13."With you, it's fine."
来週からは日曜日も投稿する予定です。
週2投稿になってペースアップしつつも、1話あたりの文章量は極力保てるようにします
「あ、じゃあ私は先帰ってるで?」
里香が逃げていった。
里香は確実に分かっているだろうが、僕は小学校から中学校までいじめられ続けてきたクソ陰キャ。
一軍陽キャの美少女と話す機会なんて無かったわけで、どうすればいいのかなんて分からない。
それを見越して今日の仕返しとして逃げていったのだろう。
「……話?」
そう。黒崎さんは2人で話をしようと言った。
里香にも聞かれたくない話を僕にする………正直心当たりがないが、僕何かしちゃった感じか?
「あ、いや……そんな身構えないで?
そんな怖い話をしたいわけじゃないし」
何をやらかしたんだと焦り始めた僕を見て笑いながら黒崎さんは言う。
やはり僕は何もしてないらしい。
そりゃそうだろう。里香以外には怒られるようなことをした覚えはない。
里香は……うん。まぁこの件は後回しでいいか。
「いや、今日は里香に無理やり連れてこられたんでしょ?
ゴールデンウィークに隼人くんが引きこもりになっちゃうからって」
それは知ってたのか……ってことはさてはお金のことも………お金を僕が先に払って後から建て替えるっていう提案は里香がしたはずだからそれは知らないか。
「まぁ確かに、今日は出かけるから予定空けとけよって言われて無理やり連れてこられたよ」
ただ、正直このことに関しては迷惑とは1mmも思っていない。
友達と呼べる……否、呼べた存在は中学校の頃は僕が助けられなかった親友である悟と、元カノであり現在音信不通の夏菜子、「憩い村」の設立者である玲の3人だけ。
そいつらとこうして遊びに来ることもなかったし、今日は本当に楽しかったし、このことに関する不満は1mmもない。
「連れてこられたのは無理やりでも、僕は今日楽しかったし。
引きこもってないでこうやって外出て遊ぶのも………いいなって思えたし。あ、スポーツはもう嫌だけど……」
醜態を晒しまくった挙げ句自分で自分に絶望したレベルの運動神経を見せた僕はスポッチャとボウリングはお断りだ。
アハハ、と苦い笑みを浮かべながら黒崎さんも
「隼人くんああいうの苦手っぽかったしね」
と少し納得したように笑う。そして、
「男の子1人だったし結構肩身狭くなかった? あ………もしかしてあの中に好き人とかできたりした?」
「できてない。恋愛は当分したくないってば」
まぁでも確かに、陽キャに囲まれてのアウェイ感と混ざっていて忘れかけていたが男は僕だけだったな。
「男1人、ってとこよりも……みんな陽キャだから僕だけアウェイな感じかしなくも無かったけど……
でもみんな良くしてくれたからさ。東京きてぼっち覚悟で学校入った僕からしたらありがたい限りだよ」
何度も言うが、僕は今回の外出に対して不満も文句もない。
里香の金でしこたま遊び倒したのだ。
楽しかった。本当に。
「また行こうよ。次は夏休みかな……?テストが終わった後の週末なんかでもいいんじゃない?
R●UND1じゃなくてもいいし………それこそゲーセンでm●imaiでもやりに行こうよ」
楽しかっただけではない。
黒崎さんを音ゲーの世界に引きずり込んだのだ。
仲間ができただけでもかなりうれしいのだ。
「そうだね!
………ていうかテストかぁ………来週から2週間前とか考えたくもないな」
少し憂鬱な顔をする黒崎さんだがその顔はすぐに晴れ、
「じゃ、LI●E交換してくれない?
今日のメンバーでグループ作ろうと思ってるんだけど隼人くんだけ交換してないし」
確かに、ここ1ヶ月弱度々話す機会はあったものの連絡先はお互い知らなかった。
まぁ、今度音ゲーを一緒にやりに行こうとか誘い合うなら交換したほうが楽だし、今日のメンバーで集まる時にも話を進めやすいだろう。
「これでいい?」
黒崎さんが出してくれたコードを読み込んで友だちに追加しておく。
「ん、おっけーかな」
連絡先を交換しただけなのに異様に笑顔な黒崎さんは、
「じゃ、また明日に学校で! ゴールデンウイーク中だけど明日は休みじゃないしね?」
忘れてた現実を僕に突きつけてから、
「楽しめてたなら良かった。また連れ回してもいいよね?」
と笑顔で聞いてきた。
「もちろん。僕もテスト終わったらゲーセン連れてくし、黒崎さんもまた今度どっか連れ回してよ」
僕たちは約束し、解散した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
里香が涙目になりながら金の建て替えをしてくれて、「このクズ!外道!」と罵られ何発か殴られたあと、
僕は風呂に入り部屋着に着替え、いつでも寝られる準備を整えた上で、パソコンを置いているデスクの前に座り、ゲーミングチェアに背中を預ける。
「ふぅーー」
いつも、里香や和也、黒崎さん達の前で出している少し高めのふざけた声ではなく、普段の僕を知る人からすればありえない低さの地声。
「…………まだ、バレてないか。」
そう言って僕はまたため息をついた。
第13話「君となら大丈夫」
1章「荒れ果てた道の果てにあるものは」完
次週からは2章を投稿します




