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閑話 大晦日とお正月

 前話冒頭部分及び終盤のセリフ修正しました。ほとんど内容の変化はございません。詳しく言うと、修了式前であるのに学年末の結果が出ていた文の変更、最後の成実のセリフの『また明日ね!』を『またね!』に変更しました

 誠に申し訳ございませんでした。



 そして、今話と次話は閑話のようなものです。友也も休みの間や一ヶ月間でめっちゃ成実のこと考えてましたが、成実もそうだったんだよ、みたいな話となっております。本編には影響ありませんが、彼女の心の内や、焦れったく甘いものが読みたい方はどうぞご一読ください。


〜成実視点〜


 今日は大晦日。そして、友也くんと夜になったら年越し通話をする。


「年明け最初に声を聞きたいからって、つい誘っちゃったよ……!」


 そんなことを呟いていたらお母さんに話しかけられた。


「嬉しいのは分かるけど、今からそんな感じじゃ心が持たないわよ?」


 笑いながらそんなことを言ってくる。お母さんは今月は仕事をものすごく頑張ったため、私の誕生日の日も、大晦日とお正月も休みを取れたそうだ。


「うぅ、だって……。あ、そういえば明日の朝、時間があれば初詣行こうよ!」


 私は恥ずかしくなり話を逸らす。


「初詣……久しく行ってないわね。一緒に行きましょ」

「うんっ!」


 咄嗟に出た言葉だったとはいえ、だからこそ私の本心でもある。今までのお母さんは忙しくて年末はほとんど仕事だったが、今年は仕事が少なかったことや私が変化したことで仕事を早くに終わらせたそうだ。




 しばらくして夜になり、友也くんと電話で話していたが、気付いたら眠ってしまっていた。


「ん……。あ、あれ? 私、眠っちゃってた?」

『え、どうしよう……』


 目が覚め、通話中に寝るとはなんてことをしてしまったんだと焦っていると、電話の先から女の子の声が聞こえた。


「女の子の声……?」


 そう呟くと向こうから返事が返ってきて、その子は妹だという。そういえば以前、友也くんは妹がいると言っていたような気がする。



 少し妹さんと話していると、彼女が友也くんの寝顔を送ろうか、と聞いてきた。もちろん私は見ていたいなと思い、返事をしようとしたところで友也くんが目を覚ましてしまった。彼には申し訳ないけど、もう少し眠っていて欲しかった、なんて考えてしまう自分は悪い人ですね。


 友也くんとの電話がつながったまま、年越しを迎えた。新年最初に彼の声を聞きたいという念願が叶い、私の心は満足感で満ち溢れていた。


 夜も遅いということで通話を終え、私は部屋に戻ろうとするとお母さんとばったり会った。


「ふふっ、すごくだらしない顔してるわよ?」

「え、嘘っ! 見ないでっ!」


 そう言って私は顔を背ける。


「幸せそうで何よりだわ。好きな人とずっと一緒にいられるとは限らないんだから、今のこの時間を大切にしなさいね。それじゃ、おやすみなさい」

「う、うん。おやすみ、お母さん」


 お母さんは過去に大切な人を喪っている。そんなお母さんの言葉だからこそ、私にはとても重く感じられ、友也くんとの時間を大切にしようと思った。



 翌日の朝になり、お母さんと初詣へと向かった。参拝が済んだので甘酒を貰う列に並んでいると、思いがけない人と会う。


「成実……?」

「えっ、友也くん!?」


 驚いている間に自分の番がやってきていたので甘酒を受け取り、列を外れて彼を待つ。


「まさか正月そうそう出会うとは思ってなかったよ」


 彼がそんなことを言うが、私も同じ気持ちだ。しかし、驚きよりも嬉しさの方が勝っている。



 そのまま少し二人で話をし、そのまま別れて私はお母さんの元へと戻る。


「お母さん、お待たせ」

「そんなに待ってないわよ。列長かったの?」

「それもあるけどね……」

「もしかして彼と会ったとか?」

「な、なんでそれを!?」

「やっぱりね。だって幸せそうな顔してるもの」

「うぅ……」


 お母さんに指摘され、顔を赤くしながらも普段の表情へ戻そうとする。


「新年最初から良かったじゃない」

「そうだけどさぁ……」

「ふふっ、冷えるといけないからそろそろ帰ろうかしら? 成実はどうする?」

「どうするって?」

「彼と話し足りなかったら会ってきてもいいわよ?」

「えっ!? いや、大丈夫、大丈夫だから! ほら、帰るよっ」


 お母さんからそんなことを言われ、私は動揺してしまう。確かにいつでも話したりしたいし、彼といると落ち着けるが、今ではなくても良いだろう。それに今から戻っても恥ずかしさで上手く話せないと思う。



 そうして私たちは家へと戻り、お正月らしくゆっくりと過ごした。

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