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89.泳きの練習


 俺は今、都内の温水プールに来ている。というのも以前、彼女の成実から海に行く前に泳ぎを教えて欲しいと頼まれたのだ。

 そういうことならと一つ返事で応え、夏休みに入った今、こうしてプールへとやってきた。



 そして今は入口付近で彼女を待っているところだ。


「それにしても結構筋肉ついてきたよな」


 彼女と付き合う前からトレーニングを始め、ゲームばかりをして細かった昔に比べると今は筋肉もつき、少しは男前に見える気がする。


 そんなことを考えていると、前方から待ち人がやってきた。



「あっ、友也くん。おまたせ……」

「い、いや、そんなに待ってないけど……」


 視線をどこに向ければ良いのだろうか。彼女は普段から身だしなみを整えているため素肌もあまり見たことがなかったのだが、今目の前で水着姿で立っている。


「この間、華ちゃんと買いに行ったんだけど、どうかな……?」


 そう言われては視線を逸らしたままではいられない。ふぅと息を吐いて心を落ち着けてから、彼女の方を見た。


「――ッ」


 深紅のシンプルな水着に身を包む成実。上は首の方まで覆われているハイネックであり胸は隠されているが、肩を大きく露出している。下は普通の水着にフリルが付いて、スカートのような感じになっている。

 色合いからか、普段見慣れていないからか大人っぽさも伺えつつ、彼女本人の年相応な可愛らしさも同時にある。

 それに恥じらいで赤らめた頬、少し心配そうな期待するような瞳。思わず目を奪われ、言葉を失ってしまった。


「えっと、似合ってないかな?」

「そんなことない! その、目を奪われてただけで、本当に似合ってるし魅力的だよ」

「あ、ありがとう……」

「おう……」


 入口付近に居続けるのも邪魔なので二人でプールの方へと移動するが、その間二人には沈黙が流れる。


「あ……」

「……転ぶと危ないから」

「うんっ」


 気恥しさと、足場が濡れていたため彼女の手を取ると、彼女からも手をしっかりと握り返される。



「すぐそこに普通のプール、少し先に流れるプールとウォータースライダーがあるが、どうする?」

「んー、それじゃ早速泳ぎを教えて欲しいかなっ。まだ午前中だし、早く覚えてから友也くんとゆっくりしたいし!」

「あぁ、もちろんだ。そうしようか」


 歩みを進めてプールの前へとたどり着く。若干忘れかけていたが今日は成実に泳ぎを教えるのが目的だった。


「とりあえずゆっくり入ろうか」

「うんっ」


 端の方で階段があったので、彼女と共にプールへと入っていく。


「わぁ……ちょっと変な感じ。それに暖かいねっ」

「そうだな。海だと冷たいが、ここは温水プールだしな」

「よーし、私頑張るよ!」

「おうっ。それじゃ早速始めようか」


 午前中だからか人も少なく、それに元々こちらのプールよりも流れるプールの方が人が多いため、端の方のレーンでマンツーマンで教えることができる。


 まずは水中で歩いたりしゃがんでもらい、水に慣れてもらう。少しした後、クロールの手本を見せてから彼女の手を取り、水に顔をつけたままバタ足の練習をする。


 飲み込みも早く、すぐに見たことを実践で活かせる柔軟さも持っている。そういう教え子は、教える側としてとても助かる。


 そして一通り教えた後に一度、自分一人でやってみると言うので、俺は傍で見守るように立つ。


 プールの端からスタートし、ぐんぐんと綺麗なフォームで泳ぎ進め、適宜息継ぎも挟みながら五十メートル先のもう一端へとたどり着いた。


「……ぷはぁ。どうだったかな!?」

「あぁ、しっかりと泳げてたよ」

「だよね! やったぁ!」


 そう言って嬉しそうにはしゃぐ彼女。まだ始めてから一時間も経っていないというのに、しっかりと泳げている彼女に驚きを覚えつつ、泳げるようになったことに一緒に喜ぶ。


「ははっ、流石だな」

「ありがとっ!」



 そのまま反復練習をし、平泳ぎと背泳ぎまで教えると、すぐに身につけた。


「本当に凄いな……」

「ふふっ、早く覚えて友也くんとの時間が作りたかったからねっ。頑張ったよ!」

「ッ! こちらこそありがとな……」


 そう言いながら彼女の頭を優しく撫でる。自分でも自然とそうしていた。


「えへへ……いきなりでちょっと驚いたけど、ありがとうっ」


 彼女は満開に咲く花のような笑顔から一転、気持ちよさそうに目を細めて笑う。




 そのまましばらくの間、幸せな時間を味わってから一度プールから上がった。


「この後はどうしよっか?」

「ちょうど昼時だし、少し先に屋台みたいな所があったから何か買ってくるか」

「あっ、私もついて行くよ?」

「いや、慣れない水の中だと思ったよりも疲れてるかもしれないからさ、少し座って休んでいてくれ」


 そう言って空いているベンチに彼女を座らせる。よく見ると周りも休んでいる人や何かを食べている人が見かけられた。


「了解だよ。お言葉に甘えてちょっと休んどくねっ」

「おう、そうしてくれ」


 彼女と一旦別れ、俺は持ってきておいた防水の鞄を持ち、昼食を購入しに向かった。


 予約されてると思っていたらできてなかったです……申し訳ないです。


 それでは今回もありがとうございました。明日は気を付けますっ。

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