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ナリタブライアンの生涯

 同年11月9日、11月16日にはそれぞれ京都競馬場、東京競馬場にて、引退式セレモニーが行われた。京都競馬場では菊花賞時につけていたゼッケン4を付け、東京競馬場では日本ダービー時のゼッケン17を付けて、その雄姿を観客席へと披露したナリブー。実はこの2場による引退式は日本競馬史上4頭目の事。その前に行われたのは、あのオグリキャップとスーパークリークの時にまで遡る。


 このようにして引退セレモニーまでしたナリブーであったが、これ以降も大久保氏は「復帰させたい」と語り、引退することに反対していた。しかしついぞその願いは叶うことなく、1997年に新冠町のCBスタッドにて種牡馬生活に入ることになった。このCBスタッドは、ナリブーの生まれ故郷である早田牧場傘下の種牡馬繁用牧場である。


 ナリブーは種牡馬になるとシンジゲートが組まれ、当時内国産馬では最高額の1株約3500万円という値段が付いた。

※作者のうろ覚えとなってしまうが、当時ナリブーの株は50~60株程度の物だったように記憶している。


 こうして種牡馬生活に入ったナリブーであったが、約1年後に悲劇が起こる。


 1998年、6月17日の事。この日昼までは、偶然にもCBスタッドを訪れていた山路氏と早田氏と共に、穏やかに過ごしていた。しかし夜になると一変。突然疝痛(※1)の症状が出始める。

 職員が急いで三石家畜医療センターにて診察を受けさせるが、なんとナリブーは腸閉塞を発症しており緊急の開腹手術が執り行われる事になった。この時の手術は無事に成功を修め、順調に回復する兆しを見せていた。

 


 しかしその約3か月後。9月26日に再び疝痛の症状が出る。同じく職員により三石家畜医療センターに運ばれ診察を受けたが、疝痛の症状が見えた時から50分足らずしか経っていなかったという状態にもかかわらず、すでにナリブーの胃が破裂していた。急ぎ開腹手術をしたが間に合わず、次日9月27日に安楽死の処置がとられた。


 三冠馬ナリタブライアン永眠。


 同日、ナリブーはCBスタッド内部の敷地内に関係者の手により埋葬された。同年10月2日には追悼式も行なわれている。この式には、ナリブーの死を聞きつけたファンも参列し、関係者・ファン併せて約500人の人々が参列した。


 こうして三冠馬ナリタブライアンの伝説は幕を閉じたのである。


 死後の1999年に栗東トレセン敷地内において、三冠馬という偉業を称えナリタブライアンの馬像が建立された。またCBスタッド内においてはナリタブライアンの使用していた馬房を「永久欠馬房にする」と、場長である佐々木氏は語っている。


 これほどの実績を残したナリタブライアンではあるが、現在はというと粗筋にも少し書いたが某ゲームとアニメのおかげか、ここにきてようやく陽の目を見ることが出来た感じがする。そしてなぜかその実績の割に人気が無いのが気になる。もしかしたら早世してしまったために、産駒数も活躍子孫もいないため、ファンからもすでに忘れられた存在になってしまっているのかと思うと、純粋なナリブーファンの一人としては少し……いやかなり寂しい。


 

 シャドーロールの怪物は、その輝かしい成績と共に、今もなおファンの心の中に三冠馬として生き続けている。


 ナリタブライアンに追悼の意を込めて。

 ここにこの物語を綴る。


お読み頂いた皆様に感謝を!!


これにて物語は終了となります。

お付き合いいただき感謝ですm(__)m


(※1)疝痛[せんつう]

腹痛の総称。症状とその原因はさまざま。多くは食べすぎや飲みすぎによる消化不良で起きることが多い。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ナリタブライアンの馬生を武 頼庵さまの豊富な知識と当時の記憶を絡め手綴られたとても素晴らしいお話(列伝)でした。 私はリアルタイムではナリタブライアンも見た事はないのですが、元々は兄がやっ…
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