23.イルミネーション
成実と二人でゲームをした翌日、その日も課題を進めながら何となく過ごしていたが、日が暮れてつつある外を眺めながらふと大切なことを思い出す。
「そういえば、クリスマスどうしよう」
以前、彼女からクリスマスは予定がないと言われていたことを思い出し、誘いたいという気持ちが湧いてくる。
「クリスマスに二人で過ごすってまるで……」
――恋人みたいだな。そう言いかけたが、告白する覚悟も完全には決まっていないのに言うべきことではないと思い、言葉を飲み込む。それにクリスマスだからと勢いに任せてしまうのも嫌だ。
「どこに行きたいのかな」
せっかく誘うのなら、二人で楽しめ、思い出に残るところに行きたいと思う。女子の意見も貰いたいと考え、瑠璃に後で聞こうと考えながら夕飯の支度をする。
「クリスマスに行く場所?」
瑠璃が勉強を中断して夕飯を食べに来たため、今しか聞けないと思い、質問をしてみる。
「俺自身、経験がないからな。女子の意見も貰いたいと思って」
「なるほどね。前に話してくれた人を誘うの?」
「あぁ、そのつもりだ」
以前に瑠璃に弱い部分を見せてしまった時に成実の事もかなり話してしまった。その時のことを思い出し、少々恥ずかしいと思っていると瑠璃は質問に答えてくれた。
「クリスマスならイルミネーションとか行ったらすごい思い出になりそうだよね〜。今年は雪も降るとか言われてるから、ホワイトクリスマスでイルミネーションをバックに告白されたらすごいロマンチックなんだろうな〜」
「なるほど、イルミネーションか……」
「まだお兄ちゃんは告白しないの?」
「なっ、何をいきなり。前にも言ったが受験が終わるまではしないつもりだ。それにあの人の心を埋めるような人間になれてるとは思わないし」
以前聞いた話だと、成実は父を亡くし母ともなかなか会えていないようだ。すぐ傍で支えたいし、心を埋めたいとも思うが、今の俺に務まるのだろうかと弱気になってしまう。
「まぁ、これまで散々遊んできて、誕生日も一緒に過ごしたんだから断られることは無いと思うんだけどなぁ」
「俺たちも俺たちで色々とあるんだよ」
「それはそうかもだけど……あまり待たせちゃうのも良くないってことは覚えておいてね? それじゃ、ご馳走様!」
「おう。お粗末様」
最後にそう言って瑠璃は部屋に戻る。
「待たせる、か……」
彼女は俺の事を待ってくれているのだろうか? そもそも俺に好意を抱いていることは少なからず感じるが、それは友人としての好意なのか、それとも……
「考えても分からないな。この前別れ際にまた誘うとも言ったし、誘うだけ誘ってみるか」
そんな言い訳のようなことを呟きながら、俺はRICEを開く。
『クリスマスの日、出かけないか?』
『えっ! ぜひお願いします!』
『どこに行くかはまた後日連絡してもいいか?』
『もちろん! 待ってるね!』
「ふぅ、良かった。場所はどこにするかな……」
色良い返事を貰え、場所を考えていると瑠璃の言っていたことを思い出す。
「イルミネーションか……。少し調べてみよう」
その晩、俺は都内のイルミネーションでクリスマスもやっているところについて調べ、三つほどピックアップした。夜に長く連れ出すのは良くないと思うのでその中から近い場所のものを選ぶ。
「ここにするか。写真でもすごい綺麗だし、間近で見たらすごい感動しそうだな」
それに、ここを二人で見ることが出来たら思い出に残るだろうなとも思う。
「とりあえずまだ当日までは時間もあるし、明日からは下調べでもするか」
そうして俺はイルミネーションのサイトのページを保存し、当日喜んでもらえたら嬉しいなと思いながら深い眠りにつく。
翌日からも調べ、最初に決めた場所で問題はないと判断したため成実にも場所についての連絡を入れる。またニュースでクリスマス当日の夜は雪が降る可能性があると言われていた。ホワイトクリスマスに二人でデート……と浮かれてしまうのは仕方の無いことだろう。
そして、緊張しながらも楽しみな気持ちがどんどん大きくなっていく中、二人でイルミネーションに行く当日を迎える。
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