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74.手紙と告白


 今日は体育祭の一週間前。そして自分の誕生日でもある。まぁ、彼女とのお祝いも、晃たちの誕生日会のようなものも、体育祭の後になったのだが。


 そんなことを考えながら学校へと登校する。ふと、下駄箱に手紙が入っていることに気がつく。


「ん、なんだ?」


 もしかして果たし状か……? いや、流石に冗談だ。可能性がないとも言えないが、今どきありえないと思う。


 ひとまず鞄に仕舞い、教室へと向かう。



「おはよう二人とも」

「おぉ、友也、おはよう」

「おはよう、友也」


 二人と挨拶をし、席に座って先程の手紙を取り出す。


「友也、なんだそれ?」

「朝来たら下駄箱に入ってたんだ」

「もしかしてラブレターかい?」

「心当たりはないんだけど、普通に考えたらそうかなと。もしくは脅しの文か」

「あっ、果たし状みたいなのか? けど今どき有り得るのか?」

「分からない。とりあえず中を見てみるか」


 三人の推測で何を言っても結果は分からないため、手紙を開いて中身を読む。



『放課後に屋上へ来てください』



「女の子らしい字体だね?」

「そうだな」

「じゃあラブレターなのか?」

「どうなんだろうな……」

「おはよう、友也くん?」

「お、おう。おはよう、成実」


 登校してきた成実に返事を返す。反射的に手紙を隠してしまったが、明らかにそちらに視線が向いている。


「三人で何を見てたの?」

「あぁ、これをな……」


 つい隠しはしたが、そもそも彼女に隠す必要も無いし、不誠実だと思ったため、先程の手紙を彼女に渡す。


「んー、ラブレター? というより告白の呼び出しかな?」

「かもしれないな」

「友也くんは行くの?」

「いや。今は彼女もいるから……」

「えっと、私が言うのもあれだけど、行ってあげて欲しいかな?」

「「「えっ?」」」


 俺だけでなく、傍聴してた晃と白雪までもが声を揃える。


「あ、いや、告白を受けて欲しいんじゃないよ? でも、告白ってその、凄く勇気がいることだからさ……」

「そう、だな……」


 実際にするとなると緊張して頭が真っ白になるし、今回の場合は受けてもらえる可能性が低いのにするのは、自ら傷つきに行くようなものだ。もしかするとだが、想いを断ち切るためだろうか?


「部外者の私が言うのもあれだが、いいのかい、成実?」

「えっと、断って欲しいと思うけど、そこの判断は友也くんがすることだし、それにさっきも言ったように告白は凄い勇気が必要だから……」

「そうか……それなら友也の判断に任せる。私からはもう何も言わないよ」

「うん、ありがとう、華ちゃん」

「……成実」

「う、うん」

「放課後、行ってくるよ」

「うん。待ってるからね」

「あぁ」





 そうして迎えた放課後。告白と仮定したが、男子からの呼び出しの線も捨てきれないので、少し身構えてしまう。


 そして深呼吸をして屋上の扉を開くと一人の女子生徒が立っていた。



「君が手紙を……?」

「は、はい! 彼女がいるって、あの神崎さんだって分かってても諦められなくて……」



 確かに成実に好意を抱いた後に実は彼氏がいたとして、諦められるかと聞かれたら、答えは否だろう。

 こうして呼び出した彼女に対して、成実に告白もせず、俺にだけ文句や難癖をつけてくる人よりも明らかに好感が持てる。


 しかし答えは初めから決まっている。




「ず、ずっと好きでした! 私と付き合ってください!」

「……ごめんなさい」



 どれだけ他の人に好かれようと、何があろうと、俺の心は一人の女性から離れることはない。そう、言いきれるほどに俺は成実を愛している。

 改めてこの場をもって、その事を確信した。



「そう、ですよね……」

「あぁ」

「わざわざ来てくれてありがとうございました。っ、では……」


 目の前の彼女は最後は涙声になりつつ、俯きながら屋上から立ち去った。



「はぁ……」


 彼女一途とはいえ、勇気を出してな告白を断るのは胸に来るものがある。


「でも断られる方がキツイよな」


 とはいえ受けるつもりもないのに、優しい言葉なんかをかけても想いを引き摺らせてもいいことは無いので、これで良かったと自分に言い聞かせて教室へと戻る。




「はぁ……。え、成実?」


 少しの罪悪感を抱えたまま教室に戻ると、先に帰ったと思っていた彼女が教室にいた。


「えっと、気になっちゃって……あ、もちろん疑ってたわけじゃないよ!」

「……あぁ、分かってる。ありがとな」

「うんっ」


 彼女の笑顔を見るだけで心が満たされ、落ち着く。


「それで……断ったんだよね?」

「あぁ、もちろんだ」

「はぁ〜……分かってても、信じててもやっぱり怖かったよぉ」

「ははっ、俺が他の人を本当に好きになると思うか?」

「だって……もし相手が友也くんの好みの子だったりしたらって考えたり、友也くんは優しいから断りきれなかったりしたらって思うと……」

「俺の好みは成実だし、しっかりと断る方が優しさだと思うよ。だから安心して欲しい、前にも言ったように君が望む限り俺はずっと一緒にいる」

「うん……ありがとう! それから、私は離れないし、離さないよ?」

「あぁ、俺もだよ。これからもずっと一緒だ」

「うん!」



 体育祭前に予想外にも、今まで以上にやる気が起こる出来事が起きた。


 これからもずっと一緒にいるんだから、もしかすると格好悪い姿も見せてしまうかもしれない。

 でも、やるからには全力でやるし、頑張れば勝てる可能性があるならば、俺は全身全霊をもってそれを掴みに行くつもりだ。



 体育祭まで残り一週間。やれるだけのことはやろう。



 果たして勝負の行方は!? それから借り物競争の内容はどうなるのか?! 次回、体育祭スタート!



 失礼しました。後書きで次回予告って……あっ、次回から体育祭スタートです。サッカー部って人によっては陸上部レベルに早いんですよね。友也たちには頑張っていただきたい。


 それではまた、次回更新で会いましょう。

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