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39.レストランでの昼食

 水族館の最寄り駅へとたどり着き、改札を出る。


 そのまま昼食を取るレストランへと足を進めている途中でふと気がつく。


「な、成実……」

「あっ、ごめんね。つい……」


 彼女に軽く服の袖を掴まれていた。

 手を繋ぐのは恥ずかしかったのか彼女は少しだけ袖を掴んでいたが、離そうとする。今日は俺がエスコート、もといリードするつもりだったので、彼女の離れゆく手をしっかりと握る。


「と、友也くん……!」

「嫌か?」

「ううん、ありがと。とっても嬉しいよ!」


 いわゆる恋人繋ぎで彼女の手を優しく、されど決して離さないように握る。彼女は顔を赤くしながらも、とても喜んでくれているようだった。

 以前クリスマスに手を握った時は周囲の雰囲気やクリスマスという日に頼った部分もあるが、今回は初めてする恋人繋ぎというものをしているため、以前の比じゃないくらい恥ずかしい。



 そのままの状態で俺たちは歩みを進める。お互いに照れてしまっているのか会話は続かなかったが、すぐ傍に大切な人の存在を感じられて幸せな時間だった。



 そして目的地のレストランへと到着した。


「昼過ぎてから混むって聞いてたから、少し早く来れて良かったよ〜」

「そうだな。お腹も空いてきたし、入ろうか」

「うん!」



 レストランの中へ入り、店員さんに案内された席に着く。

 向かい合って座るため、手を離さないといけなかったが、離す瞬間の彼女の表情がとても名残惜しそうで、なんだか申し訳なく思えた。


「まぁ、水族館の中ははぐれないようにずっと繋いでるからさ……」


 そして、俺はそんなことを言っていた。もし勘違いだったらすごく恥ずかしい人になってしまうが、どうやら杞憂だったようだ。


「っ! うん!」


 彼女に笑顔が戻ったため、俺は安堵のため息をつき、レストランのメニューに目を通した。


 メニューはとても豊富だったのでどれにしようか迷ってしまう。魚料理もあったが、今から水族館に行くのに魚を食べるのは如何なものかと思い、選択肢から外す。



「成実は決まったか?」

「んー、私は……オムライスにしようかなぁ。友也くんは?」

「俺は……このローストビーフのにするかな」

「おぉー、美味しそうだね! それじゃ、店員さん呼ぼっか!」


 店員さんに注文をし、俺たちは水族館について話をする。



「そういえば小学生の頃に水族館に行ったって言ってたが、その時はお母さんと二人でか?」

「ううん、あの時はまだお父さんも一緒だったんだ。館内で私がはぐれちゃったり、三人でイルカのショーを見た時は水しぶきでびっしょりになっちゃったりしたなぁ」


 彼女はそう言いながら、過去をしみじみと振り返っていた。その時は彼女のお父さんも生きていたようで、懐かしそうに楽しそうに語る。



「そういえば、友也くんは最後に行ったのはいつ?」

「俺か? 確か妹の中学進学祝いで、俺が中二になる前の春休みに二人で行ったのが最後かな」

「そっかぁ。それじゃ、お互い何年も行ってないんだね。楽しみだなぁ〜」

「あぁ、そうだな」



 そうして互いの過去のことを話していると注文が届いた。


「美味しそうだね! いただきます!」

「だな。いただきます」


 そして俺は目の前にあるローストビーフを一切れ口に運ぶ。

 口の中で解けるような、舌でも切れそうなほど柔らかいが、味もしっかりとついているため、食べごたえがある一品だ。

 野菜や米も付いているが、箸が進み、どんどん皿から減っていく。


 彼女の方を見ると、彼女もとても満足そうに食べている。半熟卵がチキンライスに被せられていて、彼女は最初に真ん中で切ったのか、卵が流れ落ちて米と合わさり、見ているだけでもとても食欲をそそる。



「美味しいね!」

「あぁ、美味いな!」

「ふふっ。あ、一口いるかな?」

「いいのか?」

「もちろん!」


 とても魅力的な卵を見ていると、オムライスも食べたい気持ちが湧いていたので彼女の提案はとても嬉しい。


「はあ、あーん」

「ん!? えっ?」

「嫌かな……?」


 美味そうだが一口で我慢しないとな、などと考えていたら、彼女からオムライスが一口分乗ったスプーンを向けられた。

 あーんをしてもらうとなるとは思っておらず、動揺してしまう。しかし、彼女からそんなことを言われ、食べないわけにはいかないと心を決める。


「い、いや、貰うよ。あーん……う、美味いな!」

「だよねだよね!」


 俺も彼女も顔を赤くしながら、オムライスの感想を言う。

 見ているだけでなく実際に食べると、口の中に卵のまろやかさとライスの塩気が程よく合わさり、食べさせてもらったことも相まって、とても幸せな気分になる。


「成実も一口いるか……?」

「えっ、じゃあ、貰ってもいいかな?」

「おう」


 彼女から貰ってばかりも駄目だと思い、俺からも提案してみる。すると彼女は驚きながらも受けてくれた。


「あ、あーん……お、美味しいね! すっごく美味しいよ!」

「あぁ、そうだな。凄く美味い」



 そんなことをしながら、二人で昼食を終え、店を出てから水族館へと向かう。もちろん先程約束したように手を繋いでだ。



 ちなみにだが、流石に彼氏として昼食代は出させてもらった。成実は遠慮していたが、初デートだし見栄を張らせてくれと言ったら渋々許可してくれた。


 俺も彼女も対等な関係でいたいと思っているが、初めての時くらい男に出させてもらいたい。


 これからも色々な初めてを経験すると思うが、しっかりとリードしなければなと心の中で呟いた。

 内容とか大筋はできてるのに続きを書く時間が……

 近々、連載をお休みするかもしれません。どうかご了承くださいませ。


 短編とかは勢いで書ける部分あるけど、連載だと前後で矛盾ないようにとか考えてしまうし、あとは友人の作品読んで、凄い読みやすくて描写も良かったのを見てると自分はダメダメだなとか考えて……あ、ネガティブ発言すみません。


 まぁ、人は人、自分は自分ですからね!

 引き続き頑張りますし、今後ともよろしくお願い致します!!

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