表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/143

70.勝負内容


「一ノ瀬くん、勝負をしないか?」

「断る」

「受けてくれてありが……え?」

「勝手に受けたことにするなよ……。こちらが受ける理由がないと思うんだが?」


 ここで下手に出ると文句を言わりたり、不利な勝負を無理やり受けさせられそうなので、受けること自体は構わないが、今は強気でいく。



 ちなみに肩を叩いてきたのはサッカー部の人だった。晃が親しみやすいイケメンとしたら、こちらは王子様系の高身長イケメンだろうか。

 もしかして体育祭で成実を賭けて勝負だ、とか言ってくるのだろうか。



「まあまあ、聞く前から断らないでくれ。今現在、君が神崎さんと付き合っていることに私たちは納得出来ていない。君も、それに神崎さんも、これから肩身狭い思いで学校生活を送るのは嫌だろう?」


 笑顔でそんなことを言っては来るが、脅迫じみてないだろうか。



「……まぁ、そうだな」

「だからこそ、勝負をしないかということだ。そうだな……体育祭でなんてどうだろうか?」

「先に中間があるが……」

「君は自分が勝てる勝負で対決して楽しいかい?」



 そう目の前の奴が言うと、それに同調した他の男子が捲し立ててくる。いや、その理論で行くと体育祭の方はサッカー部が有利だろう……

 そう思ったが、今何を言おうと、火に油を注ぐことになると思ったので口にはしない。



「別に勝敗はどちらでもいいんだ。ただ、君が神崎さんを大切に思っているのか、君が相応しいのかを見たくてね。まぁ、もしそこで神崎さんが心変わりしても恨まないでくれよ?」


 運動部と帰宅部では身体能力にかなりの差がある。それで恥をかかせて、成実が心変わりしたらよし、しなくても負けた俺は批判などをされ、確実に居心地が悪くなるだろう。


「それで受けてくれるかな?」


 そう奴が聞いてきた瞬間、昼の終わりを告げるチャイムが鳴った。



「放課後に答えを聞かせてくれ。……簡単に神崎さんを自分のモノにできると思うなよ?」


 立ち去り際り、俺にだけ聴こえるようにそんなことを言う。低い声で脅されるのは少し怖いな。しかし、モノ、か……



「友也くん……」

「大丈夫。なんとかなるさ」

「ということは……受けるの?」

「一応そのつもりだ。それにモノ扱いはな……」

「えっ?」

「いいや、なんでもない。気にしないでくれ」


 不安そうな彼女には大丈夫と伝え、席に戻るように促す。後ろからの視線が痛いが、サッカー部の奴――晃から聞いたが松村と言ってサッカー部のエースらしい――のこともあり、他に文句を言ってくるやつはいない。


 ここで受けなければ、それこそ肩身狭い思いをするのは明白だし、それに何より彼女をモノ扱いするのはいただけない。おそらく走りで競うことになるだろうが、勝てる見込みは少ないとはいえ勝ちに行く気でいかないとな





「それで一ノ瀬くん、どうするのか聞いてもいいかな?」



 放課後になり、俺のところに聞きに来る清水とその取り巻き。クラスで松村は晃と同じくらい男女に人気があるため、今回の成実の件は松村の決定で受け入れられるかハブられるかが決まるだろうとのことだ。


 ちなみに他のクラスの人も聞きつけたのか廊下にいるのは気になるが、噂にもなっていたし仕方の無いことだろう。



「あぁ、勝敗は関係ないんだろ? なら受けさせてもらうよ」

「了解だ」

「ただし……」

「ん?」

「どの競技にするつもりだ?」

「それは……」


 そう言って考え込む松村。考えてなかったのか。どうやら抜けてるところがあるようだし、当日何か仕掛けてくる線は薄いと思う。



「晃、体育委員だったよな? 同じクラス内で競える競技ってあるか?」


 やると決めた以上、こちらでも何かないか考えてみる。


「んー、あったかなぁ?」

「友也。部対抗リレーなら出来ると思うよ」


 もう一人の体育委員である白雪から助け舟が出される。晃にも白雪にも受けることは言ってなかったが、やると覚悟したし、それを察したからか協力してくれる。しかし成実は戸惑っている様子だ。



「……帰宅部っていいのか?」

「大丈夫だね。メンバーはどうしようか」

「友也がやるってなら俺は参加するぞ」

「あ、それは助かる」

「でも他の男子は全員敵だよな……」

「私と成実が入ろうか?」

「えっ、大丈夫なのか?」

「男子の方に女子が入るのは問題ないと思うし、私と成実なら多分教師に頼めばなんとかなるよ。それに事情を話せば許可も貰えそうだしね」


 教師からの信頼が厚いとはいえ、本当に可能なのだろうか。それに……


「成実はいいのか?」

「わっ、私は……友也くんのためなら何でもやるよ」

「あぁ、ありがとな」


 今一瞬、嫉妬や怒りではなく殺気が飛んできた気がしたな……



「そういうことだから、松村はサッカー部で、俺たちは帰宅部として部対抗リレーで競うのでいいか?」

「あ、あぁ、構わない」


 色々と無茶苦茶だが、一応そういうことで決定した。


「競技はそれでいいが、一ノ瀬くんと私はアンカーで固定にしようか」

「了解だ」

「決定だね。ということだ、他の皆も覚えておいてくれ」


 そう松村が呼びかけると、クラス内だけでなく廊下からも肯定する声が聞こえてくる。これで言い逃れはできなくなった。





『友也くん……』


 その日の晩も彼女と電話をした。


「あはは……売り言葉に買い言葉って訳では無いけど、今回は負けたくないんだ。それに、昨日も活躍するって言っただろ?」

『それはそうだけど……私、無理はしないでって言ったよ?』

「あぁ……申し訳ない。まぁ、勝敗は関係ないって向こうが言ってるから大丈夫だよ」

『そうだけど……』


 実際には負けるとどうなるか分かったものではないし、負けられない勝負と言っても相違はないが。彼女を不安に思わせたくないため、色々と伏せておく。



「それよりも、勝てたらどうするか考えたいかな。それにバレたから学校で隠す必要もなくなったしな」

『うん……うん、そうだねっ。そうしよ!』


 無理させてるよな……。無理に元気になろうとしてくれているのが伝わってくる。やはり勝負の方は受けずに、元々バラさずいた方が良かったのだろうか。


 しかし後悔しても仕方ないので、こちらも元気を出して彼女と電話をする。


 明日からは今まで以上に走り込みを強化しないとなと思い、その日は眠りについた。


 元気ない成実は見たくないですね……


 そして三人の協力はあるが、果たして友也は勝てるのか……! 中間の話を挟んだら体育祭始まります!


 というか嫌な人出すつもりなかったけど、気付いたらできてたな……まぁ、成実は学校で一番人気の女子だから仕方ないですね!


 それでは今回もありがとうございました。また次回の更新もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こういう展開のパターン見てると毎回思うのがなんで付き合うに至った経緯とか何も知らないモブ風情が見た目やら何やらでマウントとって調子乗るんだろうなぁ……と思うんだよね 告白する勇気やら成実に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