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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
3."Sealing the creaking heart on the road to turn back."

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36/47

3."a salesclerk"

 

 文化祭当日。

 いくら土日だからとはいえ、京都から東京はさすがに遠すぎるため………里香の両親も来れなかったのだが。

「よぉ、隼人! 里香!」

「隼人〜里香〜! いたいた〜!」


「和也……」

「祥子ちゃん……」

「「ノリが完全に友達すぎる!!」」

 家族間の仲がいいというのは良いことだと思う。

 そして、小林家と岸部家は世間に比べ家族仲は良いほうだと思う。


 僕と里香は親の仕事の都合等でお互いの家をかなりの頻度で行き来しているので僕もほぼ岸部家の一員で、里香もほぼ小林家の一員として扱われているレベルなのだが……

「改めて考えたら僕と和也の仲の良さって異常なんだよなぁ……

 ほぼ友達みたいなノリでゲーセンで音ゲーしたりアニメでもマンガでもラノベでもお互いオススメ貸したり……ゲームのマルチとかも割と頻繁に誘われるしなぁ……」


「一応人んちの親なのにちゃん呼びってなかなか珍しいんちゃうもしかして私ぐらいしかおらんとか無いよな……?」

 珍しいとは思うが……玲が夏菜子の母親を「詩穂ちゃん」と呼んでいたので居ないわけでは……ないはず。


「お帰りくださいませクソ野郎様」

「そんなに俺が来たのが嫌か!?」

『二度とキッチンに立つな』と褒めてもらえるレベルの料理の才能を持つ僕は厨房に立たせてもらえないので注文を聞く係に任命されたわけだが、関西人の血のせいでボケ倒す和也と割と天然な祥子の相手をしなければならないのが嫌すぎてこの2人の相手は里香に任せたかったのだが……


「トルネードポテト……?竜巻みたいに真ん中を開けて……筒みたいなってこと?」

「ここにサンプルがあるんやけどこういうの……」

 ちょっと惜しいんだよなぁ……悪気がないから責められないというのもかなりたちが悪いのだが……仕方ない。


「重音ポテト……どんな声出んの?」

「ポテトやっつってんねん重音テ●じゃない」

 確信犯にまともに対応してやる気はない。


「じゃあ振り振りポテトあるび……ある……炙りかぶり……炙りカルビ味」

「炙りカルビね。誰だよこんな読みにくいメニュー作ったやつ」

 これに関してはクラスのやつが悪い。

 メニュー監修も僕は関わっていないので僕も祥子も悪くない。

 てか……こうなることを考えてというかこれがやりたくて作っただろ絶対………


「重音ポテトSV」

「んな商品うちには置いてへんからもう帰れ」

 和也に重音ポテトは売ってやらなかった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 しばらくして一旦受付から離れて休憩しようとした時、お疲れ様〜と僕達を労ってくれたのは黒崎だった。

「里香は常に関西弁だけど……隼人くんの関西弁って初めて聞いたかも〜」

「まぁ、標準語で話すように心がけてるしね。周りに合わせたほうが話しやすいし」


「私からしてみれば隼っちが標準語で話してるんなんか気持ち悪いんやけどなぁ」

「関西弁の隼人くん面白かったよ。なんか親子漫才みたいな感じでさ?」

「親子漫才みたいって評価はギリ褒め言葉ではない気がするんだけど……」

 親子漫才というと、友達やクラスメイト、先輩がやっているからそこが面白いんであってネタが本当に面白いのは一握りな気がして(※ド偏見)僕は余り好きではないのだが………


「重音ポテトSVって注文は想像できなかったなぁ……

 リボン付きの型も作っとけば良かった〜」

「やらなくていい!和也の悪ノリに付き合う必要はない!」

 和也の悪ノリ……重音ポテトSVで済んだだけマシだろう。

 京都のゲーセンに行ったときにはハイスコアが表示されるアーケードゲームに片っ端から挑み、「今日の順位」に出てくる全てのスコアを和也の名前で埋めるという行為をノリで行い店を出禁にされた過去もある人間だ。


 そんな人間(バカ)に付き合っていてはキリがない。

 それだけ伝えて僕は仕事に戻った。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 昼休憩が終わり現在12時半。


 午後からは僕も一緒に回ってやるからと伝えて僕は店番をしている。和也と祥子は今頃お化け屋敷か何かの列に並んでいる頃だろう。

 和也と祥子は未だに夫婦仲が良すぎるので、時々外でイチャつきだすので迷惑をかけていないと良いが……

 里香は友達と回っているだろうし……まぁあいつは放っとけばいいか。


「昼挟んで3時までかぁ」

 今日僕がその時間まで店番をすれば今日も明日も店に僕が戻ることは無い。

 文化祭は6時半まであるし、なんなら明日は丸一日遊べる。

 原田くん達をはじめとするグループがシフトを組んでくれていてクラスの各メンバーに「この時間に働いてください」という紙を渡してくれている。


 僕は朝から3時までとなっているのでその時間まで店にいなければならない。

 昼休憩の直前に何人かメンバーが入れ替わっているがまぁそれはシフトの問題だろう。


 しかし、このご飯時にたくさんのお客さんが来ているということはやはり僕にとって苦痛でしか無くて………

 仕方ないと思う反面、頭痛からは免れなかった。

 まぁ準備をサボったのだからこれくらいは………


「あれ? 隼人くん午前も働いてたでしょ?」

 僕を見つけた黒崎が不思議そうに店に入ってくる。

「え? いや、午前がっていうかこの紙に最初から3時までって……」

「…………え? どういうこと?」





第3話「店番」



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