34.告白
瑠璃の誕生日を祝い、その後は体を鍛えたり勉強をして過ごした。学年末考査もあったが、日々の努力が実り、前回と同じくらいできたと思う。
そして迎えた当日、つまりホワイトデー当日。今日は答案の返却、諸々の連絡や課題を配られる日だったため、昼からの登校だった。
他の生徒たちはバレンタインにチョコをくれた女子生徒にお返しをしたりしてその日を過ごしていた。俺はというと、放課後までそわそわしっぱなしだった。成実と目が合い、お互いにすぐ逸らしてしまったが、向こうも意識しているのだというのは分かった。
そんなことを考えていると放課後になった。
「お待たせ」
「うん、たくさん待ったよ。本当に」
そう言って彼女は笑った。先日の言いぶりから察するに、かなり前から待ってくれていたようだ。
「それで答えを聞かせてもらえるかな?」
「あぁ……」
俺は深呼吸して、想いをそのまま伝える。
「まず先程も言ったが、待たせてしまって申し訳ない」
「うん……。本当だよ。初めて気になってからもう二年だよ?」
「えっ?」
二年という言葉に思わず俺は驚く。
「ふふっ、やっぱり覚えてないかぁ。中二くらいの時に強引なスカウトマンから友也くんが助けてくれたんだよね」
「そうだったのか……あ、あの時の女の子か?」
「思い出してくれたんだね! まぁ、でも今はもう関係ないかな」
そう言って彼女は言葉を紡いでいく。
「だってこんなにも毎日が楽しくて、大切な人と一緒にいられるんだから!」
「あぁ、そうだな。……大切な人か、先に言われちゃったな」
「あっ、答えを聞くとか言いながら勝手にごめんね! 気持ちが溢れちゃって……」
「いや、気にしないでくれ」
それに先に言われてしまったが、別にこちらから改めて言ってはいけない理由もないだろう。そう思った俺は素直な気持ちを伝える。
「成実、好きだ」
「――っ!」
「どんどん気持ちが膨らんで、いつしか成実のことがとても大切な存在になってた」
「うんっ」
「これから先ずっと一緒にいたい。何があろうとも君の傍で支えるし、いなくならないと誓う。だから……俺と付き合ってくれ!」
俺は伝えたいことは伝えたつもりだが、思った以上に緊張してしまいもしかしたらちゃんと言葉を伝えられていたなかったかもしれない。少しの間沈黙が続き、そんな不安を抱き始めると、彼女は感極まったような、だが今まで見た中でも一番の笑顔で答えてくれた。
「はい! よろしく、お願いしますっ!」
少し涙声になりながら、満面の笑みでそう答えてくれた。
だから俺も力強く答える。
「あぁ!」
しばらくして、お互いに昂った気持ちが落ち着きを取り戻した。
「取り乱しちゃってごめんね……」
「いや俺の方こそすまん……」
「ふふっ」
「ははっ」
少しの間、二人の間に少し重たい空気感で沈黙が訪れていたが二人同時に笑ってしまう。
「ふぅ、でもほんとに良かったよ。というか告白の瞬間って頭真っ白になりかけるな」
「ふふっ、そうだよね。私も勢いで色々言っちゃってたけど、告白された瞬間には感極まって何も考えられなかったよ〜」
二人はそう言って再び黙り込む。しかし先程とは違い、空気は軽かった。
「でもまさか自分が大切な人ができて、付き合うことになるとは思ってもなかったな」
「友也くんも色々とあったからね……」
「まぁ、それを言うなら成実もな。だからこそ傍で支えたいと思ったがな」
「うんっ、ありがと! それじゃ、学校の下校時間来ちゃうし帰ろっか!」
「あぁ、そうだな!」
とても軽い足取りで歩き出し、二人は自然に手を繋ぎながら学校を出る。いつもの別れ際のように、されどいつもとは違う関係で駅前まで向かう。
「今日はありがとう。とっても嬉しかったよ! これから末永くよろしくお願いしますっ」
「こちらこそ、これからよろしく頼む」
「それじゃ、またね!」
「あぁ、またな!」
そうして彼女は駆けていった。その後ろ姿はまるでスキップでもしているかのように、とても軽やかで可愛らしかった。
「よし、俺も帰るか」
そう言って俺は歩き始める。しかし今までの別れとは違い、晴れやかで前向きな気持ちで。
ここまで誠にありがとうございますっ!作者自身とても感極まっております!
ついに……ついにですよ!あ、今後はほのぼの甘々な感じになります。友也の作るお菓子よりも甘いようなストーリーにしたいなぁなんて。あっ、すみません。つい一段落したことで私もとても気持ちが溢れていて……
このままだと変なこと言いそうだな、ということで。
改めまして、ここまで読んでくださった読者の皆様。誠にありがとうございました。
そして引き続き二人の物語は続いていきますので、どうぞこれからもよろしくお願いします!




