14."Let's enjoy the process."
「後輩くん、このボス倒すの手伝って。」
「そのボスは嫌いなんです。めんどくさいのでできれば二度と触りたくないです!」
「じゃあ……」
「"先輩"が倒せないボスって結構めんどいギミックボス多いんでやりたくありませんからね?」
僕達は自分で組み上げたゲーミングPCでゲームをしているわけだが……
ソファ、テレビ、PC、ラノベとマンガだらけの本棚……
前は殺風景で違和感があったが今はもうとうとう学校感が0になっていた。
「後輩くんは何してるの〜?」
「色違い厳選の続きです。ス●レしながらできるようにコントローラーに細工してあるので。」
僕はPCゲームはキーボードでやるのでコントローラーは空いている。
コントローラーの背面キーに、流れ動作を学習させているので1回押せば同じ動作を繰り返してくれる。
リセットが必要なら背面キーを押して、僕が触らず半自動で進められる。
「お、光った」
「後輩くん、寛いでるねぇ」
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「清水! そこのフィラメント取って!」
「はい! これね!」
俺は黒崎さんと一緒に情報科の教室にいる。
というのも、ポテトの型を作りたいと思ったはいいものの自分達にはプラスチックにしろ金属にしろ自分の思う形にする技術はない。
3Dプリンターを自由自在に操れるという人が黒崎さんの友達にいるので手を借りることにした。
「夏希ちゃん、これ作って〜」
「りょーかい!」
どうやら彼女……藤原夏希は黒崎さんと同じ中学だったらしくかなり親しげにしていた。
「ねぇ、茉美〜なんかすごくウキウキしてるよね?
なんかまるで、好きな人のために頑張ってる女の子みたいな目してるよ?」
「え!? いやいや、好きな人なんて……」
「その言い方が余計怪しんだけど〜? 茉美の好きな人とか気になるなぁ」
黒崎さんが好きな人、かぁ……
4月の自己紹介でとんでもない発言をした黒崎さんだが……
スタイルも顔立ちもいい美少女ということもあり、男子の恋バナでは真っ先に話に上がる女子ではある。
だがしかし、付き合えるかという問いに「YES」と回答した人なんて0だ。
もちろん黒崎さんを俺達が拒絶しているわけではなく、俺たちが拒絶されるのだ。
自分達は思春期の男子高校生だ。
胸や脚に目が行くことだって当然のようにあるし、いやらしいことを考えないといえば全くの嘘になる。
黒崎さんは、下心のある人と付き合いたくないと言っているのだからなかなか難しい話だ。
そんな黒崎さんが好き、と言えるような下心も何も無い聖人みたいな男がいるっていうのか……?
「友達のためではあるよ? その友達に喜んで欲しいって思ってるのも間違ってない。
でも私がその友達……隼人くんの事が好きってのは違うから!」
顔を真っ赤にして反論する黒崎さんだが……
「いやもうその反応が答えなんじゃ……グヴォア!!」
思いっきり顔面をグーで殴ってきた。
容赦も何もあったものではない。
黒崎さんが怒ってどこかへ行ってしまったのを見て藤原さんは少し笑みを隠しきれていれないような表情だった。
「恋する乙女を冷やかすのはダメ。
ただ、バレないように後ろからニヤニヤしながら見つめるのは私が許す。ていうか私もしたいし」
「いいよな〜カップルがひっつくのを見ながらニヤニヤするの」
俺の一言を聞いて、藤原さんは表情を変えこちらにやって来て鬼の形相で訴える。
「ダメ! 絶対にできる限りの間は片思いのままで見守るの!
絶対にまだ引っ付けたらダメ! リア充になったら私応援できなくなるしフラレたらフラレたで茉美が傷つくしいいことないの!」
コイツあれだ……なかなかにイカれてる。
「わかったわかった……黒崎さんと小林くんの関係見守るんだろ?
とりあえず……これからよろしく?」
「うん。よろしく」
今日から、俺と藤原さんの新しい日常が始まった。
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「完成〜!!」
3日間ほど試行錯誤を繰り返しやっとたどり着いた完成形。
これも好きな人……いや、小林くんのためだ。
「これ、小林くんに見せるの?」
「いや、試食会までは置いとこう。夏希ちゃんこれ預かっといてくれない?」
「いいけど……その試食会とかの前には取りにきなよ?」
「もちろん!」
大して大きな仕事をしたわけではない。
でもなぜかとても達成感がある。
「試食会、明日かぁ」
どうしても少しニヤニヤしてしまう。
なぜなら、うちのクラスの高嶺の花である黒崎茉美の好きな人がわかったのだから。
そしてそいつが、小林隼人だからというのもあるかもしれない。
「これはしばらく楽しめるぞ」
第14話「課程を楽しもうよ」
第2章「癒えない傷、新たな逃げ場、そして見つけた『同類』」完




