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36.付き合いたての朝


 付き合い始めて数日が経った。未だにあの成実と恋人になっているなんて、実感が湧かないが紛れもない事実だ。

 毎晩通話をしたり、春休みはどうしたい、などと話しているうちに学校の日が来た。


 今日は修了式だ。


 普段よりも遅めの登校なので、少しだけ遅い時間に起き、朝のランニングの時間も遅めに始めたからだろうか。いつものルートを走っていると、たまたま彼女を見つけた。


「おはよう、成実」

「えっ、おはよう、友也くん?」

「随分と早いな」

「うん、今日は委員長として朝に先生の手伝いがあるからね。友也くんはランニング?」

「あぁ、少し前から毎朝走るようにしてるんだ」


 イルミネーションの日から彼女に見合う人になり、恋人になると決意していたが、今の俺は彼女の隣に立っても良い人間だろうか?

 そんなことを考えていると先日のことを謝られた。


「この前は連絡もなしに、いきなり電話かけてごめんね?」

「いや、あの時は俺も同じことを聞こうと思ってたから大丈夫だよ。それより、本当に隠すってことでいいのか?」

「うん! えへへ、付き合ってるのは二人だけの秘密だよ?」


 そう言って微笑む彼女に息を呑む。それと同時に、こんなに可愛い女の子と付き合うことになったのか、としみじみ思う。



「あっ、引き止めちゃってごめんね?」

「いや、成実と朝から会えて良かったよ。それじゃ、また学校で」

「うん! またね!」



 そうして俺たちは別れた。俺は家へと戻り、軽くシャワーを浴びた後すぐに家を出た。




 学校へ着き、教室に入ると成実の姿は見えなかった。先生の手伝いがあると言っていたからそのせいだろう。そして俺は先に来ていた晃に声をかける。


「おはよう、晃」

「おう、おはよう友也。ん? なんか変わったな?」

「そ、そうか?」

「あぁ、少し自信がついたというか、普段よりも明るいというか……」


 出会い頭に晃からそんなことを言われた。変わったなと言われた時は彼女との関係を見抜かれたのかと少し驚いたがそういう訳ではなかった。

 それと自分では実感がないが、少しでも変われているのなら良かった。



 そのまま晃と何気ない話をしていると成実が教室へ戻ってきたようだった。

 入ってきた瞬間に目が合い、微笑みかけられた気がする。本当に魅力的だが、そんなことをしていると隠せるものも隠せなくなる。



「今、天使様こっち見て微笑まなかったか?」

「俺を見たんだよ!」

「何言ってんだよ。みんなの天使様だろ?」


 俺の近くにいた男子たちが色めき立ってしまう。彼女は良くも悪くもとても注目されている。学校では気をつけなければな、と気を引き締め直していると彼女からRICEが来た。



『友也くんおはよ! 朝ぶりだね!』

『あぁ、そうだな。おはよう』


 RICEに返事をしていると、晃がニヤニヤしながらこちらを見ていることに気がついた。


「……なんだよ?」

「いやぁ、色々あったんだろうなぁと。そういやホワイトデーとか休みもあったしな〜」

「何が言いたいんだ……?」

「今すぐとは言わんが、今度聞かせてくれよな?」

「はぁ……分かったよ。それに晃にもお世話になってるしな」


 晃は何となくさっきのやり取りで察してしまったようだ。まぁ、こいつは誰かに言いふらすなんてことはしないが、ニヤニヤしたり、からかってくるのは癪だ。

 そんなことを考えていると、担任が疲れた表情を隠さずに教室へ入ってきた。



「おはよう諸君。全員元気に揃っているな……教師にももっと休みを増やすべきだと思うぞ……」


 教員は学年末になるとテストの採点から成績付け、赤点の者への連絡、他にも色々やることが多いそうだ。


「まぁ、いいか。よし、全員講堂へ移動しろ」


 担任の声でクラスメイトが動き始める。クラスメイトは年間全てのテストが終わり、休みの間はのんびりと過ごしていたようで、担任のように死んだ表情はしていない。



 そうして講堂へ移動した。そこで学校長の話を聞き、学年通しての成績優秀者の名前を挙げられていた。もちろんトップは成実だった。次いでいつも二位に位置している晃の幼馴染だ。俺は途中から成績を上げ始めたので名前は挙がらなかった。



 その後は今年で定年を迎える教員や来年度から勤める教員の紹介をし、クラスへと戻った。そこで成績通知表も渡され、クラスメイトが成績を話し合ってる。



「友也はどうだった?」

「ん? 前回と同じ順位だったぞ」

「マジか! 凄いな」

「おう、ありがとう。晃はどうだったんだ?」

「俺も前回と同じくらいだったぞ。まぁ、数学だけは少し落ちたがな」


 少し落ちたと言っても平均以上はあるようだった。元々晃は聞けば理解もできるけど、使うのが苦手なだけなんだよなぁ、なんて事を考えていると、いつの間にか話が変わっていた。



「飯食い行こうぜ。そういえば二学期末から行ってないよな」

「そうだな。帰ってもすることないし行くか」

「おう!」



 昼前には学校が終わったので、晃と二人で昼食を食べに行くことになった。

 二学期末といえば、あの時も色々と聞かれたが、今回も聞かれるのだろうなと予想しながら俺たちは二人で駅の方へと向かった。

 今回もお読みいただきありがとうございました!


 ここからまたストーリーが進んでいきます。相変わらず仲の良い二人のラブラブストーリーです。是非読み続けて頂きたいと思います!


 それと、できる限り一日に二話投稿にしたいと思ってますが、リアルでの事情もあるので、まちまちになるかもしれないことはご了承ください。


 本日は二話更新です。引き続きよろしくお願いします。


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