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53.自室とお菓子

 前話終盤を一部修正しましたことを、報告させていただきます。


「何かしたいことはあるか?」


 今、彼女が家にいる。いわゆるお家デートというものだと思う。しかし、初めての恋人でもあるので何をすればいいのか分からない。


「んー……そうだ! アルバムとかないかな? お家デートといえば幼い頃のアルバム見たり、一緒にゲームしたりとかじゃないかな」

「なるほど、アルバムか。俺の部屋の引き出しの奥にあった気がする……」

「友也くんの部屋……入ってもいい?」

「あ、あぁ、案内するよ」


 そう言って俺は彼女を自室へと招いた。




「これが俺で、こっちが晃と白雪だな」


 部屋に入り、彼女の希望通りアルバムを見る。


 中学は同じ学校だったので、今は幼少の頃のアルバムを見ている。


「わぁ……可愛い!」

「そ、そうか?」

「そうだよ! 今は凄くかっこいいけど、この頃は目もくりくりしてて、ほっぺも柔らかそうで、すっごく可愛いよ!」


 いつになくテンションが上がっている気がする。というか自分の幼少を見られ、可愛いを連呼されると何だかむず痒い。というか今はかっこいいって……


「これは晃たちと海に遊びに行った時のだな」


 アルバムを見返していて思ったが、俺は晃たちといるか一人でいることしかしていなかったな。

 旅行は晃の母親か俺の父親、もしくは白雪の父親と一緒に行っていた。

 晃の父親は単身赴任で色々なところに行っていたりする。

 それから白雪の家は今でこそ落ち着いているが、昔は母親が凄く厳しかったこともあり、白雪は仮面を被り、取り繕うように生きていた。その癖であの口調になっているが、本人が気にしていないなら別にいいのだろう。



「あれ、この美人な人って誰?」


 成実は一人の女性を指して、俺に尋ねてきた。


「あー、この人か……晃のお姉さんだよ」

「どんな人なの?」

「なんて言うか結構自由奔放で、無茶苦茶な人かな……」


 晃のお姉さん。晃の三つ上だが、歳以上に大人っぽく見える。しかし見た目の落ち着いた雰囲気とは裏腹に自由人で、晃をよくおもちゃにして遊んでいたことを思い出す。まぁ、あの人のおかげで晃も女慣れしたから悪いことばかりではなかっただろう、多分。


「友也くんがそこまで言うとは……まぁ、和泉くんのお姉さんなら私は関係ないかな」

「まぁ、そうだね」


 それに下手に遭遇して、成実に変な影響を与えるのは避けたい。とはいえ会うとしても、一人暮らしをしている大学生なので、長期休みくらいにしかこの街には帰ってこないだろう。



「こんなところかな」


 部屋にあったアルバムを一通り見終え、引き出しに全てをしまう。


「友也くん、ありがとね。わざわざ引っ張り出してもらっちゃって」

「いや、気にしなくていいよ。久々に見てて俺も楽しかったしな」

「ふふっ、それなら良かった」


 そう言って彼女は微笑む。自室にあるアルバムを見るだけでこの笑顔が見れるならばいくらでも見せよう。それに母さんとの思い出やアルバムは父さんの部屋にあるから見せる必要はなかったのもある。

 まぁ、瑠璃の言ってたことが将来的に実現するのなら、いつかは覚悟を決めなければなのだろうが。




 その後は二人でゲームをすることになった。古いパソコンが一つあったので、それを引っ張り出して使った。


「そういえば銀の世界の会社がGWに発表があるって告知してたね」

「そうだったな。なんだろうか」


 銀の世界……俺と彼女が共にプレイしていたゲームであり、思い出深いゲームだ。

 あのゲームの会社である『アストラルカンパニー』という会社はオンラインの対戦ゲームやソシャゲなどを主に作っていたが、会社初のMMOゲームとして銀の世界を作り、運営していた。

