01:午後の『円卓』Ⅰ
2023年:全て書き直しました。
過去に書いた作品から一部キャラクターの名前など変更しています。
目次
01:午後の『円卓』Ⅰ
02:セフィリア・アストレア
03:トァザ
04:午後の『円卓』Ⅱ
05:アンダー・アーロン
06:開戦演説
07:第一戦
08:第二戦
09:ザルバニトー
10:午後の『円卓』Ⅲ
11:第三戦
12(終):ラザンノーチスの技巧士
13時。
私は眼鏡越しに懐中時計の針を睨み、ため息を吐いて胸元にぶら下げる。
「あぁ……まだお昼じゃん……」
眩しすぎる陽射しに目を細め、恨めしい顔つきで空を見上げる。
不貞腐れながら日光を浴びていると、いよいよ瞼が引き攣ってきた。あまり健康を省みない質だと自負しているが、せめて目の下のクマくらいは化粧で隠しておきべきだったと後悔する。
抜けるような青空は雲一つなく、太陽は少し傾いて額をじりじりと焼いている。
予報通りの真夏日だ。
ここしばらく不安定な空模様で蒸して仕方がなかったが、風もからりとして悪くない。
……なんてね。引きこもって白くなった肌は早くも痒みを帯びている。日傘を持ってくればよかった……いや、日傘なんて家にあったかな……。
カメラが、私の座る席を捉えた。
姿勢の悪い私の姿がモニターに映され、観客席からはざわめきが起きた。
聞こえないふりをする。
「あーぁ……」何度目かのため息。
せっかく珍しく早起きをしたのに、こんな日は市場にでも買い物に行きたい。
溜めてしまった洗濯物を片付けるのもいい。
普段なら絶対にしない部屋の片付けだってやるかもしれない。
ともあれ――それは叶わないのだ。
私は『円卓』の技巧整備士席で背凭れに身を預け、目を細めて空を睨んでいた。
こんなにいい天気なのに……。
こんなにいい天気なのに、私たちは戦争を始めようとしている。
「ばかみたい……」
ライトノベルのようなキャラクター設定、戦闘描写に力を入れてこの物語を書きました。
改稿前はセフィリアやそれぞれのキャラクターの過去や成長について描ききれなかったのですが、そのあたりも加筆して描写できたので満足です。
全体的にはとにかく格好良く、血沸き肉踊るライトノベルになるように頑張りました。
世界観設定も一応連載に耐えられる程度には練ったつもりですが、霊素や技巧の技術面はかなりふわふわしてるので、雰囲気で楽しんで頂けたら幸いです。