運は気紛れ
「よっしゃあー!大勝じゃあ!」
意外や意外、師父と俺の予想は大いに外れてかれこれ3時間ぶっ通しで賽の目は美さんの思い通りに転がる。
「師父、なんか怖いくらい勝ち続けてませんか」
「うむ、、たまに本当に数十年に一度イカサマ無しで強運が奴に味方することがあるがまさかこの時だとは…」
はあ~そんなこともあるんだなあ大抵の場合調子に乗って素寒貧になるのがオチなのだが本日の美さんにはそんな気すら興らない。
「では師父との賭けは引き分けですねぇ…これじゃあ賭けにもならない」
「そうだな折角だそこの闘鶏でやらんか」
主にシャモ等の鶏を闘わせる賭博。
これがリアルポ◯モンバトルか!
「このブラックサンダーとチキン雅の二羽に人気がありますね悩むなあ…」
雅のにチキンて…いや、気高い鶏という意味か。
ブラックサンダーて、お菓子の方は最近めっきり減量されるわ高騰してるわで自分ではそんなに買わないなあ…
どの闘鶏券を買おうか悩んでいるとふと声をかけられた。
「おや?あんたも仙人かえ?」
声のする方へ振り返ると、ちっこい婆さまがおった。
「ええ、まだ新人ですが…」
「ほーう?しかし流れ出てくる仙氣はそれなりによう練られておる。」
「お褒めいただき誠にありがとうございます」
あれ?この婆さまよく視てみれば最近仙人界隈で手配書に載っていた酒仙では?
「もしかして…八酒仙のひとり、何仙姑さん?」
「お!!あたいの事を知っているとは見処あるのう!ふぉッふぉッふぉッ」
何仙姑 腰をふり相手を悩殺する女酒仙なんて酔拳で紹介されてたなあ…実在すると知ってはいたけれどまさか手配書を見た挙げ句目の前の婆さまがそうだというなら実在しちゃったねぇ…
「(こんな婆さまに悩殺されるのか?)」
「お?その目はあたいが腰をふり相手を悩殺する女酒仙とは思えんとみとるな?」
「…すみませんどうも腰ふりではない悩殺の仕方をしそうだなって」
失礼極まりない事を述べてしまったが見抜かれてはしゃあないと開き直ってみる。
そもそも酒仙とは酒に強い人を差すが、武術に長け仙人になるものもいる。
八仙、正しくは八酒仙。8人酒仙で酔拳の使いの猛者がいるから八仙なんだと。
付喪の名を、者と物を橋渡しする者の受け継いだ八仙と被るからややこしい。
「気にするな、この姿は云わば休刊日?といったところじゃろうか酒を…もう沢山飲んでも良いならそらもう、べっぴんしゃんな姿で悩殺できるんじゃよ?」
つまり健康維持?
「あんまし酔拳に頼るとなあ老いが速まるでなあ…」
そこには女酒仙…ひとりの乙女の悩みを垣間見たようだった。
「八仙、そろそろ決まったか…あ、、」
「ええ、チキン雅に賭けようかなとどうしましたか?」
師父を見やると背後から衝撃が首に伝わる
「~ッ!いきなり手刀しないでくださいよ!痛いなあ」
「外したか、、あたいも鈍ったねぇ」
殺意、確実に仕留めようとする黒き濁った眼これは殺る気満々…一応氣を纏っておこう。
「八仙、こいつは手配書に載っている酒仙の何仙姑だ惑わされぬよう氣を抜くなよ」
「ええ、何仙姑 さんだとは知っておりましたよ。しかし師父、この御方は何故に手配書に載っているんです?」
そう、下級仙人でお尋ね者になるのは珍しい事ではないが酒仙で酔拳使いのこの方がなにをして追われているのか知らない。
「ああそうか、手配書には捕縛と賞金の記載しかされていなかったな…この女は各国各地の酒場に赴いては己の技量でタダ酒かっ喰らい、挙げ句店の高価な酒を掻っ払う常習犯だ!」
「なんと…いくら酒仙(酒に強い)でもそれは立派なアルコール依存性じゃないですか」
* 呂洞賓 酔えば酔うほど内に力がみなぎる酒仙
* 鉄拐李 その片足におそるべき蹴りをひめた酒仙
* 漢鍾離 その腕に酒甕を抱いて身を守る酒仙
* 藍采和 腰を吸収してこれを打ち砕く酒仙
* 張果老 特に蹴りの連続に秀でた酒仙
* 曹国舅 必殺の絞め技を得意とする酒仙
* 韓湘子 吹く笛持て胸に一撃を加える酒仙
* 何仙姑 腰をふり相手を悩殺する女酒仙
八酒仙の皆様闘いでと飲むわけだし一人くらいアル中になってもおかしくはないか…
一昔前の酒なんて1口飲めば酩酊するくらい度数が高い酒が出回っていたしなぁ。
「まだ新人ではありますがいざ!」
「フフフッ!来い、小童ッ!」
わあ…いつの間に一升瓶飲み干してるしすんげえ美人だあ。
秒で悩殺されそう




