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44.始業式と新クラス

 いつものように目を覚まし、朝のランニングもして、久しぶりの学校へ行くために荷物の確認をする。

 瑠璃は新入生なので始業式には参加しないため、今日は家でのんびりしていると昨日の夜に言っていた。


「なんか懐かしいな」


 そんなことを呟く。

 実際には三週間も経っていないのだが、彼女との日々が充実しており、一日一日が今までよりも濃かったため、とても長い休みに感じた。



 それから準備を済ませ、朝食を食べてしまう。


「んー、まだ早いよなぁ」


 時計を見ると、まだ登校には少し早い時間だった。しかし、クラス分けも気になるので家を出ることにした。




 学校へ着くと、少しずつ生徒が登校している様子が見えた。みんなどこかソワソワしている雰囲気があるのはきっと、俺と同様にクラスが気になるのだろう。




「どれどれ……っ!」


 正面玄関に張り出されていたクラス分けを確認すると、無事に成実と同じクラスだった。


「よしっ! 晃とも同じか。あっ……」


 他のクラスメイトも一応確認しておこうと思い、目を進めていると去年は別のクラスだった晃の幼馴染もいた。中学からの付き合いで、小学生の時は俺とは関わりがなかったため、俺自身の幼馴染というよりも晃の幼馴染という印象が強い。



 つい声を上げてしまったが嫌いという訳ではなく、むしろ正直者で真面目な人柄だ。

 そのため俺としては付き合いやすいと思っているし、中学では実際に絡んでいたが、たまに見る晃への厳しい態度や、含みのある笑みは怖く思うが、数少ない友人と同じクラスになれたのは良かったと思う。


 そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。


「よぉ、友也!」

「やぁ。久しぶりだね、友也」

「……あぁ、久しぶりだな、白雪」



 長く綺麗な黒髪を後ろに流し、凛とした佇まいで話しかけてきたこの美人が白雪華(しらゆきはな)、晃の幼馴染と言っていた人だ。


 試験での成績は成実に次ぐ二位を毎回取っている。真面目で正直者なため先生からの信頼も厚い。

 しかし、色恋沙汰には全く関心が無いようで、告白してきた生徒には全員毒舌で返しているらしい。


 そして付いたあだ名は『黒雪姫』だ。


 入学当初は成実と二人で学園二大天使と話題になり、生徒間では『白雪姫』と呼ばれていた。


 だからこそ、告白されるまではそう長くはかからなかった。蛮勇を奮った男子生徒が彼女に告白をし、一発で撃沈したらしい。

 それを機に多くの男子生徒が告白に行ったが、どれもこれも惨敗。

 段々と断り方も冷たくなっていき、僅かな人物を除いて他者とも関わりを持たないようになり、あのあだ名が付いたのだ。



 確かに友人として見ても美人だし、毒舌に目を瞑れば基本的に性格もしっかりしていて良い奴なんだよな。それに親しい人とはハッキリとは言ってくるが普通に仲良くしてくれる。


 そんなことを考えていると、彼女から疑いの視線を向けられた。


「今何か変なこと考えてなかったかい?」

「そ、そんなことないぞ? まぁ、同じクラスだし今年もよろしくな。晃も今年もよろしく」


 図星を突かれて動揺するが、早口で話を逸らした。彼女と口で相手をするなんて自殺行為でしかない。


「まぁいいか。うん、こちらこそよろしく頼むよ」

「あぁ、よろしくな!」



 そうして俺たち三人は春休み中のことなどを話しながらクラスへと向かう。



「晃はまた春休みも課題をやっていなかったから私が面倒を見ていたんだよ」

「あれは地獄だった……もう嫌だ……」

「お、おう、お疲れ様。まぁ、晃の場合は自業自得だと思うがな」

「そんな事言うなよ友也ぁ……」


 夏や冬の課題は俺に頼むことが多いが、春休みやGWの時は白雪が面倒を見に行っている。なにか理由がある訳では無いが、昔からそうなっている。



 新たなクラスに入り、席に荷物を置いたあと、再び三人で集まり話をする。晃も白雪も整った顔立ちなのに加え、あの白雪華だ。チラチラとクラスメイトから視線を向けられている。


「そういえば、友也。神崎さんも一緒で良かったな」

「あぁ、そうだな」

「……え? 友也って神崎さんと何か関係があるのかい?」


 あ、しまった……白雪は俺と成実のことを知らないんだった。小声で話していたため、他の生徒には聞かれていないはずだがすぐ傍の白雪には聞こえてしまった。


 しかし完全に油断していた。去年のクラスでは晃としか話していなかったしな、とそんな言い訳を心の中でするが、起きてしまったことは仕方がない。


 晃も失言に気づいたようで、やらかしたという表情を見せる。中学の時は三人とも何も隠し事をしていなかった事が癖になっていたようだ。


 そのため白雪も俺の家庭のことは知っているが、最近は連絡をしていなかったせいで伝えていなかった。



 まぁ、彼女なら教えても問題は無いだろうと判断し、クラスではまずいため放課後に伝える旨を伝えようと思い、口を開いたタイミングで、ちょうど話題の人物が教室へと入ってきた。



 あ、自分自身が学生なのに何も考えてなかったんですけど、よく考えたら入学式の方が後では。健康診断とか新入生説明会と混ざってた……

 ま、まぁ、少数派みたいですが、入学式が先の学校もあるのでそういうことにしておきます。誠に申し訳ない。


 こんな抜けてるところのある作者の作品を読んでくださる皆さん、本当にありがとうございます。

 そして、これからもよろしくお願いします。

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