 調節が下手だっただけで、グラフィックやストーリーは良かったため、一部のファンからは続編の希望も出ている。



「もしかして続編か?」

「かもね! もしそうだったら、また友也くんと二人で一緒に冒険できるよ!」


 あのゲームがサービス終了したからこそ彼女と出会えたが、だからこそ感謝もしている。続編が出たならば必ずプレイするつもりだ。


「まぁ、何はともあれ楽しみだな」

「ふふっ、そうだねっ」



 そうして話をしながら色々なゲームを触れつつ二人で過ごした。



 昼食から少し経ち小腹も空いてきた頃に、俺は一階から作っておいたお菓子を部屋に持っていった。


「シンプルなクッキーと一口サイズのプチマンゴーマフィンだ」

「わぁ、凄いよ友也くん!」

「前にお菓子もよく作るって言ったからな。せっかく家に来るのなら食べてもらいたくてな」

「ありがと! 食べてみてもいいかな?」

「もちろんだ」


 そう答えると、彼女は待ってましたとばかりにクッキーに手を伸ばし、一口でパクっと食べてしまう。


「ん〜! すっごく美味しいよっ」

「それなら良かった。まだまだあるから遠慮せずどうぞ」

「うん!」


 他のことは余り自信が持てないが、瑠璃からも、そして成実からも好評なお菓子作りに関してはある程度自信を持っている。

 自分でも、外はサクサクで口に入れると程よい甘さが広がるクッキー、それから柔らかくて食べやすいサイズでマンゴーの甘さが引き立つマフィンを口にする。


「うん、美味しいな」

「そうだね! って友也くんが自分のことを認めるのって珍しいね?」

「そうだな。まぁ、逆にお菓子作りくらいしか自分で納得できる部分はないがな」

「ふふっ、一つでもあれば他のこともいつかは自信が付くと思うよ!」


 瑠璃からも認められ、過去に母さんの手伝いとしてよくやっていたお菓子作り。長年やっていることであり思い出もあるため、これだけは自身もある。


「まぁ、今日はこの二つだけだが、まだまだレパートリーもあるから今度ご馳走様するよ」

「うん! 友也くんのお菓子、凄く楽しみだなぁ〜」


 そう言って笑顔になる彼女。俺も彼女も甘いものが好きなので、次もしっかりと美味しいものを食べてもらいたいと思う。




「もうこんな時間なんだね……」


 気付けば日が傾いてきていた。彼女といるといつも時間がすぐに過ぎてしまう。それほど楽しく、幸せな時間だということだが、その分別れの時になると名残惜しさが込み上げてくる。


「まぁ、遅くなりすぎても危険だしな」

「そうだよね……うん、今日はお暇しようかな」

「おう、送っていくよ。あ、断るのはなしで」

「えっ……もぉ、そう言われちゃったら仕方がないや」


 彼女が遠慮するのは分かりきっているので先に言っておいたが、正解だったようだ。


「それじゃ、行くか」

「うん! あっ、瑠璃ちゃんにも一言だけ言ってから行きたいかな」

「あぁ、そうだな。その方が瑠璃も喜ぶし行ってきてくれ」

「うん!」


 彼女が瑠璃のところに行っている間に、俺は古いパソコンを仕舞い、お菓子のお皿を一階の流しへと運ぶ。



「友也くん!」

「おっ、もういいのか……って瑠璃も降りてきたのか」

「うん、お見送りだけね。流石に別れ際の二人の時間は邪魔しないよ」

「お、お前なぁ……まぁ、有難く一人で送らせていただくよ」


 そんな軽口を叩きながら俺たちは玄関へと向かう。



「それじゃ成実さん、またいつでも来てほしいな」

「うん。ありがとね、瑠璃ちゃん! またね!」

「うん、また! それじゃ、お兄ちゃんはしっかりと成実さんを送ってきてね〜」

「言われなくてもそうするよ。よし、行くか」

「うん、お邪魔しました!」


 瑠璃とも挨拶を終え、俺たちは完全に暗くなっている夜道を二人並んで歩いていく。


 今回は日が暮れており危険だということもあり、彼女の家までついて行くことになった。


「わざわざごめんね」

「俺がしたいからしてるだけだし、気にしなくて大丈夫だ」

「ふふっ、ありがと」

「あぁ、どういたしまして」


 大切な人を危険には晒したくないので、すぐ傍で手を繋いで歩いていく。まぁ、もう少し一緒にいたい気持ちがないかと言えば嘘になる。



 しばらく二人で話しながら歩いていると、彼女の家のすぐ近くまで来ていたようだった。


「もうそろそろ家だ……今日はありがとね」

「こちらこそ楽しかったよ。ありがとう」

「うん! それじゃ、また明日!」

「おう、またな! おやすみ」

「おやすみなさい!」


 彼女の家の前でそう別れの挨拶をし、彼女が家に入っていったことを確認した後、俺も自宅へと足を進める。


 今日の楽しかったことの振り返りながら家へと帰る足取りは、とても軽かった。

 前話に加え、あらすじも変更しました。

 完全初心者なので、何を書けばいいのかすらわからなかった時に書いたものなので、変更後の方がいくらかは内容がわかりやすくなってると思います。

 継続して読んでくださっている読者様は内容も把握しており、基本関係ない話ですが一応報告させて頂きました。


それからリアルでの事情があり、先週まで忙しかったのに、更にこれから多忙になる可能性があるため、もしかしたら不定期更新になるかもしれないことをご了承ください。


 それでは今回もありがとうございました。

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