とある依頼
さて、ここ4日間俺は仕事に明け暮れていたのだが本日客人からとある依頼を承った。
「この妖刀の浄化ですか」
たまに顧客からお祓いの依頼も受けるのだが、今回はとあるご家庭にある軍刀の浄化の依頼である。
「ええ‥私の祖父が大東亜戦争で帯刀していた物なのですが、登録証を作って他者に譲ろうとするとその持ち主へ危害を加えるものでして、私らはこの刀は家に置いても処分に困っておりまして‥」
良くある事案だった、刀ってのは持ち主の魂なんて云われるくらいだ死して尚、執着してしまう程の業物なのだろう。
そうでなくても死線をくぐり抜けた愛刀をそこらの馬の骨に渡すわけにも如何せん‥。
「ふむ‥では私がお預かり致しましょう。」
薄緑の鞘はくたびれ、柄は何度も振られて何処ほつれた握り。
しかし刀身は怪しく雅に光っている。
さぞかし念入りに研がれたであろうか、何処に幾萬の人の血が錆びてこびりついているが‥
~自宅~
「ただいま戻りました」
そう言って玄関を開けるととても綺麗なキッチンが目に飛び込んだ。
「お帰りなさい八仙さん。‥どうです?私とマリアちゃんと台所をピカピカにしてみたのですが。」
そう、さちえさんと人形が垢一つ残さずに綺麗なキッチンに目をやる。
「‥感謝しかございません!!」
俺、俺は!暫くあの酒狂いが気紛れにつまみを作って放置されていた台所がピカピカになったのをみて、心から感謝と涙を流した。
「「イエーーイ!!」」
俺を見てこの二人はハイタッチしながら鼻歌を歌っている。
あれ、もう仲良くなったんだ!?
しかしおかげさまでこの妖刀浄化を優先して取り込める。
ふむ?妖刀は如何にして浄化させるかとな?
まあ、流派や地域によって変わりますがねぇ、俺の場合は付喪仙流であり物と者の橋渡しをモットーにした腐っても仙人なもので‥
「先ずは妖刀を酒で清めます。」
最近の酒は安酒でも上等な物が揃えられるので家計にも優しい‥
「そして、目釘を外しましてまあ、刀身だけ取り出します。」
それからまんべんなく血で汚れた刀身を清めては研いで、清めては研いでを繰り返す。
「さて、刀身の血錆びを取り除きましたら刀身は暫く白鞘に納め日出る方角へ刀代に掛け、奉ります。拵えや柄等は純白の包みに入れ、保管致します。」
こうして様子見ながら時折祝詞を唱えて酒や作物を奉納。
「そしてこの刀に込められた念が気持ち良く浄化するまで続ければ完結。」
因みに今回依頼を承った軍刀はなんだかんだ5日間で浄化された。
「ご依頼の妖刀は只の軍刀へ戻りました。持主の念も取り祓えましたので後の事は売るなり譲渡するなりしても何の問題も無いことでしょう。」
「有り難うございます!」
まあ、こんな感じで日銭を稼いでいるんですよ




