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プロローグ
「お前は本当に使えないな。余計なことするなよ」
憤りをこえて、呆れ顔で吐き捨てるように呟く上司。
親のコネでなんとか地方銀行に就職したものの、入社3年目になっても凡ミスばかり。周りからは厄介者扱いされ、とりあえず顧客に影響がでない内部書類の作成と処理を任されている。どうすればミスが減るのかも分からず、特に何も改善することもなく時間だけが過ぎていく日々。久しぶりにやる気が出たので、ミス防止のため書類のフォーマットを変えたところ、他部署からクレームが入ったのが事の顛末である。
衣食住を賄えるだけの収入がある分、全世界の半数以上の人間よりは確実に恵まれているのは分かるが、正直現状にはかなり不満があり、何も変えられない自分に嫌気がさす。かといって何か努力をする気もおきないので、アニメ鑑賞で現実逃避をしているのが実状である。ちなみに最近は異世界転生ものにハマっているがこれはやはり他力本願な願望によるものだろうか。
頭がおかしいと思われるだろうが、自分も異世界転生してみたい。死ねば、転生できるのだろうか。