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97.旅行での夜 前編


「ふぅ、気持ちよかったな!」

「あぁ、身体の疲れが取れた気ががするな」

「おや、二人とも」

「おう、華! ん、何かいい事あったか?」

「い、いや、なんでもないよ。それよりナイスタイミングだ。私も戻ろうと思ってたところだから一緒に行ってもいいか?」

「あぁ、もちろん」

「ありがとう」


 そうして三人で部屋へと戻る。晃ではないが、確かにさっきの白雪は頬が緩んでいた気がする。



 帰りがけに自販機で買った瓶の牛乳を部屋で飲んでいると、瑠璃、成実、それに香織さんもこちらの部屋に入ってきた。


「あっ、お兄ちゃんいいな〜」

「譲らないぞ? 自由に飲み物買っていいし、というかむしろ汗かいて脱水症状とかもまずいから喉乾いたら買いに行けよな」

「はーい。それじゃ戻ったばかりだけど買ってくるね!」

「あ、私も買いに行こうかな!」

「うんっ、一緒に行こ、成実さん!」

「私もついて行っていいかしら?」

「もちろん!」

「もちろんです!」


 そう言って戻ってきた三人は踵を返し、部屋の外の自販機へと買いに行った。




「ねぇ、プリン食べてもいい?」

「おっ、俺も食べようかな!」

「七時半には夕飯もあるけど、まぁ、一個くらいならいいか……」


 甘いものの誘惑には勝てない。気付けば全員がスプーン片手に、もう片手にはプリンを持っていた。


「ふふっ、全員だね。それじゃ、いただこうか」

「「「「「いただきます!」」」」」

「ん〜! 美味しい!」

「お風呂上がりの甘い物は最高だよっ!」

「美味い!」

「程よい弾力と口の中で広がる甘み……とても美味しいね」

「あぁ、トロトロのプリンも好きだが、固めもいいな……!」

「ふふっ、とても美味しいわね〜」


 各々が感想を抱きながらスプーンを動かしていく。俺と晃と香織さんが抹茶、成実と白雪と瑠璃は通常のプリンを食べている。


 ふと成実の方に視線を向けると、サッと逸らされた。と思ったらまた視線が戻ってきた。もしかして……


「……一口いるか?」

「え? あ、じゃあ、貰ってもいいかな?」

「あぁ」


 一瞬キョトンとしたから違うのかと思ったが、そういうことだったようだ。それに確か、彼女は抹茶プリンは買ってなかったような気がする。


「はい、あーん」

「あーん……ん! こっちも美味しいね!」

「あぁ、すごい美味いよな!」


 彼女と同じ気持ちを抱けてつい胸が弾む。風呂の前は色々意識したりしていたにもかかわらず、我ながら単純だとは思うが今が幸せならそれでもいいんじゃないかと思う。


「あ、友也くん。……はい、あーん」

「あ、あーん……おぉ、普通のも美味いな!」

「だよねだよね!」


 通常のプリンの方は俺も買っていたため一瞬迷ったが、せっかくの厚意なのだしいただかせてもらう。案の定、美味しい。普通や原点が一番などとはよく言うが、確かにそう思えるくらいには甘く、カラメルの苦味とも合わさって、なんとも言えない幸福感に包まれる感じがする。


「ふふっ、今食べているプリンよりも甘いね。……あ、そうだ、晃は一口いるかい?」

「え、あ、いいのか?」

「いいから言っているんだ。代わりにそちらも一口くれるならだけどね」

「お、おう! もちろんだ!」


 などと近くから聞こえてきたが、食べてるプリンよりも甘いってなんだよ。まぁ、晃が白雪と上手くやれてるならいいか。



 全員食べ終わり、リビングでまったり寛いでいると気付けば七時二十分になっていた。


「あ、夕食の時間だな」

「えっ、もうそんな時間?」

「そうね。そろそろ行かないと」


 全員に声をかけて食事をとるために食堂の方へと向かう。一応ビュッフェ形式となっていて、今晩と二日目の朝と夜、三日目の朝はそこで食事をする。



 そして食堂へと着き席を確認した後、各々食べたいものを取りに行く。海も近いため海鮮系が多くある。子供でも食べられるものや、スイーツなどもあるがどちらかと言えば魚介を優先して食べたいと思う。


 つい数時間前にプリンを食べたにも関わらず、俺は目の前に広がる様々な料理に思わず喉を鳴らす。


「まぁ、結構お腹も空いてるし、また取りにくればいいか」


 そう判断し、近くの料理からそれぞれ少しずつ皿に盛ってから席へと戻る。



 席に戻ると晃が結構な量を盛って先に食べていた。


「ははっ、すごい多いな?」

「いやぁ、お腹も空いてたし、どれもこれも美味そうだったからな……」

「分かるけどさ。まぁ、俺もいただきます、っと」


 そう言って俺も食べ始める。

 食べる順番なんかも気にした方が良かったのかもしれないが、新鮮でとても綺麗な赤身の寿司を見てしまったら食べたくなるだろう。というわけで、醤油をつけてからマグロを口にする。


