表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/143

76.体育祭 その2


 昼前最後の競技、借り物競争。


 毎年の体育委員がお題を決め、たまに巫山戯た内容も入っている。しかしお題は必ず教師の誰かだったり所持するものに該当するし、もちろん生徒の中から選んで連れて行ったり、物を借りても良い。


 ちなみに百メートル走などの普通のレースは一年生から順に始まるが、障害物レースや借り物競争などの特殊なものは三年生からスタートする。

 一年生と違って三年生は慣れていたりするので、初々しい姿が見れないとか何とか言って、何年か前からそう決まったらしい。いや、それってどうなんだ……



 そうして三年生からスタートした。と思ったら早速二年の白組の生徒席へと向かってきた人がいる。


「神崎さんの彼氏はどこだ!?」

「はっ!?」

「そこか! 早く来い!」


 よく分からないが来いと言われているため、俺は白組の先輩の方へと向かう。



「よし来たな。なら走るぞ!」

「あっ、ちょっと!」


 お題を教えてもらう暇はなく、俺は先輩の後ろを走っていく。



 そのまま一着でゴールをし、お題が読み上げられる。


「お題は『好きな人の彼氏、もしくは担任の先生』ですね」


 このお題ってどうなんだとは思ったが、担任でもいいなら恐らく大丈夫なのだろう。というかこんな感じのが多いなら、結構大変な目に遭うかもしれないな。



「いきなりすまなかったな」


 俺を連れてきた先輩から、そう謝られる。


「えっ?」

「いや、俺としては神崎さんのことが好きだし、納得もできない。しかし、だからこそあの人が幸せならいいと思っている部分もある。必ず彼女を幸せにしろよ! 泣かせたら承知しない!」

「は、はい!」


 先程は大変な目に遭うなんて思った。それに校内には俺を恨む人ばかりだと思っていたが、先輩のような人もいるのだと分かった。もちろん絶対に幸せにするし、泣かせるつもりもない。



 その後はほとんど俺を連れていく人はいなかった。最初が例外だったのだろう。


 そうして気付けば三年生は終わり、二年生の番になっていた。



 待機列の成実を見ていると、こちらを向いて手を振ってくるので、俺からも振り返す。晃もそのすぐ後方にいたために見られたし、目が合ってニヤッとされた。……晃には変なお題が当たるといいな。


 ちなみに学年ごとにお題を読み上げる体育委員の生徒は変わっているようだが、今は白雪が担当している。



 そして成実の番となった。


 スタートと共にダッシュでお題を取りに行き、お題を見ると同時に固まった。固まった? もしかして……


 そしてほんの少ししてから再び動き出し、こちらへと向かってくる。



「友也くんっ!」

「あぁ!」


 予想はしていたため、俺はすぐに立ち上がって彼女の元へと向かう。


「行こっ!」

「おう!」


 そして彼女は俺の手を取り走っていく。その時思ったが、もしかすると俺よりも彼女の方が足が早いかもしれない。走り方や余裕の具合から見ているとそんな気がする。



「おや、成実に友也か。どんなお題かな?」

「はい、これ」


 そうして一着でゴールをした後に成実が白雪へとお題のカードを渡す。


「あぁ、お題は『家族…………』」

「ん!?」

「えっ!?」

「『または恋人、友人』だね」


 動揺してしまった自分が恥ずかしい。しかし変なところで止める白雪の方が悪いだろう。他の生徒たちも一瞬ざわざわとしていたし、成実も驚いていた。


「もう、華ちゃん!」

「あはは〜、ごめんごめん。まぁ、一着でゴールだね」

「うん! 友也くんもありがとっ!」

「あぁ、役に立ててよかったよ」



 そうして彼女の番は終わった。そして次は晃の番になった。



 晃はスタートダッシュで他の生徒からリードをし、お題を見ると少し考えてから一人でゴールの方へと向かった。


 そしてゴールテープの直前で方向を変えて、白雪に何かを言って、白雪が晃の方へと向かう。


 そしてそのまま二人でゴールをした。



「ふふっ、体育委員の私を呼ぶのは予想外だったね」

「あぁ、別に有りだろ?」

「そうだね。それでお題は……! す、『……な人』」

「ん?」

「『好きな人』だね……」

「ははっ、さっき友也たちをからかっただろ? 仕返しだ。それに友人としてお前のことは好きだからな!」


 マイクに音が乗り、そんなことが聞こえてくる。


「あぁ、そうだね。これは一本取られたよ」


 少し照れたような悔しそうな顔で白雪がそんなことを口にしている。


 そうして晃は一位の列へと向かい、白雪は再び体育委員としての読み上げに戻る。

 一応、小学生の頃からの付き合いで二人のことはずっと見てきたが、二人とも少なからずお互いを意識してないだろうか? 遠目だから確信は持てないがそんな気がする。



 そうしているうちに二年の番も終わり、一年生の番になる。一年生だと瑠璃が出るらしい。俺は列の後方に妹の姿を見つけた。



 そして順番は過ぎていき、ついに瑠璃の番が来た。


 スタートしてお題を取ると、瑠璃はこちらへと向かってくる。こう何度も経験したら分かる。すぐに立てるように準備をしておく。


「お兄ちゃん!」

「了解だ!」


 呼ばれてすぐに瑠璃の元へと向かう。近くの席の人はお兄ちゃんという声が聞こえていたが、遠くの席の人からは「なんでまたあいつが」とかそういう反応が起こっていた。


 そして俺は瑠璃について行く。



 そして瑠璃が担当の生徒にお題を渡し、体育委員の生徒が読み上げる。



「えっ! あ、お題は『大切な人』です……」


 今日一のざわめきが起こる。瑠璃は去年の成実のように首席入学をし、他学年の生徒からも注目を集めていた。そんな生徒が成実の彼氏を大切な人として連れていったら、当然驚かれるだろう。



「瑠璃……」

「あははっ、ごめんねお兄ちゃん。でもパッと浮かんだのがお兄ちゃんと成実さんだったから」

「そうか……。まぁ、そういうことだから変な関係とかじゃないぞ」


 担当の体育委員に、それからマイクに乗るようにそう伝える。


 ざわめきは収まり、体育委員の人も納得したような表情になる。


「ありがとっ、お兄ちゃん」

「おう」



 そうして俺は自分の席へと戻り、少しした後に借り物競争が終了した。

 今回もありがとうございました……!

 日々のストレスをストーリーを考えて、こんな展開があったら甘くて良いなぁって考えて和らげてます。

 今の時期の学生さんたちは制限も多く、大変だと思いますが、旅行に行ったりするのを想像するだけでも楽しいですよ〜


 では、今日もありがとうございました。また次回に会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