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82.今までと同じで違う誕生日会


 体育祭が終わってから一週間近くが経った。学校でも、そしてクラスでも男子から悔しがられたり若干の妬みはされたけど、成実との事を受け入れてくれた人が大多数だ。

 今まで隠していた分、学校にいる間はほとんど常に一緒にいる気がする。



 そして今日は週末、俺の誕生日会をやることになっている日だ。数日前に、久々に肉が食いたいと晃たちに連絡を入れたら、すぐに店を見つけて予約をしてくれた。



「お兄ちゃん、今日って六時に現地集合だったよね?」

「あぁ、そうだな」


 今日のメンバーは今までの三人に加え、成実と瑠璃も参加する。自転車で行ける距離にある焼肉店で学生でも充分払えるところだ。


「成実さんも今年から今回から参加するんだよね〜。私もこれから毎回参加しよっかな」

「まぁ、いいんじゃないか? 晃たちもダメとは言うはずないだろうし」

「うん、後で晃さんたちに聞いてみるね〜」

「おう、そうしてくれ」



 そうして気付けば夕方近くになっており、そろそろ出る時間だ。


「それじゃ行くか」

「うんっ」



 全員の家からも同じくらいの距離にある店なため、行く途中で成実とたまたま合流した。そして店に着き、先に着いていた晃と白雪と合流する。


「お、主役の到着だな!」

「おや、三人一緒に来たのかい?」

「いや、成実とはたまたま途中で会ってな」

「うん、約束してなかったけど、たまたま友也くんたちを見つけたの」

「ははっ、そうか。とりあえず晃の言うように主役が来たんだ。三人も座ったら始めようか」


 今まで進行や奉行的な役割は白雪が担ってくれていたが、人数も増えたため俺と白雪の二人でやっていくことになった。

 席は、前に晃、白雪が並んで、後から来た俺たち三人は晃たちの向かいに俺、成実、瑠璃の順で座った。



「ふふっ、美味しいね、友也くん」

「あぁ、そうだな」


 肉を焼いては、肉ばかり食べる晃の皿に野菜を盛ったり、成実と話していると隣の方で俺たちを放置しての会話が始まっていた。あまり気にはしないが、一応俺主役だぞ。


「ねぇ、華さん、晃さん。お兄ちゃんたちって学校だとどんな感じなの?」

「んー、今の雰囲気とそう変わらないよ。まぁ、見ての通り友也は中学の頃よりも笑顔が増えたかな」

「そうだな、幸せオーラ凄いよな〜」

「あー、分かる! まぁ、お兄ちゃんたちが幸せならそれでいっか」

「そうだな」

「そうだね」


 何か気になることを話している気がするが、触れたら触れたで弄られそうだからやめておく。



「そういえば私は二人の馴れ初めは聞いた事ないんだが、二人は知ってるかい?」

「あー、確か……」

「おい晃」

「別にいいだろー? 減るものじゃないし」

「いや、メンタルがすり減るぞ……」


 成実に関しては顔を赤く染めて俯いてしまっている。元々この席は誕生日会とは名ばかりの、今までも学校でのことや過去の思い出話などを話していくだけの食事会だったけどな。


「せめて俺たちそっちのけで話をしないでくれ……。話してもいいか、成実?」

「あ、うん……私は大丈夫だよ」

「なら聞いてもいいかい友也?」

「あぁ、了解だ」



 その後は出会う経緯だけでなく、付き合ってからの事なども根掘り葉掘り聞かれた。まぁ、瑠璃にはほとんど話してるし、晃にも少しずつ話してたのに白雪だけ仲間はずれは良くないだろう。

 とはいえ自分で話すのは失敗だったかもしれない。凄い辱めを受けてる気分だ。



「聞いていて思ったが、二人とも最初から結ばれる運命だったのだろうか?」

「運命って……」

「共通点や偶然が多すぎるし、出会う確率だってそうだ。今日来る時も会ったのだろう?」

「まぁ、そうだな。言われてみれば……」

「ははっ、まぁ、運命なんてものは見えないが、確かのは二人はお似合いで今は幸せだということだけだね」

「そうだな。友也も今までよりも明るくなったし、神崎さんには感謝しかないな!」

「あっ、ありがとう。でも私も友也くんのおかげで今が楽しいよ!」

「ふふっ、私も成実さんに感謝だよ。お兄ちゃんをこれからもよろしくね?」

「うんっ、もちろん!」



 俺の周りには気の良い奴が多いし、成実と付き合えていることも凄い幸せだ。今までの誕生日会では過去の思い出話の方が多かったが、今回は未来のことの方が多く話されていたと思う。


 それに夏にみんなでどこかへ行きたい、なんて話も出た。高三になったら受験もあるだろうから、良くて今年の冬までしか自由な時間は取れないと思う。


 まぁ、全員が元気でいてくれさえすれば、大学に入っても、その後もいつでも会ったりできるだろうがな。




「今日は色々と聞かせてくれてありがとう、友也」

「まぁ、晃たちには話してたしな。感謝されるようなことじゃないよ」

「ふふっ、そうか。まぁ、夏の事はおいおい決めていこうか」

「そうだな! というか俺の姉ちゃんが帰ってきたら間違いなく行くって言いそうだな」

「そうだね〜。香織さんなら言うと思う。成実さんはもう会ったことあるんだよね?」

「うん、前に友也くんといる時に一度だけ。あれからたまに連絡も取ってるよ」

「マジか!? 神崎さん、姉ちゃんが変なこととか言ってないか?」

「大丈夫、いい人だよっ」



 その後満足いくまで食べ、語らい、俺以外のメンバーで支払いを済ませて店を出た。瑠璃も今回から参加することになり、奢りメンバーに加わった。

 元々俺も瑠璃も小遣いこそ貰っているが、出かけることや使う機会が少ないため、余裕は全然ある。



 そしてそのまま全員でのんびりと自転車に乗って帰っていった。今までの他愛ない日常が、成実と出会ってからいい方向へと変わっている。自分のことに関しても、周囲に関してもそうだ。


 今の日常が当たり前だとは思わず、しっかりとこれからも彼女と一緒にいたいと思う。



「それじゃ、友也くん、瑠璃ちゃん、またね!」

「おう、またな!」

「またね、成実さん!」


 すっかり暗くなった頃、成実とも別れて家へと帰る。



「ふふっ、楽しかったね」

「そうだな」

「ん? お兄ちゃん、どうかした?」

「あぁ、いや、なんでもないよ。……あー、瑠璃も色々とありがとな」

「えっ、どうしたの急に?」

「いや、ただ伝えたくなっただけだ。あんまり気にすんな」

「わ、分かった。えっと、私もありがとね?」

「ははっ、おう」


 かけがえのない日々をこれからも大切にしていく。まずは感謝や思ったことをはっきりと伝えていく必要があると思う。ちょっとした事で拗れて、関係が悪化などは嫌だからな。



 今まで沢山世話になってきた瑠璃にも、あとは父さんが帰ってきたら父さんにも伝えようか。

 そんなことを考えながら俺は家へと帰って行った。


 私事ですが、ようやく明日から休みです……。のんびり書く時間もできるし、他の方の作品も読む時間ができる……!!


 それでは今回もありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

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