3.互いの趣味
タイトル少しだけ変更しました。
今回もページを開いて下さりありがとうございます!
色々と試行錯誤している途中ですので至らない点もあると思いますが、少しでも読んでいただけるように頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!
カフェに移動した俺と成実はテーブル席に腰をかけた。
「日曜日とはいえ昼前だから空いてるな」
「そうだね! 何頼もうか?」
「俺は、お昼におすすめって書いてあるこの3種のサンドウィッチとコーヒーかな」
「ふむふむ。じゃあ私も同じサンドウィッチとアイスティーにしようかな」
「了解。それじゃ頼もうか」
そう言って俺は店員さんを呼び、2人分の注文をした。
「それで成実はどうするんだ?」
「えっ、何が?」
「銀の世界が月末になったら完全にサ終するだろ?」
「あっ、うん、そうだね……」
「月末までは遊び尽くすとして、その後は他のゲームとかする予定はあるのか?」
「うーん、ずっと銀の世界ひとつしかやって来てなかったからなぁ」
そう言って成実は考え込んでしまった。
「あっ、友也くんは何か他のゲームやってたりする?」
「俺か? 俺はいくつかやってるぞ。例えば、孤立行動とかAIPEXとかみたいなFPSもやるし、原女神みたいな銀の世界と近い感じのMMOもやってるな」
「なるほど……! 私もどれかやってみようかなぁ〜」
「どれかやるなら一緒にやらないか?」
「うん、是非!」
一緒に遊ぶ約束をしてそれぞれのゲームの特徴を説明していたら、店員さんが注文していたものを持ってきてくれた。
「お待たせしましたー」
「わぁ! ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
できたてのサンドウィッチはとても良い香りがして食欲をそそる。
「それじゃ、いただくか」
「うん、いただきます!」
「いただきます」
そう言って俺と成実はできたてのサンドウィッチを早速口に入れる。
「おっ、美味いな」
「そうだね! 出来たてでとっても美味しいよ! これなら何個でも食べれちゃいそう〜」
「ははっ、そうだな」
しばらくしてサンドウィッチを食べ終わり、コーヒーを飲んで一服していた俺に成実は
「デザート何頼もうか?」
と、聞いてきた。カフェの甘味は美味いって聞いたことがあるな、とそんなことを思い出した俺はメニューを取り出しじっくり考える。
「うーん、どれも美味しそうだな……」
「そうだね〜、あっ、良かったらケーキ系のを頼んで二人でシェアしない?」
「なるほど、その手があったか」
妹とスイーツやケーキを食べに行った時もシェアしたな、などと思い出しながら返事をしていると、彼女は美味しそうなものを提案してきた。
「このチョコケーキと抹茶ケーキなんてどうかな?」
「お、美味そうだな」
「よし、決まりだね! 店員さ〜ん!」
そう言って成実はチョコケーキと抹茶ケーキを頼んだ。
ケーキが来るまではゲームやお互いの趣味について話し合うことにした。
「そういえば成実はさっき銀の世界以外はやってないって言ってたけど理由はあるのか?」
「うーん、えっとね、一応私クラス委員だし、ゲームができてるのも成績を維持してるおかげでお母さんから許されてるからなんだよね。友也くんはゲーム以外の趣味とかってあるの?」
「俺は、ゲームしてない時は勉強するか家事するかくらいかな。料理はやっていて楽しいし」
ふと気が付くと、成実は驚いた表情をしていた。
「どうかしたか? 料理するのが意外だったか?」
「いや、料理できるなんてすごいなぁって思って。私料理だけは上手く出来なくて……」
「練習すればできるようにはなると思うが、俺の場合小学生の時から手伝いとかやってきたからな」
「そうなんだ……。偉いね!」
「そんなんじゃないよ。それにさっきも言ったけどやってて楽しいしね」
会話が一区切りついたタイミングで頼んでいたケーキができたようだ。先程と同じ店員さんが持ってきてくれた。
「おぉ! これがカフェ製のケーキ!」
「美味そうだな」
「だね! 早速半分に切り分けて食べよ!」
そう言って成実はチョコケーキの方を切り分け始めたので、俺は抹茶ケーキを半分になるように切り分けた。顔を上げると成実がじっとこちらを見ていた。
「ん? どうかしたか?」
「い、いや、なんでもないよ!」
「そうか? あ、切り分けたぞ」
「了解! それじゃ食べよう!」
そうして二人でケーキを食べ、話をしていたらあっという間に夕方になってしまった。カフェを出て、のんびりとした足取りで駅に向かっていく。
「冬が近いから日が暮れるのも早いね〜」
「そうだな」
「えっとね、今日はありがとう。いっぱい話せて楽しかったよ!」
「あぁ、俺も楽しかったよ」
「ふふっ、それは良かった! それでね……」
「うん? なんだ?」
「RICEを交換して欲しいなって思って。あっ、嫌なら嫌で構わないんだけど、もし良かったらなんて……」
「あぁ、もちろん構わないぞ」
「やった!」
夕焼けに染まる空の中、成実の喜ぶ横顔がとても魅力的に映った。気付いたら俺は成実に目を奪われていた。
「はい、これ! 私のQR!」
「お、おう、読み込ませてもらうぞ」
「うん!」
成実に話しかけられ、我に返った俺は素早くQRコードを読み込み、友達登録を済ませる。そういえば、父さんに妹の瑠璃、親友の晃としか交換してなかったのか……なんて考えていたら
「ふふっ、2人目のお友達! まぁ、1人目はお母さんなんだけどね」
「俺は4人目の友達だな。父さんに妹、同じクラスの晃、あ、和泉晃のことな。それで4人目が成実だな」
「お互いに少ないね?」
「そうだな。まぁ、成実が少ないのは少し意外だが」
「そうかな? 私の場合、自分からは聞けないけど、他の人からも聞いてくれなくて結局今までお母さんだけだったんだよ。それも今日までだけどね!」
「なるほどな。まぁ、なにかあれば連絡してくれ。ゲームのこととかいつでも聞いてくれていいぞ」
「ありがと!」
そうして話しているうちにいつの間にか駅に着いていた。
「着いたな」
「そうだね……」
「……送っていくか?」
「ううん、大丈夫! 今日はありがと、楽しかったよ!」
少し寂しげに、それでいて荒野に咲く一輪の花のように、周囲に人がいない中、眩しいほどの笑顔で成実はそう言った。
「あぁ、俺の方も今日は会って話せてよかったよ。ありがとう」
「うん! それじゃ、また学校でね!」
「おう!」
そう言って彼女は小走りで駆けていった。
「ふぅ……緊張したけど、今日は楽しかったな……」
そんなことを呟きながら俺は家に向かい歩き出した。