白い畜生の困り事
午前7時半を回る頃交通機関が電車やバスを利用する平日の人々は所属する各々の学舎や職場へと向かう。
え、俺?眠いから厠行って寝ようと思う。
突然寝る暇も与えられない生活が来るときもあるから…人里はまだ蒸し暑いけれど山の中は結構冷えるし冬眠に備え遅れた獣が脂肪を蓄えるために必死になっているから出来るだけ行きたくない。
コンッコンコンコンコンッ!
「!!うおっはーいどちら様ですか?」
宅配の方でたまーにこうして荒く叩いてくる業者もいるものでだいぶなれたけれども…何か頼んだっけ?というかまだ配送時間帯じゃない
「(…妙だな)」
無意識に応答してしまったがこの扉を開ける前に留まった。
警戒しながらも玄関越しで問いかける
「どちら様でしょうか?」
「…にゃーん!カリカリカリ」
え、猫?
「あ、開けるよ?ちょっと扉で爪研ぎしないで」
恐る恐る玄関を開けてみると白くてもっふもふな真っ白い猫が鎮座していた。
「にゃ~」
「か、、、KAWAI!!」
しかし、この辺で野良猫に出くわすのは珍しいそもそもここら辺人通り多い住宅街だしこんな堂々と俺の前に訪問してくるとは!
毛も綺麗で艶もあるし、迷い猫かな?
「ごめんようウチ、アパートだから飼えぬのよ…というか何処から来たんだい猫ちゃん?」
本当にアパートじゃなけりゃあ家に入れたのに取り敢えず近くの交番へ届に行きますか
「…すまん私だ。術を使ってみたら元に戻れなくなったのだ。」
「その声は師父?」
「うむ、喉元撫でられるの結構悪くないな」
おいおい…俺の癒しは面倒事に変わりましたね
「では、美さん辺りに協力して貰いましょうか」
その方が手っ取り早いよね午後に冬虫夏草の件での情報交換を茨城県の仙人の方々と近くの竹林でする予定だし。
「ならんよ八仙。彼奴だけは頼らんぞ…」
「何故です?美さんに弄られるのは何時もの事でしょうに。」
最終的には脱衣麻雀とかしてどんちゃん騒ぎで型がつくのが安易に想像できる。
「いや、彼奴に弄られるのは確かに何時も通りの流れと変わらんから良いんだがなその…この姿になったのはな暫く身を隠すためでな」
ん?師父が誰かに追われてるってこと?
「なんですかもしかして~まだあの女性関連でいざこざですか?」
モテる漢はツラいねコンチキショー
「違う…その件は片付いただろうがその、変化の術を使ってみたら元に戻れなくなったと先に述べたろ?それでな、元の姿に戻るにはこの姿のまま暫く氣を練らねばならんようなのだが」
「へーちゃんと元に戻れるのですか心配して損しましたよ~」
なんだただの氣の乱れ(バグ)って奴かあれ?追われてるってのは…
「師父?何処の誰に追われてるんですか?」
「お前ん処に居座っている小娘と人形達だよ!仕舞いにゃあ人形の持ち主の小娘に長船までも私を見るや否や撫でくり舞わされた挙げ句私を飼おうとしつこいッ!!」
「…東雲さん家にみんな今居ますからね何故其方の方へ?真っ先に美さんに会って元に戻して貰えば良かったのでは?」
そりゃあこんなにもふもふなら撫でくり舞わされますわなあ
「言ったろう?この姿は暫くすれば元へ戻せるわざわざ美にからかわれるくらいならこの姿で暫く徘徊がてら八仙の修行の情報を聞くために長船の処に行ってみたらそんな有り様よ。」
「そういえば師父に東雲さんの家を教えたの長船さんでしたね。で?俺、午後から美さんと茨城県の仙人の皆様と冬虫夏草談義で野草摘みも兼ねて近所の竹林で待ち合わせしているのですが師父も来ますか?此処に居てもさちえさんがマリアと全力で来そうですし外はまだ暑いですし。」
「…すまんが暫く匿ってくれんか?」
「承知しましたよさちえさん御一行には知らぬ存ぜぬで通します。あ、そういえばこの段ボール箱どうです?寝床に」
「…毛布も頼む。」
「イエッサー!」
喋る猫(師父)ゲッチュ!




