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59.ショッピングモール その4

「あ、証明って言ってもプリとかあーんとかでいいみたい」

「本当だな。プリクラ……」


 先程のことを思い出し、二人で顔を赤く染める。


「あーんにするか……?」

「うん、そうしよっか」


 あのプリクラは二人だけの秘密としたい。それに恥ずかしさもあるので、それなら以前もやったことのある食べさせ合いの方がいいと思った。

 ちなみに、あの魅力的なカップルメニューを断るという選択肢は俺たち甘党には最初からない。そして意を決して、店員さんを呼ぶ。


「お待たせしました。ご注文でしょうか?」

「はい、このカップルメニューを一つお願いします」

「かしこまりました。少々お待ちください」


 そう言って奥へと注文を伝えに戻る店員さん。後悔はしていないが、待ち時間で恥ずかしさがじわじわと湧いてくる。


「頼んじゃったね……」

「そうだな……まぁ、気になってたし、これで食べずに帰るのも嫌だしな」

「そうだね。うん、今更考えたって仕方ないんだから、楽しみに待とっか!」

「あぁ、そうだな」



 そして少しの間待っていると、どうやら完成したようで、実物を持った店員さんがこちらへと向かってきた。

 写真で見た時から魅力的だったが、実物はそれ以上だ。グラスの上にも、そして中にも新鮮でみずみずしく、輝いているようにすら見えるフルーツが入っており、真っ白でなめらかな生クリームもふんだんに使い、見るからにとても甘そうな一品が届いた。


「はぁ……!!」

「おぉ……!」


 俺も彼女も目の前のフルーツパフェに目を奪われていた。様々な果実が使われ、普通に頼んだらかなり高値がつきそうなのだが、若者のカップルでも頼めるようにしたのか安価でこれを食べられることができる。


「それでは何か証明出来るものをお願いします。例えば、お写真や、少数ですがキスされるカップルもいますね」


 例にプリクラやあーんなどと書かれていたため躊躇ったが、どうやら普通のツーショット写真でも良かったようだ。


「普通の写真でもいいのか……あ」

「あっ、そういえば二人で撮ったのってさっきのが初めてじゃ……?」

「そ、そうだな……」


 やはり人前でのあーんは抵抗があったため、抜け道が出来たと思ったが、今まで彼女とのツーショットを撮ったことがなかった。


「それじゃ、あーんしかないね……?」


 彼女が何か期待するような視線を向けてきた。以前に一度やったことがあるが、もしかしてまたしたいと思っていたのだろうか? まぁ、俺自身も喜んでいる部分があるが。

 そして、ここで俺が何を考えたところで変わらないと思い、彼女の意見に乗っかる。


「そうだな。それしかないな」


 そうして友也はスプーンを手に持ち、一口分すくい上げて彼女の口元へと運ぶ。もはや店員さんそっちのけで普通にあーんをしているのには今の友也も成実も気付いていない。


「い、行くぞ。あーん……」

「あーん……パクっ。……んー! 美味しいっ!」


 一口食べ、歓喜の声を上げる彼女。そして、次は彼女がスプーンを手に持ち、俺の方へと向けてくる。


「はい、あーん……」

「あーん……んん! 確かにこれは美味いな!」


 俺はいつになくテンションが上がる。口に入れた瞬間、フルーツの甘さと生クリームのまろやかさが広がり、幸福感で体を満たしてくれる。そんな味のパフェだ。


「あれ……?」

「ん? どうした……あっ、いないな」


 彼女が疑問そうに見ていた方を見ると、気付けば店員さんがいなくなっていた。


「もしかしたら途中で空気を読んで帰ってくれたのかな?」

「そうかもな。まぁ、おかげで落ち着いて味わえたけどな」


 途中からは半ば存在を忘れていたが、どうやら証明の方は大丈夫だったらしく、伝票が置かれていた。



 そのまま二人で一つのフルーツパフェを平らげた。一口一口を味わって食べ、たまに食べさせ合いながら。

 完食した時には俺も成実も幸せそうな顔をしていただろう。


「美味かったな。よし、次は食べ放題行くか」

「うん! まだまだ食べるよ〜」

「ははっ、美味しそうなものがあればまたシェアするか」

「そうだね! せっかくだし色々食べたいし」


 先程のことからあーんへの抵抗が無くなった。それは彼女も同じようで俺の提案に乗った。それに色々と食べたいのも事実だ。

 俺たちは席を立ち、それぞれ好きなものを取りに行った。



 美味しそうなもの選んでから席に戻ると、彼女は先に戻っていたようだった。


「あ、先に食べててくれても良かったんだけどな」

「んー、言われてても待ってたと思うよ。それより何取ってきたの?」



 そうして俺たちはお互いのものを見て、美味しそうなものは食べさせ合いつつ、じっくりと様々なスイーツを堪能した。



「あははっ、一時間以上もお店にいたんだね」

「ははっ、そうだな。まぁ、満足いくまで食べれて良かったよ」

「うん! それじゃ、次は……って思ったけど食べてすぐだし、のんびり歩きながらウィンドウショッピングでもしよっか」

「あぁ、賛成だ。この後は服を見に行くつもりだったが、今は服着るよりものんびりしたいな」

「うん、そうだね。それじゃ行こっか!」

「おう!」


 そうして会計を済ませた後、はぐれないように二人で手を繋いで寄り添いながら歩いていく。


 しかしこの時、隣にいる彼女が容姿端麗で目立つことを失念していたのと、お腹が膨れたために満足感に溢れており、周囲にいた人物に気付くことができなかった。そのため友也は後悔することになるが、それはまた後の話である。


 あれ?写真撮ったことなかったっけって思って過去話を振り返ってしまう作者……。読み返して、分かりにくい場面なんかもあれば修正入れていきたいと思います。

 あ、ちなみに、これが作者の見落としで実際はツーショット撮ってるぞって見つけた方がいましたら感想欄かメッセージを飛ばしていただけると凄い助かります!


 それから最後に不穏な雰囲気……とまでは行きませんね。それにシリアス展開は私が望んでないので、変な風にはなりません。それに実際に後悔するのは結構先になるので頭の片隅にでも置いておいてください。


 それでは長くなりましたが、今回もありがとうございました! 次回もまたよろしくお願いします!

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