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71.出場競技

 翌日、登校時に多くの視線がこちらに向いていた気がしたのは気のせいではないだろう。


「おはよう晃」

「おう、おはよう友也」

「巻き込んでしまってすまんな」

「気にすんなよ。それにいつかはこうなるだろうと思ってたのに、松村から庇えなかったしな」

「大丈夫だ、気にしてない」


 良い友人を持ったな……そうしみじみしてると白雪と成実がやってくる。


「おはよう友也、晃」

「おはよう友也くん、和泉くん」

「お、おう。おはよう白雪、成実……?」


 昨晩のうちに、いつから始めるかの判断は彼女に任せたが、今後は学校でもいつものようにすることに決めたのだ。しかし思いの外、元気だったことには驚いた。俺のその表情を見て彼女が答える。


「えっと、友也くんの方が大変なんだから、私は元気じゃなきゃだめだって思ったの。それに、私は友也くんの彼女なんだぞ、心移りなんてしないんだぞ、って言うのが分かれば松村くんも諦めてくれるかなって……」

「っ、そうか……ありがとな」


 友人もだが、本当に良い彼女だ。しかし、ここでそんな告白のような事を言われるのは少し恥ずかしい思いがある。


「ははっ、私としては校門で成実と会った時に、普段と違って砕けた感じだったことに驚いたかな」

「あはは〜、普段は作ってたからね……でももう取り繕わなくてもいいかなって、友也くんと相談して決めたんだ」

「あぁ、前から少し息苦しそうだったからな。いつからかは自分で決めることになってたが、翌日から早速変えるとは思わなかったよ」


 ふと周囲を見ると、成実の変わりようにクラスメイトも驚きを見せていた。というか男子たちが優等生の成実を好きだったなら、これで終わるとは思うが……



「フランクな神崎さん……」

「可愛いな……」

「だな……」



 ……無理そうだった。というかむしろ好感度が上がっていないか?



 そうしていつもの四人で雑談をしつつ、体育祭のリレーのことも話しているとチャイムが鳴ったので、各々席へと戻る。




 昼も中庭で落ち着いて昼食を取る。


「そろそろ中間だなぁ〜」

「そうだな」

「まぁ、友也からしたら中間よりも体育祭の方が優先か?」

「確かにそうかもだが、勉強も疎かにはしてないぞ。これで油断して負けたらそれこそ駄目だろ」

「ははっ、違いない」


 横を見ると成実と白雪も仲良さそうに話をしている。取り繕わなくなって、距離が近づいたようにも見える。楽しそうな彼女を見ていると、改めて勝負には負けられないなと思う。


「そういえば勝算はあるのか? あいつ、運動部の中でも早い方だぞ」

「んー、どうだろうな……」

「まぁ、元々友也は運動ができないわけじゃないけど、最近はほとんど……いや、筋トレくらいはしてそうだな?」

「あぁ、一応筋トレとランニングはしてるけど運動部に勝てるかと聞かれたら、厳しいだろうな」

「ならなんで受けたんだ? あ、否定してるわけじゃないぞ」

「それは……」


 少しイラッと来たのも、今後周りのせいで俺も彼女も生きづらくなるのもそうだが、彼女を自分のステータスやアクセサリと思ってそうな人間が嫌いだからというのが一番の理由だろう。

 中学の頃、瑠璃に言い寄ってきた人もそんな人間が多かった。それを怖がっていたし、嫌がっていた姿を見てきたから、もしかするとそれを重ねてしまったのかもしれない。



「まぁ、色々あるが松村には負けられない。全力は尽くすが……」

「ま、俺たちがリードした状態で友也にバトンを渡せばいいのか。あちらは運動部、こっちは帰宅部だ。気負わず頑張ろうぜ」

「そうだね。私も女子とはいえ並の男子よりは早い方だよ」

「うん! 私も頑張るよ!」


 いつの間にかこちらの会話に参加していた白雪と成実も心強い言葉をかけてくれる。


「あぁ、ありがとう。情けないが、正直すごい助かるよ」


 我ながら友人に頼らざるを得ないのは情けないと思うが、ここは好意に甘えさせてもらう。彼氏としてどうなのかと言われるかもしれないけど、相手の土俵で戦うんだから許して欲しい。それに先程も言ったが全力は尽くすし、不可能に近いが自分でも勝つつもりでいる。



 そんなことを話しているうちに昼休みの終わりが近づいていたので、四人は教室へと戻っていく。




 その日の六限、一か月前ではあるが、体育祭の説明と出場競技を決めることになった。


「誰かが部対抗リレーで異例の頼み事をして許可されたり、色々と生徒が湧いているからな〜。とりあえず体育委員の二人で仕切ってくれ」


 担任がそんなことを言う。というか昨日の今日で白雪の提案は通ったのか。



「了解しました。まず体育祭についてだが……」


 白雪と晃が前に出て体育祭の説明を始める。



 日程は六月の二週目の月曜日。その日は授業がなく、一日を体育祭に当てることになる。


 競技は二十種類ほどあり、一人につき二から三種目出なければならない。



「それでは出場競技について決めていく」


 部対抗リレーに出る人、もしくは可能性がある人は一か二種目で留めておくことになる。



「どの競技にするんだ?」

「えっとね」


 隣の席の彼女に聞いてみる。


「多分だけど紅白の女子リレーは出ることになるし、部対抗ももちろん出るから、一つだけになるんだけど……去年から気になってたのが借り物競争って競技なんだ」

「あ〜……」


 その年の体育委員によって内容が変わる競技だ。たまに盛り上がる内容のお題もあり、毎年生徒たちも楽しんでいるようだ。


「それに華ちゃんからも勧められたんだ」

「……ん?」


 体育委員で内容が決まり、白雪は体育委員……気のせいだよな?


「ま、まぁ、成実がやりたいのをやればいいと思うよ」

「うん!」


 白雪のお題が成実に当たるとは限らないので、彼女の意思を尊重したいと思う。


「友也くんは?」

「俺は部対抗リレーと、もう一つは余りでいいかなって」


 毎年いくつかは誰もやりたがらないし、ここで出しゃばっていくと他の生徒から目の敵にされそうなので大人しくしておく。



 そのままスムーズに決まっていき、彼女も無事に借り物競争、それから紅白リレーに決定した。

 白雪は成実と同じく部対抗と紅白のリレー。体育委員で当日に仕事があるので二つの競技にしたようだ。

 晃は意外にも借り物競争と部対抗、それから男子の方の紅白リレーだ。


 そもそもどうして三人が部活に入っていないのか以前聞いたことがあるが、成実は家の事、晃と白雪は多くの部活から勧誘があったが、やりたいことも無いし、どこかに肩入れしてもろくな事がないと全部断ったらしい。



 それで余りは……玉入れと一〇〇メートル走か。あ、玉入れもちょうど今、他の人が入った。


「後は友也だけだな。部対抗リレーと一〇〇メートル走でいいか?」

「あぁ、大丈夫だ」


 一〇〇メートル走は午前の競技で、部対抗リレーは午後の競技のようなので、疲労についても問題はないはずだ。



 そうして体育祭での出場競技が決まった。


 諸事情により普段よりも一時間遅れてしまい申し訳ありませんでした。


 そして、今回もご覧頂きありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

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