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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
3."Sealing the creaking heart on the road to turn back."

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6."Dilemma"

"先輩"に頼まれたお遣いだが、お土産をしっかりと500の倍数に抑えた。

領収書もしっかり持って帰ってきているので"先輩"から余分にお金をもらうことはない。


……と、思ったのだが。

「ありがと。私が手汚さずに食べたいってことわかって持ってきてくれたんでしょ?

…………文化祭の射的でテディベアを女の子にプレゼントするなら目の前で取ったほうがいい気はするけどね?」

「いや、それは」

「私が外に出てくれないんだから不可抗力だろって?男なら無理矢理にでも連れ出しな?

まぁ私は連れ出されそうになったら君のことを刺してでも逃げるけど」

「矛盾してないか!?」


ふざけたことを言いながら、"先輩"は財布から小銭を取り出す。

本当に500円玉しか無い……まぁ、本来はそういう建前で僕に手数料でも払う気だったのだろう。

僕が使ったのは1000円。

なので500円玉を2枚……いや、1000円札があればそれで良いのだが………それだけ受け取ればいいはずなのだが、

僕が渡されたのは1000円札と500円だった。


「私が余分にお金を払わずにって考えてくれた心遣いは嬉しいんだけどね?

先輩が奢りたいとか、買ってあげたいとか言うなら基本的にそれに甘えたらいいんだよ〜? てか、先輩にカッコつけさせなさい」

最初は、いいこと言ってるお姉さんって感じがしたが、最後の台詞で台無しだ。

まぁ、こういう上司がいたら周りに好かれる(likeの方の意味で)んだろうな……とは思う。


「いや……でも……」

「これなら後輩くんが金額考えずに買ったほうが良かったじゃんなんか申し訳ない……って?

だから、私にカッコつけさせなさい」

仕方なく500円のお小遣いを僕は受け取ることにした。

まぁ、本当なら返した方が良いのでは?という思いもあるにはあるがもう気にしないことにした。


「ていうか、このテディベアどうやって取ったの? こういうのって取られないように性格悪い奴が考えてるんじゃないの?」

「まぁ、僕ひねくれてるんでそういう奴の思考も多少理解出来るんで」

気持ちがわかる、と思考や感情を理解できるのとは話が別だ。

何通り、とまでは言わないが人の性格にはある程度パターンがある。それこそ、『絶対クラスに1人はいるヤツあるある』みたいなのがある程度的を射ているはそういうことだと思う。


なので、「このパターンの人ってこういう事しがち」

「このパターンの人ってこういう事思いがち」

「このパターンの人ってこういう事考えがち」という読みもある程度は通用する。もちろん"先輩"ほど精度は高くないため失敗もある程度の確率である。


今回の読みが当たったのも、「学校だから流石に取る手段がないというのはマズいのではないか?」という条件があったからであり、それがなければ無策に散っていた可能性のほうが高い。


「あ〜そういう事か。トリックまではさすがに分からないけど手段は案外簡単に見つかったってとこまでは分かるよ」

「ほんとに、なんなんです?その能力は……」

よくよく考えれば、この能力以外にも気になる点はあるのだが……


ここにいる、"先輩"こと正体不明の引きこもりの美少女。お土産を要求する割には自分では外に出たくない。授業は受けていなさそうだし、謎部屋にコソコソ隠れて過ごしている。

それなら自宅にいればいいものを、最終下校ギリギリまで学校に居座っている。

詮索しないという約束とはいえ、かなり気になる人物ではある。

とか考えているとバレているのであろうが、僕が詮索してはいけないとわかっているうちは怒ったりはしないだろう。


「まぁ、気になるとは思うけど触れないでくれると助かるね」

「そんな感じでナチュラルに返してくるとは思ってましたよ。

まるで僕の心の声が完璧に読まれてるみたいで怖いですけど」

「そうかな? 完璧に読まれてるというより筒抜け、じゃないかな?」

「より怖いな!?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あ、そういえば……

明日は黒崎と1日過ごす約束だったし"先輩"にお土産買ってくるとかできないかもな………

謎部屋に来る暇はないと考えていいとは思うが、顔を出せたとしてもほんの少しだろうな。


「明日は友達と回るからほぼ顔出さないって?

まぁ、いいんじゃない? 後輩くんに友達がいるなら仲良くしてきな」

「"先輩"は明日……」

「準備期間中も言ったけど私は絶対外には出ないよ。

謎部屋……いや、トイレとかは行くから……旧校舎から私が出入りするのはこの学校の敷地から出入りする時だから」


せっかくの文化祭なんだし、なんて言い方をするつもりはないが。

僕も人のいる場所に行きたくないし、"小林隼人"という顔を被って生活するのもしんどいので文化祭を心の底から楽しむ、というほど楽しめていないと思う。


でもせめて外に出てみるだけでも……と"先輩"に言うのもそれはそれでどうかと思う。

いや、やめたほうがいいと思う。

「…………そうだね。後輩くん」

お土産を買ってきたので"先輩"がわざわざ外に出向く意味もなくなってしまった。

僕のように人の多いところが苦手なのか、はたまた謎部屋にとてつもない信頼を抱いておりそこから出るのが嫌なのか……

「……………」

そこを詮索するつもりはないので考えても無駄な話だが……

まぁ、"先輩"を無理矢理連れ出すなんて野暮な真似はしないでおく。

"先輩"が僕に思いやりを持って接してくれるように、僕だって"先輩"のことは思いやるべきである。


「優しいね〜後輩くんは。

モテるよ〜女の子のことを気にかけて優しくしてあげられる男はさ」

少なくとも、いじめといい、"悟の時"といい、"あの日"といい…ろ…モテてたらこうはならないとすら思えるような生き方をしてきていると自覚しているのだが……

「影でモテてるタイプっているでしょ?」

より納得できなかった。






第6話「葛藤」



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