崎の顔は引きつっていて、清水と話していたときのような目で由美を見ていた。

 多分、キレている時はこんな感じなんだろう……ちょっとやらかしそうで怖い。


「黒崎…………落ち着いて?」

 そう言って宥めるも黒崎は少しずつ顔を赤くして、由美をジロっと睨んで飛びかかる。


 顔を赤くしながら由美に掴みかかろうとする黒崎を引き剥がし、「由美姉ちゃん殴らせて!」と黒崎に怒られながらもどうにかお店を出た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 次に行こうとしているお店はお化け屋敷だったのだが…………その道中で僕達は異質な光景を目にしたのだ。

 スーツを着たSPみたいな男の集団が……清水をカジノの店から追い出すように引っ張っていっている。


 よくよく考えたらそこまで異質でもないかもしれない。

「そ、そうだ!金払うからチップ俺にくれよ!」

「うちはあくまで金を賭けずに(・・・・・・)遊ぶから生徒指導部から許可が下りたんだ!

お前みたいなやつに金払われてチップ渡したら怒られるの俺達なんだよ!」


 確かここのカジノのお店は、全生徒の名簿を持ってきて入場と退場のタイミングで持ちチップを記録してくれるシステムだったと聞いた。

 最初の持ちチップを枯らしたらもう文化祭期間中二度と足を踏み入れられないこのカジノではいかにお金を増やすかの戦いが繰り広げられているらしい。


 金を賭けすぎて負ければ入ることすら許されなくなり、チマチマ賭けていってもお金は増えないし……よく考えられた面白い難易度だなとは思う。

 ブラックジャックやポーカーなら一時期"憩い村"で流行ったのでBOTを使ってかなりの頻度で遊んでいたので別にそこまで遊ぶのには困らない……とは思うが


「カジノかぁ」

「賭け事はねぇ確かに……って思うけど、嫌じゃなければ行ってみない?」

 由美に対するストレスを発散したいのと、清水に勝ちたい気持ちがあるのだろう。

 黒崎は絶対ギャンブルをさせてはいけないタイプの人間な気がする……そう思いながら僕達は店に入った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 店に入るとそこに広がっていたのはこだわられて装飾された黒い空間。

 各テーブルではディーラーや客が楽しげに賭けをしている光景が見える。

 最初の持ちチップは全員200。

 それを1500まで増やせたらVIPルームへ行けるシステムだ。


「VIP…‥敷居が高そうだけどまぁ……どうにかなるか」

 おそらくここにいるのはノリでやってきた陽キャばかりだ。

 別にイキるわけではないが僕はある程度立ち回り方はわかっているつもりだ。


「黒崎、勝負しようか」

「どっちが先に最高記録を塗り替えるか、ってこと?」

「当たり前。VIPルームで待ってるね」


 最高記録は8700チップ。

 それを超える、10000チップの獲得を目標に僕はカジノに入り浸ることにした。



第9話「ジャックポッドサッドボーイ Ⅰ」



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