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61.ショッピングモール その6

 店を出てのんびりと二人で歩いていると、気付けば夕方になっていた。


「途中から楽しくなっちゃって、ごめんね……」

「気にしなくていいよ。俺も楽しかったし、どんな服着ても成実は可愛いんだなって思ったし」

「そ、そっか……えへへ、ありがとっ」

「おう」


 今日で彼女との距離が一段と近づいた気がする。それに褒めるのや、食べさせ合いなどにも抵抗が薄くなったと思う。今まで照れてしまい、言えなかったこともあったが、これからはちゃんと伝えていこうと思う。



 そして元々夕食までには帰る予定だったため、夕方ということでいい時間だろうと、二人でショッピングモールを出るために出口まで並んで歩いていく。


「ん?」

「どうしたの?」

「あ、いや、晃の声が聞こえた気がして」

「和泉くん……? あっ、そういえば華ちゃんが今日来るって言ってたよ」

「あぁ、晃から俺も聞いたよ。だから聞き間違えじゃなければもしかしたら本当に晃の声かもしれないな」

「ふふっ、そうだね」


 まぁ、わざわざ探す理由もないだろうと、二人で再び出口まで向かっていると、後ろから声をかけられた。


「やっぱり友也だったか!」

「ん? やっぱり晃か」

「やぁ、昨日ぶりだね。友也、成実」

「ふふっ。そうね、華ちゃん」


 予想通りというか、まさか向こうから声をかけられるとは思わなかったが、先程のは晃たちの声で間違えなかったようだ。


「二人はもう帰るところなのかい?」

「あぁ、そうだな」

「そうか。俺と華はもう少し遊んでから帰るから、会ってすぐだがお別れだな」

「おう、またな」

「またな!」


 そう言って別れはしたが、服などの荷物を持って出口方向へ向かっていたことから考えると、彼らももしかすると帰るところだったのかもしれない。

 というか成実の持つ袋と同じものを持っていた気がするのは気のせいだろうか。



「感謝しなきゃな」

「うん、そうだね」


 彼女も気を遣われたことに気付いていたようで、俺に同意する。


「それじゃ、俺たちは帰るか」

「うん。帰るまでがデートだしね!」

「ははっ、そうだな」


 そんなことを話しながら長かったようで、あっという間だった彼女とのデートの帰路へと着く。



 帰りの電車では空いていたため、席に座り、彼女と話しながら最寄り駅に着くのを待った。いや、離れたくない気持ちもあるため、このまま着かなければなどと考えていた部分もある。




「着いちゃったね……」

「そうだな……」


 いくら考えたところで電車に乗った以上は目的地に着いてしまう。そんなことは当たり前だ。


「うん、やっぱり慣れないね」

「あぁ、俺もだ」


 今日の思い出はいくつもある。それにクレーンゲームでとったキーホルダーや、プリクラなど、彼女とお揃いのものもあるが、別れ際の寂しい思いはいつになっても慣れそうにない。


 帰らなければならないのに、二人の繋ぐ手が先程以上に固く握られてしまう。


 ふと彼女の方を見ると、彼女もこちらを見ていたようで、視線が交差する。そして体をこちらに傾け、寄りかかるようにくっついてくる。


「えへへ、やっぱり私って友也くんのこと大好きなんだね」

「俺も成実のことが大好きだよ」

「うん、知ってるよ。たくさん思ってくれてるのがいつも伝わってくるんだ」

「何だか恥ずかしいな……」

「私としては凄く嬉しいんだけどね?」


 そう言って彼女はニコリと笑いかけてくる。少し恥ずかしくなり、俺はつい視線を逸らしてしまう。

 電車が着いてからしばらくしたため、駅には誰もいなく、不気味なほどに静まり返っている


「ねぇ、友也くん……」


 横にいる彼女がそう囁く。彼女の方を向くと、目を瞑りこちらを見上げていた。

 身長は彼女の方が十センチ以上小さいため、見上げるようになっていたが、彼女の言わんとすること、したいことは理解出来た。


 昼間は俺のせいでできなかったことを、彼女はしようとしている。以前の頬の時も彼女からしてもらったが、本当に引っ張ってもらいっぱなしだ。勇気を出して俺を受け止めようと、待っていてくれる彼女のためにも、そして不甲斐ない自分を断ち切るためにも、彼女へと顔を向ける。


 そして、彼女のように目を瞑り、自らの唇を彼女の唇へと重ね合わせる。



 とても長く感じるが、実際は一瞬にも満たないかもしれない。彼女との初めての接吻をした俺は、ゆっくりと顔を離して目を開ける。彼女も同様に目を開け、こちらを見る。


「ふふっ、ありがとね」

「こちらこそだ、ありがとう。これからもよろしくな」

「うん!」


 不思議と恥ずかしさなどはなく、何だか胸が暖かく、心が満ち溢れてるような感じがする。


 そして、しっかりと繋いでいた手を離す。


「それじゃ、今度こそ帰ろっか!」

「あぁ、そうだな。今日はありがとな」

「うん! それじゃ、また勉強会の時にね!」

「おう!」


 そう言ってそれぞれ帰ろうとしたが、彼女が思い立ったように俺の事を引き止めた。


「ん? どうかしたか?」

「あっ、ちょっと屈んで?」

「こうか………!?」



 彼女に屈むように言われ、そのようにすると、今度は彼女からキスをされた。


「あ……」

「えへへ、さっきは友也くんからだったからねっ。それにもっとしたかったしさ……今度こそまたね!」


 いつか見たような無邪気で可愛い、大人っぽさもある表情で立ち去っていく。


「ははっ……」


 以前のようにいきなりのことで反応できなかったが、先程のように胸が暖かくなっている。


「やっぱり敵わないな」


 そんなことを言いつつも、満ち足りた表情で家への帰り道を歩いていく。


 今回のデートではスイーツ店で奢らせてくれなかったり、よく考えたら先程のように、キスしたら返されていることを思い出し、対等でいたいと思ってくれているのかなと思う。

 そんな彼女が愛おしいし、これからもずっと一緒にいたいと改めて思った。

 長かったデートも終わりで、GW後半が終われば体育祭……!

 私の学校ではできなかったことを詰め込む予定です。というか最近はどの学校でも規模を縮めたりするのを余儀なくされてますよね……

 せめて作品内では人が集まったり、やりたいことを思う存分したいと思います!


 それでは今回もありがとうございました。また次の機会にお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 付き合って2ヶ月でやっとキス・・・プラトニックにも程があるぞw [気になる点] せっかくの一大イベントなのになんかあっさりしてる [一言] これからも頑張ってください!
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