47.校外学習行きのバスで
翌日の朝、言われた通りに班やバスの席順、それからパンフレットを渡された。
「マジか! よろしくな、友也!」
「あぁ、こちらこそだ。よろしくな、晃」
運良く晃、白雪も同じ班となった。担任はクジでと言っていたが、委員や仲の良い人で固めた可能性があるな……まぁ、今回はそのおかげなのでこれ以上は考えないようにする。
成実や白雪に好意を抱いている男子からとても睨まれているが、決めたのは俺ではないんだがな。ちなみにバスも班で固められ、学級委員長である俺と成実は一番後ろで隣の席となった。
そんなこんなで当日となった。
一年の瑠璃も同じ日に博物館へと行くことになっているため、お互いに忘れ物がないか確認してから家を出る。
「……よし、全員揃っているな」
今日は委員長としてクラスメイトの点呼、スケジュール管理等々をしなければならない。成実が優秀なため俺がすることはほとんどないが。
全員がバスへと乗り込んだことを確認して、目的の美術館へと出発した。
「友也くんと隣の席〜」
「そ、そうだな……」
一番後ろということで、周りの目を気にせずに二人で話していられるが、バス内ということもあり、距離が今までで一番近い。
小声で会話を続けているが、俺の顔は赤く染っているだろう。彼女は気にしていないのか普通にしているが、こちらとしては気が気でない。
まぁ、嬉しくない訳では無いし、二人で普通に話ができるのはここだけなので、前から気になっていたことを聞いてみることにした。
「そういえば一つ聞いていいか?」
「何かな?」
「成実はどうしてこの学校にしたんだ?」
「あ〜、うん、えっとね……」
歯切れが悪そうに、目を逸らしてしまった。何か言い難い理由でもあるのだろうか。そう考え始めたときに彼女が口を開いた。
「近かったのもあるんだけど……」
「あるんだけど?」
「友也くんがこの高校に行くって聞いたからなんだよね……」
「っ! そ、そうか……」
思いもよらない返答が返ってきてしまい、俺も彼女同様に恥ずかしそうに頬を染める。
「そういえば友也、今日のルートなんだけど……あ〜、お邪魔しました〜」
「あっ、お、おい晃!」
「どうしたんだい晃?」
「いやぁ、後ろがとてもアツアツでね。邪魔しちゃ悪いかなぁと」
俺の制止も聞かずに晃は身体を正面へと向け直し、白雪とそんなことを話していた。タイミング悪く、ちょうど俺たちが照れているところを見られてしまった。
その後は二人の間に沈黙が流れ、気付かないうちに目的地へと着いていたようだ。
「着いたぞ〜。全員降りろ」
担任のそんな声でバスに乗っていた生徒が前の方から降りていく。
委員長として点呼を取るため、俺たちもバスを降りてからクラスメイトを並ばせ、人数を数える。
「全員揃ってます」
担任へとそう告げ、全体でスケジュールを確認した後、班に分かれて各自で行動することとなった。
気を取り直して、俺たち四人は班で動き始めた。
「そういえば友也、さっき何があったんだ?」
「い、いや、別に特に言うことじゃないから大丈夫だ」
「ははっ、まぁ、普段は他の奴らの視線もあるしいちゃつけないからなぁ」
「確かにそうだが……凄い恥ずかしい……」
「俺も忘れるし、気にすんなって!」
晃とそんなことを話しながら歩いていく。ちなみに成実と白雪だが、お互いにお互いと話をしたみたかったらしく、俺たちが話している間に意気投合し、今では楽しそうに会話をしている。
「成実ってお堅いイメージがあったけど、話してみると普通の女の子じゃないか」
「華ちゃんこそ、毒舌だなんて聞いてましたけど、全然そんなことないですよねっ」
そしていつの間にかお互い下の名前で呼びあっていた。まぁ、二人とも同性の友人がほとんどいなく、クラスでも一人でいることが多かったため、仲が良くなっているのはとてもいい事だと思う。
成実が敬語なのは学校でのキャラのためだろう。
「いつの間にか打ち解けてんなぁ」
「そうだな。二人とも初対面の人相手には凄く警戒するけど、打ち解けると一気に親しくなるタイプだよな」
「確かにそうだな。いやぁ、良かった良かった!」
二人に混ざり、俺たちも会話へ加わる。そして仲良くなった四人で美術館の中を歩いて周り、昼食時も和やかな雰囲気で過ごせた。
そうして楽しい時間はあっという間に過ぎていき、帰りのバスでもまた成実と楽しく会話をし、夕方頃には学校へと到着した。
「それでは解散です。ありがとうございました」
学校でバスから降り、最後に点呼を取ってから、成実の一声で各々解散していく。
そして俺たちも解散し、家へと帰っていく。
『今日はありがとな』
夕食後にそんなことをRICEで送る。
『こちらこそだよ! 華ちゃんとも仲良くなれたし!』
『いつの間にか二人が打ち解けてたのは驚いたが良かったよ』
『うん! やっぱり友也くんと同じ委員になれて良かったなぁ〜』
『あぁ、俺も同感だ。これからもよろしく頼む』
『こちらこそ! それじゃ、おやすみなさい』
『おやすみ』
成実との日々は以前よりも毎日が鮮やかに感じられる。彼女と一緒になれて本当に良かったと思いながら、俺は眠りについた。
サブタイトルの割に美術館ほとんど描写してないですね……
まぁ、四人で関わるきっかけの話ですし、そもそも作品タイトルからも段々と内容離れてってますからね〜
あ、一応GWか夏くらいにゲームの話入ると思います。
それでは今回もありがとうございました。また次の更新で会いましょう。
[追記]
タイトルと一部誤字等の修正を行いました。
 




