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48.妹と彼女

 進級してから少し経過し、クラスや委員にも慣れてきた頃、今日は放課後に学級委員長としての集まりがある。聞いた話によると瑠璃も委員長になったそうだ。


 後から聞いた話になるが、首席合格していたそうで、担任からの推薦があり、委員長になったそうだ。自分の妹が首席だとは思わなかったが、瑠璃の成績なら十分有り得そうな話だった。


「それじゃ、集まり行きますか」

「そうだね!」


 終礼が終わり、クラスから人がいなくなった頃に、俺と成実は教室を出た。


「放課後すぐなら楽だったんだけどな」

「生徒会長も三年生で、委員会担当の先生も三年生の担任だからね〜。仕方ないと思うな」


 今日の各クラスの委員長の招集は、最後の授業が終わってから一時間後となっていた。


 高三に合わせるため、少々時間が遅くなってしまったのだ。待ち時間は成実と教室で話をしたりして過ごせたから、本音を言うとそこまで嫌ではなかった。



「ここか」

「そうだね。入ろっか」

「おう」


 二人で部屋へと入ると、中にいた生徒からの視線が集まった。


 担当の教師へ学年とクラスを告げ、席について他の生徒を待つ。

 その後、集合時間の五分前には全クラスの委員長が集まり、委員としての仕事や、これからの学校行事についての説明をされ、解散となった。




「お兄ちゃん、帰りに買い物行かない?」


 成実と別れ、荷物を整理してたところに瑠璃から声をかけられた。


「了解、行こうか」


 元々今日明日にでも行こうと思っていたし、時間もあるので一緒に行くことにした。



 駅近くのスーパーへと向かい、そこで買い物をしていると、一人で買い物をしている成実を見つけた。母親は忙しく、去年末から積極的に自炊もするようになったと言っていたことを思い出し納得する。


「あれ? 彼女さんだ」


 隣にいた瑠璃も成実の存在に気付き、そんなことを口にする。


「ねぇ、お兄ちゃん。声掛けてもいいかな?」


 周囲に生徒がいないことを確認してから、瑠璃に首肯する。瑠璃は年末に電話で話してから、今度直接会ってみたいなと言っていたので、今の状況なら大丈夫だろうと許可をした。



「成実」

「えっ、友也くん!? あ、買い物かな? 前もこの場所で会ったよね」

「あぁ、そういえばそうだったな。あ、こいつが前に話してた妹の瑠璃だ」

「は、はじめまして!」

「あぁ、妹さんの……はじめまして、えっと瑠璃ちゃんって呼んでもいいかな?」

「もちろんですっ。えっと、私も成実さんって呼んでいいですか?」

「えぇ、もちろん」


 電話で話をしたことがあるとはいえ初対面ということもあり、成実は学校と普段の中間くらいのキャラとなっている。



「あっ、ええっと……」


 そして瑠璃も緊張からか、普段とは違い上手く話せないでいる。


「あ、その、お兄ちゃんの……お兄ちゃんのどこを好きになったんですか?」

「る、瑠璃!」

「えっ!? えっと、それは……最初は優しいところからかな。でも段々と彼の他の部分も知れて、ますます好きになって……」


 不意に瑠璃がそんなことを聞き、俺も成実も驚いたが、成実は質問に答えていく。目の前で自分の好きなところを言われるって凄く恥ずかしい……



「それに私の事を考えてくれてるんだなぁって感じられるのも好きだし、一緒にいて落ち着くし……って話し込んじゃってごめんね!」

「いえ、私から聞いたことだし大丈夫ですよ」


 しばらくして俺の好きなところを語っていた彼女が我に返った。俺は途中から顔を背け、恥ずかしいのでできる限り聞かないようにしていた。

 そして瑠璃は安心したような顔で成実を見る。


「お兄ちゃんの彼女さんがいい人そうで良かった……あ、そういえばこれが約束の寝顔の写真で……」

「おい、瑠璃」

「あっ……何かな、お兄ちゃん?」

「正月は見逃したが、今日は許さんぞ?」


 そう言って俺は瑠璃へとにこやかに笑いかける。瑠璃が涙目で震えているのは気のせいだ。


「と、友也くん、前に私からお願いしたことだから許してあげて?」


 彼女から言われたなら仕方がない。


「はぁ、分かったよ。次はないからな?」

「は、はい! もうしません!」

「よろしい」

「……ふふっ」


 そんなやり取りをしていると、成実に笑われた。


「どうした?」

「いや、二人とも仲がいいんだなって思ってね」

「まぁ、かれこれ十何年も一緒にいるからなぁ」

「年々お兄ちゃんの過保護っぷりにも拍車がかかったよね〜」

「そうか?」

「うん!」


 言いきられてしまった。そんなつもりはなかったんだがな。


「いいなぁ……」

「あ、成実は一人っ子だったか」

「うん。家だと一人でいることが多いから兄弟とかちょっと憧れちゃうな」

「んー、なら成実さん、今度家に遊びに来ない?」

「えっ!」

「お兄ちゃんの彼女さんだし、部屋も空いてるから泊まりだってできるよ! もしくは私が成実さんの家にお泊まりとかもしてみたいな〜」

「ぜ、是非! あっ、でもお泊まりの方はまだ早いというか、恥ずかしいというか……」


 嬉しそうな表情で瑠璃の提案に乗ったが、最後は消え入りそうな恥ずかしそうな声になっていた。俺も泊まりはまだ早いと思うし、普通に恥ずかしい。というか遊びには来てくれるのか。


「それじゃ、今度家に遊びに来てね!」

「うん! ありがとね瑠璃ちゃん」

「こちらこそだよ。あっ、連絡先交換してもいいかな?」

「もちろんだよ」


 すっかり打ち解けた瑠璃と成実。今度家に成実が来ることも決まった。来る時にはお菓子でも振る舞うか、と考えながら二人の様子を見守る。


 傍から見れば仲の良い姉妹のようだ。もし成実と結婚したら実際に……って何考えてるんだ。自分の中でそんなことを考えていると、彼女たちは話が終わったようだった。



「それじゃ、お兄ちゃん。買い物済ませて帰ろ?」

「そ、そうだな」

「どうかしたの?」

「いや、なんでもない。気にするな」

「んー、了解っ」


 変なことを考えていたことは気付かれないようにしないとな。


 そして普段よりもテンションの高い瑠璃と買い物を済ませ、俺たちは家へと帰って行った。

 今回もご覧頂きまして、誠にありがとうございました。


 更新時間が日に日に遅くなっている気がするのは気のせいですね。私情が忙しいのも残り数日で終わるので、もう少ししたら時間も更新も安定させられます。

 というか忙しい忙しい言いながら毎日更新できてますね。息抜きとかでコツコツ書いてたら意外と書けちゃいました。


 えー、それでは、今後ともどうぞよろしくお願いします。

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