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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
2."Unhealed wounds, a new escape, and finding "the same kind.""

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27/47

9."purchase"



世間は今、ゴールデンウィークらしいですよ。

俺もR●UND1行こうかな………



「というわけで、今日から文化祭準備です!」

「買い出しリストは事前に決めた通りなんですが……

 じゃがいもは箱で学校に届いてます。あとで用務員室に取りに行ってください。

 カセット用のガスボンベ等その他雑多なものを買ってきてくれる人を私ともう1人……」


 清水と黒崎が仕切って、文化祭準備が始まった。

 買い出し……あ、買い出しなら外に抜け出せるのでは?

 どうせガヤガヤしだす教室に居残るぐらいならパシられたほうがかなりマシだ。


「あ、僕でいい?」

 手を挙げた僕を見て、「まぁ小林なら大丈夫だろ」と青山先生も認めてくれたので、僕たちは早速買い出しに行くことにした。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「隼人くんなら来てくれると思ってたけど、びっくりするぐらい計画通りすぎてびっくりなんだけど」

「まぁ、文化祭準備なんて騒がしくならないわけがないよね」

 正直買い出しに来たのはサボりの意味が大きい。


 買ってきてほしいものは黒崎がすでに聞いている。

 ねじねじしたポテト……じゃなくてトルネードポテトを刺す串、

 人の顔の形をしたポテト(正式名称不明)を作るための型、

 ポテト用の紙袋、

 一部のポテトで使うプラスチック製の透明パックなどなど……


 ホームセンターや100均ショップに行く予定だが、学校からは多少距離もあるし散歩がてらサボれるわけだ。

 まぁ、サボると言ってもジュースを買って座り込んだり、マク●ナルドに入ったりするわけではないのでセーフだ。

 それに、財布にはしっかりとポイントカードも入っているので……学校から預かっているお金(つまり出費なし)でポイントカードにポイントを……!!一石二鳥じゃん、と思ったのだが


「あ、聞いてなさそうだったからもっかい言ってあげるけど……

 学校の経費で落ちてるこの予算だけど、当然だけどレシート見せないといけなくて」

 まぁ、当たり前の話だ。

 多少ちょろまかしてもバレないと考える奴がいるからだろう。

「ポイントカードなんて使ったらレシートに書かれてバレるんだけど……『もし経費でポイントつけようもんならそのレシートの分は自腹で払わせるぞ』って青山先生が言ってたからね」


 あっぶねぇぇぇぇ!!

 と、危うく口にしかけた。

「じゃあポイント貯めたりできないのか……危うくポイントカードを無意識でレジの人に出すとこだった……

 まぁ、人の金だし仕方ないか」

 ガヤガヤした空気が苦手なのをもう知っている黒崎は、買い出しという仕事でも僕なら手伝ってくれると分かっていたのだ。

 買い出しはあまりやりたくないという人が多い一方(ただサボりたいだけのクズ男もいたにはいたが青山先生に断られていたらしい)、僕ならむしろ買い出しじゃないとまずいというレベルだ。


 お店に着きそうになったあたりで黒崎は突然、

「ただ無意味にカフェに入ったりするのはマズいけど、お店の中で商品を探すのに手間取ったら仕方ないよね〜」

 とぼやき出す。

 でもそれは何か考え事をしているようには……いや、悪巧みという意味ならどうだろうか。

 それは決して誰かを傷つけるためではなく、むしろ守るため。

 限りなく善に近い悪巧みだ。


 そしてこの状況で気遣う対象は、状況的に考えて僕しかいないだろう……というと自意識過剰感が否めなくなるが。

「黒崎……いいの?」

「文化祭準備は3時間あって、学校からお店への往復で30分ちょいは掛かって、お店の中で1時間ちょっといるぐらいならまぁ仕方ないよね。時間の半分買い出しになるけど、コ●ナンにあると思ってたのがなくてDAIS●に戻らないとかもだし〜」

 あくまで買い出しに手こずりそうなだけという姿勢は崩さずに僕のことを考えてくれている。

 僕の心理的負担を減らそうとしてくれているからこそなのだろう。


「ありがと。黒崎」

「え?いやいや、私が手こずりそうって話なんだけどな〜

 手助けして早く切り上げるか放置してグダグダ外で時間を潰すかは隼人くんに任せるってだけだし」

 あくまで、買い出しにてこずりそうなだけという姿勢は崩さないらしい。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さ、あと一つ見つけるだけだし……というかカゴには入れてないけど見つけてはあるから余裕で買い出しは終わるけど、少し話す? それともすぐに帰る?」

 ものの10分でほとんどの商品を回収し、かなりの量を入れたと思ったのだが、今回はお試しということで少しずつの購入にして、不便な点が見つかれば別のものに変えるらしい。

 そのためか、カゴの中身はそこまでパンパンではない。


「隼人くんはさ、文化祭楽しみなの?」

 黒崎は店の端の方に座り込んで僕に話しかけた。

「当日はともかく、準備期間はかなり憂鬱だね」


 文化祭当日、人は多いだろうし騒がしいだろうし……

 僕はさぞかし苦しむことだろう。

 だが、各場所が空いてそうな時間帯を縫って移動していくつもりではあるから全く楽しめないわけではないだろう。


 文化祭なんて中学校や小学校にはなかったものだからどんなものなんだろうという興味もある。

 だから少しは楽しみだ。


 ただ、準備過程も含めて"文化祭"だというなら話は別だ。

 前回の出し物決めの時は途中からいなかったからわからないが、学級内での話し合いの場が苦手な理由は騒音だけではない。

 多数決にしろ話し合いにしろ、没になった意見を支持していた側の人は多かれ少なかれ不満があるはずだ。

 その不満が大きい人間を中心に、全体の空気が話し合いが終わってしばらく経つまでギスギスし始めるという現象が時々起こるからだ。


 それに、今日みたいに毎日買い出しに来るわけではない。

 文化祭当日の2日前に串や袋などのまとめ買いに行くのは決定だが、「この商品だめだったから他のを試したい」という事例があっても追加の買い出しは2回あればいい方。

 まぁ、この先どう耐え忍ぶかは考えなければならない。



「準備が憂鬱ってなかなか珍しいね〜ああいう非日常が楽しいっていう人が多いのに」

 黒崎はそう言っているがきっとわかっている。

 だからか……いや、だからこそ彼女は僕に言った。

「しんどくなったら、逃げ出してもいいからさ。

 とりあえず頑張ってみよ?文化祭。私も手伝うし」


「うん………まぁ、頑張ってみる。」

 残り約2週間。

 "非日常"という現実はまだまだ僕に牙を剥く。







第9話「買い出し」



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