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68.GW最終日

 今日はGW最終日だ。つまり、夜には彼女と電話を繋いで配信を見る。


 GWの最終日ということだが、やっておきたかったことも前日までで全て終わらせているので、昼間は比較的ゆっくりと過ごせる。

 銀の世界があまりアクティブユーザー数が伸びなかっただけで、ゲーム会社としてはアストラル社はトップレベルだ。ネットの反応を見ていると、新作ゲームか、どんなジャンルか、と言う声がよく見かけられる。



「MMOだといいな……」


 彼女とのきっかけにもなったし、個人的にはFPSやスマホゲームなどよりも自由に動き回れるゲームが好きだったりする。それにゲーム性やクオリティはとても高かったため、期待してしまう。


 まぁ、普通は既に一度失敗したジャンルを改めて作るとは考えにくいが、アストラル社では過去にそのような事例があるため、万が一ということもあるだろう。


「ま、夜には分かるか」


 そう判断し、何となくゲームをしたり勉強をして時間を使う。



 今日は七時前から電話を繋ぐ予定なので、早めの夕食と入浴を済ませてしまう。



 そして気付けば六時半となっていた。準備に関しては問題ない。ゲームでも用いているPCを立ち上げ、配信サイトを開いている。配信の待機中でもコメントは打つことができ、今も少しずつコメントが流れていっている。



『そろそろだな』



 急かす訳では無いが、こちらの支度は終わっていることを伝えるためにRICEを送る。


『そうだねっ』

『準備が出来たら教えてくれ』

『もうできたよ!』


 どうやら彼女の方も既に準備が済んでいたようだ。

 そういえば、彼女は一度も時間を破ったことはないな。俺を気をつけていこうと思いつつ、通話ボタンを押す。



「もしもし」

『もしもし、聞こえてるよ〜』

「おう。あと三十分もないな」

『そうだね。待ってる間はちょっと話そっか!』

「あぁ、そうだな」



 そうして彼女との電話を開始した。

 先日作ったガトーショコラを母親と美味しく頂いたとか、凄い褒めてくれたとか、そんな彼女の話を聞いていると、気付けば時間となっていた。



『そろそろだよっ』

「あぁ、カウントダウン始まってるな」


 配信開始までのカウントダウンが画面に表示される。一分前からこの画面に切り替わるが、先程以上にコメントの速度が早くなり、ついにカウントが一桁となる。


「『3、2、1、スタート!』」


 通話先の彼女と声を合わせ、俺達もカウントダウンを読み上げていた。何だか始まるという実感もあり、結構楽しかった。



『おぉー、豪華なメンバーだね〜』

「そうだな」


 配信は登場する人の紹介から始まった。ゲームで声を当てていた声優さんやアストラル社の開発担当、ゲーム部門の総責任者など、ゲーム好きの者からすると少なからず興奮してしまうメンバーだ。



 そのまま挨拶が終わり、重大発表……の前に、既存のゲームの紹介や最新アップデートの情報が語られた。


 アストラル社はスマホやPCのゲームを主に発売、運営しているが、その種類は様々であり、有名なゲームの多くに携わっていたりもする。



『あっ、これ! 前に友也くんとプレイしたやつだね』

「おっ、確かにやったな。イベントか……」



 彼女とはたまの休みに、一緒にゲームをしたりもしているため、お互いがやっている物の情報が出ると反応してしまう。




 ゲームの最新情報が伝え終わり、次こそ発表となった。


 画面にテロップが表示され、声優の人が読み上げる。


『新作MMORPG、今夏に配信決定!』


 コメントが一気に加速する。予想が外れた人、的中した人もその旨のコメントをしていたが、後者の方が多かった。

 というかやはり失敗しても取り返しに来るのがあの会社だ。普通ならユーザーも得られずに赤字になりかねないが、技術力はあり、固定ユーザーも多くいるからこそこのようなことができる。



『友也くん!』

「あぁ!」


 銀の世界をやっていた半ばでサービス終了をされた身としては、同じ会社の同系統のゲームは嬉しい。


『絶対やろうね!』

「もちろんだ!」


 彼女も同様で、先程までより言葉が力強くなっていた。


 当たり前だが、ストーリーや設定は一切違うだろうが、むしろ最新の技術で新しく好きな系統のゲームが作られるのだと、ポジティブに考える。



 そして、コメントや俺たちの熱も冷めやらぬ内に配信は終了した。あっという間だったが、一時間も経っているようだった。



『はぁ〜、もう終わっちゃったね』

「そうだな……まぁ、何となく予想通りって感じだな」

『そうだね。また友也くんと一緒にMMOをできるね』

「あぁ」

『……そういえばさ、もう半年以上経ってるんだね?』

「ん?」

『初めて約束して会った時からだよ!』

「あっ、もうそんなにか。そうか十一月だったな……」


 出会ってから半年以上も経っていたのか。それに付き合ってからももうすぐ二ヶ月だ。


「あっという間だったな」

『そうだね』

「まぁ、ゲーム内だともっと早くからパートナーだったけどな」

『ふふっ、そうだね!』



 その後も電話で今までの事などを語らった。



『そういえば来月には友也くんの誕生日だね』

「あぁ、そうだったな」

『今のうちから何か考えとかなきゃ!』

「んー、まぁ、成実がくれるものならなんでも嬉しいがな」

『それは嬉しいんだけどっ、でもせっかくならしっかりと考えて選んだものをプレゼントしたいよ!』

「ははっ、ありがとな」

『うん!』


 昨年までは瑠璃がお祝いで手作りのお菓子やプレゼントをくれたり……あとはまぁ、晃と白雪は中学くらいからか、誰かの誕生日には本人の食べたい飯を奢るようになっていた。毎年何かプレゼントを考えるのも大変だし、簡単なものにしようって誰かが言い出したな……


「まぁ、その前に中間と体育祭だな」

『そうだね! って言っても友也くんも勉強の方は完璧でしょ?』

「まぁ、一応な。成実は体育祭の方も今年も活躍しそうだな」

『去年はクラスの人に頼まれたから頑張っただけだよ。それに学校では意識して優等生をやってるし……』

「……そうだったな。……今年は彼女も見てる事だし、少しは俺も活躍しなきゃだな」

『それは嬉しいんだけど、無理はしないでね?』

「あぁ、もちろんだ。まぁ一応、去年末くらいから体力作りはしてるしな」


 彼女に相応しい人になろうとランニングや筋トレをやっていたが、以前よりも少しだけ筋肉がついた気がする。元々運動は嫌いじゃないし、目的を持ってやるのは苦ではなかった。


『そうだったんだ……!』

「簡単なのだけどな。ってもうこんな時間か」

『えっ? 明日からは学校だから寝なきゃだね……』

「あぁ……。まぁ、やっと会えるな」

『っ! うんっ、そうだね! それじゃ、おやすみなさい!』

「おう、おやすみ」



 明日からは再び学校が始まる。中間考査もあり、体育祭もある。去年までなら少し憂鬱だったかもしれなかったが、彼女と会えるということだけでもお釣りが出るくらいだ。


 電話を切った後、準備を済ませて、布団に潜り込むとすぐに深い眠りに落ちていった。



 勉強完璧とかいつか言ってみたいですね……


 体育祭編……ずっと書きたかった! さらに、それが終われば夏も近くに! その前に梅雨ですか。パッと浮かぶシチュエーションが大量にありますね……

 まぁ、書ききれなければ来年でもいいですし、今は目の前の体育祭からですね。


 それでは、今回もありがとうございました。次回もまたよろしくお願いします。

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