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87.お菓子パーティー


 試験休み初日。今日は成実の家でお菓子パーティーを開く。パーティーと言っても五人だが。


 昨日のうちにタルトの生地や諸々の準備は主催者の成実がしてくれている。


 時間については結構作るんなら昼食代わりにすると晃から言われたので、午前中に彼女の家で準備をし、十三時頃には晃と白雪、瑠璃がやってくる。



「お邪魔します」

「うんっ、入って入って」


 家に上がるのは二回目なのだが、今は成実しかいないのでそれはそれで緊張する。


「それじゃ、早速作ろっか!」

「あぁ、そうだな」


 まぁ、彼女は気にしてないようだからこちらも作ることに集中しよう。



 そうして一つ二つと完成していく。彼女も毎日料理をし、聞いたところによるとお菓子も時間かをある時によく作っているらしい。


 手際よく進めていると、リビングの机に置いてあったスマホから通知音がした。


『そろそろ家を出るけど準備とかは大丈夫か?』

『大丈夫だ。もうすぐ完成する』

『了解』

『それなら私も向かうね』

『華さんに同じく〜』


 これから何かと集まったりどこかに行く機会があるだろうと思い、作っておいたRICEグループで会話をする。


「三人からかな?」

「あぁ、三人ともそろそろ来るみたいだよ」

「それじゃ、それまでに仕上げまで頑張ろうっ!」

「おう!」



 程なくして三人が成実家へとやってくる。あと一品で完成というところなので、彼女に任せている間に三人を迎え入れる。


「やぁ、友也」

「よぉ、友也。ていうかここから既にいい匂いがするな!」

「お兄ちゃん来たよ〜」

「おう、いらっしゃい。って言ってもここは成実の家だけどな」

「あはは。それじゃお邪魔するよ」

「成実さんは奥かな?」

「あぁ、今最後の一品を作ってるところだ」


 そうして三人をリビングのテーブルへと案内し、俺は成実の方へと向かう。


「できたか?」

「これで、っと。よし、完成したよ!」

「おぉ、綺麗だな。あとは向こうに運ぼうか」

「うん!」


 俺と成実は完成したお菓子たちと飲み物をテーブルへと運んでいく。


「ふふっ」

「ん? 華、何かあったか?」

「いや、こうして成実と友也が家で協力しているところを見ると、さながら新婚夫婦のように見えてね」


 キッチンから三人のいるテーブルまではすぐ近くなため、全て聞こえている。


「おい白雪、いきなり変な事言うな。皿落としかけたぞ」

「あはは、ごめんよ」

「成実お義姉ちゃんかぁ……」

「こら、瑠璃も戻ってこい」


 成実も成実で今は平常心で頼む。そんなに顔を赤くされるとこっちまで照れるんだが。と、内心そんなことを考えつつ、平静を装いつつ運び終える。



「それじゃ、今日はいっぱい食べてくれると嬉しいなっ。せーの、乾杯!」

「「「「乾杯!」」」」


 主催者兼お菓子を作った人として成実が開始の音頭をとる。


「どれもこれも美味そうだな! 友也もそうだが、神崎さんも料理上手いよなぁ」

「そうだね。これは本当に見事だよ」

「ふふっ、二人ともありがとっ」


 三人ともこれが昼食代わりなので勢いよく減っていく。


「凄い食べっぷりだな。まぁ、見ていて嬉しいけどな」

「そりゃ凄い美味いからな!」

「うんうん。流石お兄ちゃん!」

「いや、そういう瑠璃も料理上手いだろ?」

「私は中学上がってから頑張ったからね〜。お兄ちゃんはお母さん仕込みで小学生の頃から頑張ってたじゃん!」

「お母さん仕込み?」

「あぁ、成実。言ってなかったか」


 そういえば以前家に来た時には晃たちとの写真が入ってるアルバムしか見せてなかったか。


「随分昔になるが母さんは料理人やっていてな。小学生の頃に俺に色々と教えてくれたんだ。お菓子作りもそうだな。だからこそ母さんが亡くなってからもずっとやってたし、お菓子もよく作ってたんだ」

「そうなんだ……」


 この場だと成実以外は母さんと一度は会ったことがあるのか。優しくて家族想いで尊敬できる、俺と瑠璃の唯一の母親だ。


「あ、そっか。私以外はみんな知ってるんだよね……。私って友也くんの昔のこととか全然知らないんだね」

「まぁ、今はそうだけどさ。これからずっと一緒にいるんだから、いつでもいくらでも知る機会はあるだろ。今度うちに来た時にアルバムでも見みながら昔話でもしようよ」

「うん……うん! 約束だよっ」

「おう!」

「……んー、お菓子よりもこの空間が甘い気がするね」

「まぁ、二人とも幸せならいいんじゃないか?」

「そうだね。でもお兄ちゃんも成実さんも一度自分たちの世界に入ると、周りが見えなくなるみたいなんだよね〜」


 ……場所を忘れていた。それに瑠璃の言うことに一切反論ができない。とりあえず三人を無言で睨んでおく。


「ふふっ。友也も昔色々あったからね。でも最近は毎日が楽しいんだろう?」

「……まぁ、そうだな。成実と出会って、お前らとも今までみたいに仲良くして……。一応、今回のお菓子も感謝を込めて作ったつもりだから美味しそうに食べてくれて良かったよ」

「こっちこそ友也が楽しそうにして、毎日楽しいからな! これからもよろしくな!」

「うん。夏の旅行の件もすっごい楽しみにしてるよっ。成実さん、誘ってくれてありがとね」

「あっ、うん。私もみんなで行けるの楽しみだよ! あと、これからもよろしくね!」



 永遠なんてものはない。いつまでこんな風に楽しくやれるかは分からないが、少なくとも今夏中は楽しくて幸せな時間になるだろう。


 ――母さん、俺も瑠璃も今すごく幸せだよ。だから安心して見守っていて欲しい。



「どうした友也?」

「いや。ただ、楽しみだなって思ってさ」

「ははっ、俺もだ!」



 そうして友也たちの熱く楽しい夏がやってくるのだった。


 次か、次の次から夏休み入ります! 私の夏休み中に夏編終わるかな……


 それでは今回もありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

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