 !? ビュッフェだから、置かれてから時間も経っているだろうと思っていたが、早計だったか……。そもそも見た目も綺麗だった時点で気付くべきだったかもしれない。

 筋なんかはもちろんなく、すっと歯が通り、口の中に旨みが広がる。身は引き締まっている感じなのに、むしろとても食べやすく感じる。これならいくらでもいけそうだな。



 そんな感じで、寿司、海鮮丼、煮魚や焼き魚等々、思う存分堪能した。脂の乗ってる魚も食べやすく、いや嫌な感じがなく美味しすぎたために、つい調子に乗って食べすぎた……


「う……」

「友也くん大丈夫?」

「あ、あぁ……大丈夫、だと思う」

「どれも美味しかったからね〜。お兄ちゃんじゃないけど、私も食べすぎたよ」


 つい食べすぎた俺。それ以上に死にかけの晃。


「でもいつもはしっかりしてる友也くんがちょっと珍しいなっ」

「確かに珍しいね。まぁ、旅行で自分でも気付かないうちに浮かれてたんじゃないかな? 今回はメンバーがいつもと少し違うしね」


 そう言いながら白雪は成実の方を見る。確かにそうかもしれない。ちょっと浮き足立ってたのかもな。それで言ったら、蒸し返すわけではないが、基本はしっかりしている瑠璃が迷子になりかけたのもそういう理由かもしれない。



 全員で部屋に戻り、食事前のように再びまったりと過ごす。


「晃、大丈夫か?」

「あ、あぁ、だいぶ落ち着いてきたぜ……」


 目の前で未だ苦しそうにしている晃よりも一足早くお腹が落ち着いた俺。それから女子全員でこちらのテレビを見ている。香織さんもこっちの部屋にいる。


『明日も全国的に晴れるでしょう』

「うわぁ、明日もとっても暑そうだよ〜……」

「水分はこまめにとって、熱中症にだけは気をつけないとだね」

「うん! そういえば明日は午前から昼くらいまでは海で遊んで、その後は少し観光をするんだったよね?」

「あぁ、その予定だな」


 元々こっちで行ってみたい場所はいくつかあったし、彼女と行ってみたいところもあったが、またいつか、今度は二人で一緒に来るのも良いだろう。

 車の免許は欲しいし、高校を卒業したら取るつもりだ。車といえば……


「あ〜、今日も酒が美味い! 運転もあったし、昼間に海では飲めなかったらかなぁ〜。つまみ……はないや。あぁ、茶菓子でいいか」


 まだ二十か二十一くらいだよな。近い将来こんな風になるのかな……

 まぁ、誰かに絡んだりしてる訳でもないし、問題ないだろう。


 未成年組も部屋にあった緑茶や自販機で買ったジュースを飲みながら明日に向けて英気を養っている。


「ふぅ……」


 どうして緑茶ってこうも落ち着くのだろうか。茶菓子とも合うし、程よい苦味も菓子の甘みと合っていてとても良い。


「あ〜、帰ったらプリンもと思ってたけど、和菓子なんかも作りたいな……」

「えっ、友也くんっ、和菓子作れるの!?」

「あぁ、一応……って言ってもほんとに簡単な物だけだよ。さすがに店で売ってるレベルなんかは無理だし、見栄えもそこまで良くない」

「でも凄いと思う! 今度良かったら教えて欲しいな?」

「あはは、ありがとう。うん、帰ったらまた休みとかでやろうか」

「うん!」


 ……練習しておくか。母さんに小学生の頃に教えてもらった簡単なものや、ネットで簡単な物を調べた程度だからな……。よし、見栄えも良く作れるように練習しよう。

 そんなことを内心で思っていると、晃がいつの間にか復活しており、逆に香織さんは眠っていた。長時間運転させてしまったし、お酒を飲んで、疲れが一気に来たのかもしれない。


「俺、ちょっと姉ちゃんを部屋まで運んでくるよ」

「晃さん! 鍵開けなきゃだし、私もついて行くよっ」

「おぉ、鍵は助かるぞ!」

「あ。それから、私も疲れたからそのまま向こうで寝ちゃうね」

「あぁ、分かった。瑠璃、おやすみ」

「また明日ね、おやすみなさい瑠璃ちゃん!」

「おやすみ、瑠璃」

「うんっ、おやすみなさい!」


 そうして晃が瑠璃と共に香織さんを運んでいった。




 初日がまもなく終わります! 書きたいことだけで言えばまだまだいくらでもありますけど、さすがにだれるかなぁと思いまして……

 夜編終われば、二日目数話と三日目のみで終わりなら八月中にギリ……かな?



 えっと、それでは今回もありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。

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