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72.体育祭前の中間考査

 中間考査が始まった。今回は試験でも体育祭でも負ける訳にはいかない。


 走り込みを増やしつつ、勉強も決して怠ってはいなかったため、今までで一番手応えを感じている。GW中に彼女とも復習をしていたし、やはり問題は体育祭の方だろう。

 一人で走り込みをしていても、本当に大丈夫なのか、他の人と走った時にどうなるのかが分からない。今度晃に併走を頼もうかな。



 そんな事を考えているうちに試験の全日程が終了した。



「お疲れ様、友也くん」

「あぁ、成実。お疲れ様」

「どうだった?」

「結構良かったと思うよ。……もしかしたら成実に追いついてたりして?」

「ふふっ、私も今回は手応えを感じたから、簡単には負けないよ?」



 テストの返却は翌日から早速始まる。三日後には全ての科目が返ってくるだろう。自信はあるが、普段は謙遜をしがちな彼女も自信があるようなので、今回も勝てないだろうなぁ。

 それに白雪も同じクラスだ。簡単には追い越すことはできないと思う。




 そして最後の科目が返ってきた。通知表は後日になるが、素点だけで比べると成実にも白雪にも僅かに劣っていた。



「負けたな……」

「まぁ、二人は去年の最初からトップだったしな。お疲れ様、友也」

「まぁ、そうだよな。ちなみに晃はどうだったんだ?」

「あ、あぁ。まぁ、一応悪くはなかったぞ?」

「確かに悪くは無い、というかむしろかなりいいんだが……数学……」

「うっ、今回は理科系が覚えれば行けたが、数学が難しかったんだよ!」

「ははっ、落ち着け」



 とはいえ、弱点克服さえ出来れば晃は学年でも一桁の順位を目指せるくらいには他の科目は良い。ちなみに白雪と成実は先に帰ったが、そういえば……



「晃って明日以降で暇な日あるか?」

「ん? どうした?」

「いや、今までは一人で走り込みをしてたんだが、試験も終わったし、学年でも早い方な晃に協力してもらいたいなと思ってさ」

「あぁ、そういう事か。今後は体育委員として放課後に残る時があるくらいで予定はないぞ。なんなら今からでもいいが?」

「……いいのか?」

「いいって言ってるだろ? 昔からの親友が困ってるんだ。協力しない方が後で後悔するだろ」

「あぁ、ありがとう。助かるよ。なら一度帰った後に近所の公園で一本だけ付き合ってくれないか?」

「了解!」



 試験で疲れているだろうに、わざわざ手伝ってくれる晃には感謝しかない。




 その後、公園で改めて集合をした。


「よし、やるか!」

「あぁ、よろしく頼む」

「おう! 一本って言ってたが、まずは少し身体動かしてからの方がいいだろ?」

「ありがとな。それなら少し動かしてから走ろう」


 そうして軽いランニングから始めた。


「そういえば晃は普段運動してるのか?」

「結構してるぞ。運動自体は嫌いじゃないしな!」


 走りながらも会話できるくらいにはランニングには慣れている。そのまま体を温め、ようやくダッシュとなる。



「よし! じゃあ準備はいいか?」

「いつでも大丈夫だ」


 そうして晃の掛け声と共に走り始める。公園前の車通りの一切ない道で、人がいないのは確認済みだ。リレーも出場競技も百メートルとなるため、およそ百メートルを晃と併走する。


 横にいる晃に負けないように全力を出し、足を前に前にと運んでいく。



「はぁはぁ……友也、早くないか……?」


 息を切らしつつ晃がそんなことを言ってくる。


「はぁはぁ……。そうか? そうだといいんだが……」


 俺ももちろん全力を出していたために息を切らし、返事をする。


「俺も全力で走ったつもりなんだがなぁ」

「はぁ……いや、体力面は負けてるな……」


 晃はいつの間にか呼吸も元に戻っているが、俺は未だに息を切らしたままだ。


「まぁ、本番は一本だけ走るわけだし、これなら相手次第で勝てると思うぞ!」

「ははっ、ありがとう。まぁ、当日までにもっと練習しておくよ」

「おう、頑張れよ! 何かあれば協力するから言ってくれな?」

「あぁ、ありがとな」



 そうして晃と別れ、俺も家へと帰る。晃からのお墨付きも貰えたとはいえ、本番まではまだあるんだ。できる限り早く走れるように、そして最後まで走りきる体力を付けるために、次の日からも走り込みは続ける予定だ。




 数日後、通知表が渡される。案の定、順位は三位だった。しかし満点の科目もあるため、科目別順位は一位のものもある。


 ちなみに一位の成実、二位の白雪のも見せてもらったが、二科目程しか満点を逃してなかったのには驚いた。こんなに満点って簡単に取れるものだったか……?



「改めてお疲れ様だよ、友也くんっ」

「あぁ、ありがとな」

「あと少しで本当に追い越されちゃいそうだね!」

「まぁ、そのあと少しは結構大きいけどな……」

「んー、友也くんなら出来ると思う」

「できるかはともかく今後も頑張っていくよ」

「うん!」




 そして中間が終わり、体育祭のある六月へと入った。


 五月の末から雨が多くなっているが、体育祭の本番では雨が降らないで欲しいと思う。

 まぁ、当日にならなければどうなるかは分からないが、それまでに俺は自分のできることをするだけだ。俺は心の中でそう決意する。

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