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これは人生の仮タイトル  作者: モ虐
2."Unhealed wounds, a new escape, and finding "the same kind.""

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8."inexpressible feeling"

 

「ふうぅぁぁぁ……」

 声にならない声を出しながら僕は椅子にもたれかかる。

 部屋で1人、パソコンに向かう。


 Disc●rdのメッセージは今日も0件。

 憩い村のメンバーとしか連絡してなかった僕はみんなから嫌われた瞬間にこうなる事は予測できた。


 僕が夜眠れない理由は、生活習慣としての癖以外にもう1つある。

 それは"あの日"のことを思い出してしまうから。


 僕が憩い村を追い出された"あの日"以来、僕はかなり無気力になった。

 今まで大好きだったゲームですら、モチベーションが無い。

 暇だからやる、ということはあっても「やりたい」と思うことは無くなってきた。

 アニメやマンガ、ラノベも好きだったが何を見てもあまり面白さを感じなくなってきた。



 今僕がこの部屋でしていることは"あの日"のつらい思い出を思い出しそうになった時に気を紛らわすため………とはいえ1mmも成功してないが。

 ただ寝ようとしても辛いだけなのに、何もしていないと今にも押しつぶされそうだ。目を瞑るだけだと本当に眠れない。

 だから何かしながら、寝落ちするまで起きていないと眠れない。


 ベッドで最後に寝たのなんていつだろう。

 "あの日"以来椅子の上でしか寝ていない気がする。


 ゴールデンウィークにポケ●ンを買ってきたのも、あくまで暇つぶし用だ。

 休みがあるのは嬉しいし、学校はめんどくさい。

 ただ家で何もしていないと夜と同じ状況になる。

 だから暇つぶしも兼ねて色違い厳選を始めただけだ。

 正直、里香にギラテ●ナを倒されたのなんてどうでもよかった。

 あの時は、ふざけんなとは思ったものの……和也の前で取り繕うのがめんどくさかっただけな気がする。

 でもまぁ、里香を痛めつけるという名目でしっかりいじめたのは少し楽しかった。


 最近心から楽しめたのはR●UND1に行った日くらいだ。

 最近というか"あの日"以来か。


 誰かに打ち明けようにも、"あの日"から2ヶ月以上が経過している。

 小林家(+里香)は、僕と夏菜子が付き合い始めた頃にその話はしていたし別れたことも知っている。

 ただ、"黒い感情"を隠してみんなの前では今まで通りの元気な"小林隼人"を演じていて、僕が"黒い感情"を抱えたことは知らず、僕の素を見せた人はまだいない。

 いや、今はどちらが素なのかわからない。


 今僕が演じている昔からの"小林隼人"が素なら、今は"黒い感情"に押しつぶされているせいで意識しないと素がでてこない、ということになる。

 しかし、それを素と呼ぶにはあまりにも不自然な気がする。

 今僕の中にある"黒い感情"が素なら、"小林隼人"という人間を演じることにより素を隠していることになっている。


 なんだかこっちのほうがしっくりくるが、長い時間僕の素だった"小林隼人"を塗り替えられているような今の状態だとどちらが素のかと問われても自分でも答えが出せない。

 ただ、今は少し考えただけで答えが出るほどのものではないことだけは確かだ。


 今は"小林隼人"を演じることができている。

 "黒い感情"と"小林隼人"を自分の意志で切り替えられるし自分1人で気が抜きたい時は"黒い感情"を表に出せる。

 ただ、外ではまだ出せない。

 里香や和也は僕が別れたことなど、ある程度のことの顛末は知っているが、今この話を打ち明けるには今更感が半端ない。

 ましてや、何も知らない黒崎達からすれば僕が突然こんな話を打ち明けたところでどうすればいいかわからないだろう。


 自殺願望があったあの頃と同等……いや、それ以上の精神的ストレスに耐えきれなくなっていてもうそろそろ何かが壊れそうで怖い。

 切り替えをコントロールできなくなれば、この"黒い感情"の動き方も変わってしまうかもしれない。

 どうなるかわからない、不確定要素なのがとても怖い。

 いや、怖すぎる。


 "黒い感情"に仮面で蓋をしているような現状では、そのハリボテを見破られたら、もしくはそれが壊れたら……

 自分がどうなるかわからない。

 憩い村に、夏菜子や玲、ノムラを始めとするネッ友達にいかに助けられていたかが分かる。


 黒崎に「恋愛はもういい」と言ったのも、今この状態では恋愛感情を抱くような心の余裕は存在しないからだ。

 そんな状態でたとえ告白されて付き合ったとして、相手に失礼な気しかしないからだ。



「今日は何時に寝落ちかなぁ……」

 心臓を鎖で縛られるような辛さに押しつぶされないように、僕はコントローラーを握った。





第8話「吐き出せない感情」



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