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78.体育祭 その4


 午後の競技も終盤に差し掛かる。


 今回の体育祭での目的であった、活躍を見せるのと、部対抗リレーで勝つことは達成出来たので、後は一観客として楽しむつもりだ。



「それじゃ、友也くん、そろそろ行ってくるね」

「あぁ、応援してるよ。行ってらっしゃい」

「うんっ、行ってきます!」


 彼女はそう言って最後の種目である、紅白リレーの待機場所へと向かう。


 最後の種目である男女紅白リレー。全ての学年、クラスから男女それぞれ二人ずつ選出され、紅白で2チームずつ、計4チーム作って競うことになる。


 成実と白雪、晃、それに瑠璃も出場する。まぁ、成実以外とは別の色だが。



 先程までは自分のことにいっぱいで、他のことを気にする余裕がなかった。

 ふと、得点の表示されているところを見ると、現在の得点は拮抗していて、この競技で紅白の勝敗が決まるようだ。



 そんなことを考えているうちに、選手の準備が終わっていた。


『只今より、最終種目、紅白リレーが始まります。選手の方は入場してください』



 放送が流れ、出場する生徒が入場してくる。生徒席にいる人たちも各々で、友人や自分と同じ色の生徒を応援していた。


 各学年四クラスずつあるため、一チームは、男女混合で十二人となる。


 今回、瑠璃と白雪は同じチームらしい。高校初めての体育祭で、クラスの代表として紅白リレーに出場する瑠璃だが、知り合いが同じチームにいるなら緊張も少しは解れると思う。


 自分の思いとしては、成実のチームに勝ってほしい気もあるが、親しい人たちにも頑張って欲しい。



 そして、最後の種目である紅白リレーがスタートした。



『始めます。位置について、よーい……』


 ――バンッ



 どのチームでも一年生がトップバッターを務める。皆、選ばれるだけあって、他学年と遜色ないくらいの俊足だ。


 一番手では全員僅差で、次にバトンを渡した。



 二番手は……瑠璃か。自分の妹が勉強だけでなく、運動もできることは知っているが、流石に部活に全力を注いでいる生徒や男子生徒には少し及ばない。


 瑠璃は最後まで粘り、順位こそ落としたが、差はほとんどなくバトンを渡した。



 現在の順位は晃のいる紅チームが一位、二位に成実のいるチーム、瑠璃たちのいる紅チームは四位ではあるが、三位とほぼ横並びで走っている。



 そして、四番手の一年生から二年生へとバトンが渡される。


 未だトップを維持している紅チームの、二年生の先頭は晃だ。



 周囲の女子生徒がさらに盛り上がった気がする。というのも、晃は二位と僅かしか無かった差を開いていき、笑顔でこちらに手を振って、走り抜けて行った。


「キャー!」

「和泉くんー!」

「頑張って〜!」


 容姿に優れ、人気者の晃。学年問わずに憧れている生徒がいる。そんな晃のファンサなのだから、沸かないわけがない。

 まぁ、人気度で言ったらそれ以上の生徒がいるが……



 晃がバトンを渡した後、少し遅れて他のチームもバトンを繋ぐ。



 学校一の人気者と言えばという人物、成実へとバトンが渡される。そして、どうやら同じ出走番目に白雪もいるようだった。


 二人は同時にバトンを受け取り、すぐさま並んで走り出す。



「頑張れー!」

「神崎さん〜!!」


 晃の時と同じか、それ以上の声援が上がる。

 気づけば俺も立ち上がり、声を出していた。


「成実! 行っけぇ!!」



 一瞬だが、目が合った気がする。


 学年の女子の中でも群を抜いて、成実と白雪の二人は運動能力も学力も高い。


 成実は一つに結わえた髪をなびかせながら、一気に加速して後方から追い上げていく。白雪も負けじと追随しており、バトンを次の走者に渡す頃には成実のチームが一位、白雪が二位となっていた。


 女子らしくない、と言ったら失礼だが、それほどまでにとても速く、それでいて綺麗な走る姿に生徒たちは皆、魅了されていた。そして一気に順位が変動したことにより、生徒の歓声がさらに大きくなっていた。



 その後は三年生の先輩が最後まで頑張り、順位は成実と白雪の走り終えた時点と同じままで終了した。




「友也くん、お疲れ様!」


 閉会式が終わり、生徒席や体育祭で使った機材などの片付けを生徒主体でした後、着替えを済ませて教室へと戻ってきたのだが……


「成実こそ、お疲れ様。最後の走りもかっこよかったよ」

「えへへっ、ありがと!」


 学校でも隠す理由がなくなったため、いつになくテンションの高い成実と話をしていた。

 今は担任が来るのを待っているのだが、教師としてやることもあるようで、教室でしばらくの間、待機することになっている。



「でもやっぱり、部対抗リレーの時の友也くんが一番かっこよかったなぁ〜」

「あはは、そう言ってくれると嬉しいよ。活躍をするって言ってたしね」



 教室に戻ってからは、松村と一緒にいちゃもんを付けてきた人たちに謝られ、その後は他の人から変に絡まれることもなかった。

 あの時の雰囲気もあり、疑ってたわけではないが、松村は有言実行をしてくれているようだ。



「おー、お前ら。待たせたな」


 しばらくしてから担任が教室へと入ってきたため、会話を中断する。


「あ、怪我したやつはいないか? ……よし、それじゃ解散だ。帰ってしっかり休めよ〜。まぁ、私はまだ仕事が残ってるがな……」


 最後の呟きは既に動き出した生徒の音でかき消されたのか、誰も触れる人はいなかった。



「それじゃ、俺たちも帰るか!」


 晃が三人に声をかけてくる。


「そうだね。早く帰って休もうか」

「そうだな。身体もだけど、心の方も今日まで気を張ってて疲れてるしなぁ」

「あっ、そうだよね。本当にありがとう、友也くん」

「気にしないで大丈夫だよ。俺がしたかったし、頑張りたかっただけだから。それじゃ、行こうか」

「うん!」



 そうして長かった体育祭が幕を閉じた。




 今後、成実視点や別の登場人物視点もたまに登場するかもしれません、というご報告を。とは言っても、同じ場面を別視点で書くことはほとんどないと思うので、ストーリーの進行具合に関しては現状のままになると思います。


 それでは今回もありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

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