表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/143

16.デート当日


 つい先程まで妹の瑠璃に俺の想い人の成実について話していたが、俺は部屋に戻り悶えていた。


「何もかも話してしまった……! というか妹に好きな人話すってどんな辱めだよ……!!」


 俺は妹の優しさ溢れる聖なるオーラに当てられて今の気持ちを全て吐露してしまった。まぁ、冗談はさておき、好きな人のことも、二ヶ月後には告白するとも言ってしまったのは紛れもない事実だ。


「なんならその口に出して言ったせいで、さらに好きだと自覚した相手と明日一緒に出かけるのか!? どんな顔して会えばいいのやら……」


 以前からの約束で、試験明けの16日、つまり彼女の誕生日である明日に一緒に出かけることになっている。まぁ、場所に関しては初めて会ったところに集合とだけ言われてその後は音沙汰無いが。まぁ、おそらくは駅前に集まり、カフェへと向かうのだろう。


「一応プレゼントも用意したがなんか急に小っ恥ずかしくなってきたな……」


 そうは言いながらも気持ちは晴れやかなことも確かだ。成実が俺の事をどう思っているかは分からないが、友人としてある程度好意を持ってくれていることは確かだと思う。晃に聞いてみればどう思われてるかも分かるかもしれないが、それは良くないだろう。


「とりあえず早めに寝るかな」


 明日の準備を済ませ今後どうするのか考えていると、成実から連絡が来た。



『明日は昼の11時に駅前集合でいいかな?』

『あぁ、了解した』


「11時か……初めて会った時も同じ時間だったな。まぁ、二人とも一時間も前に着いてたが」


 そう言って一ヶ月前のことを思い出す。あの時、サービス終了がなかったら今のこの関係にもなっていなかったのかなと思うと、ずっと楽しんでやっていた成実には申し訳ないけど少し感謝してしまう。



「よし、明日に備えて寝るか」


 ゴソゴソと布団に入り、俺は深い眠りについた。その日は心がスッキリしていたためか、ぐっすりと寝ることが出来た。



 迎えた翌朝。しっかり寝られたことで身も心も軽くなっていたため、晴れやかな気分で朝食を作って食べていると瑠璃も起きてきた。


「おはよ〜、お兄ちゃん」

「あぁ、おはよう瑠璃」

「今日は昼前に出かけるんだったよね?」

「そうだな、10時くらいに出るつもりだ」

「そっか、私は少ししたら昼過ぎまで続けて勉強すると思うから戸締りだけよろしくね」

「おう、了解」

「昨日色々とあったし変な感じになってるかなって思ったけど、なんともなくて良かったよ。今日は楽しんできてね?」

「あぁ、ありがとな瑠璃」

「いえいえ〜、それじゃまた夜にね」


 そう言いながら瑠璃は部屋に戻る。確かに昨日弱い部分を見せてしまったし、瑠璃の前で初めて涙を零してしまったから気を使わせてしまったのかもしれない。実際はどうかわからないが、本当に瑠璃にはお世話になりっぱなしだ。



 そんなことを考えていると気付けば十時前になっていた。


「よし、プレゼントも持ったな。出るか」


 プレゼントを何にすればいいのか迷いに迷った結果、二つにすることにした。女子の趣味は分からないので妹や晃にもこっそりと相談していたが喜んでくれるだろうか。



 そうして家の鍵を閉め、駅の方へと向かう。




「ちょうど十時くらいか」


 駅前に着く頃には十時ぴったりになっており、前に来た時と結局同じ時間に着いてしまった。


「まぁ、流石に早かったよな」


 そんなことを呟いていると、見知った女の子がこちらに向かっていることに気付く。



「友也くん! こんにちは!」

「おう、こんにちは。……まだ一時間前だぞ?」

「友也くんこそ私よりも早く来てるじゃん!」

「まぁ、今日が楽しみだったしな?」


 初めて会った時にもこんな会話をしていたなとは思ったが、その時よりも距離が近いのは気のせいではないだろう。


「ふふっ、私も同じ気持ちだよ! それじゃ、カフェに向かおうか!」

「やっぱり行く場所も同じなんだな」

「うん、思い出深いところですしね?」

「確かにそうだな」


 初めて駅前で会い、その後は丸一日カフェで喋っていた。初めて二人で行った場所があそこでなければ、また今の関係とも違っていたかもしれない。



 そうしてカフェに着き、以前と同じ注文をしようかと考えたが手を止める。


「せっかくだし前とは違うものにするか」

「んー、そうだね。どれがいいかな〜」


 俺たちの関係は変わり続ける。そう考え、必要以上に過去に囚われなくてもいいかなと思った俺は前とは違うサンドウィッチを頼む。……いや、ここのサンドのパンが好みだったんだよ。中身は変わっているだろう。そんなことを思いながら注文を済ませた。



「そういえば、成実は冬休みとか予定は入っているのか?」

「えっとね、クリスマスイブ以外は今のところ入ってないよ?」

「そうか……イブは何があるんだ?」

「その日はお母さんがお仕事休みだから家族で一緒に過ごそうかなって!」

「そういう事か。そういえば次は父さん、いつ休みなのかな……」

「友也くんのお父さんは忙しい人なの?」

「そうだな、長期休みくらいしかまともに会えてないな」


 この流れはしまったと思ったが、流れを遮る間もなく予想通りの質問が来てしまう。


「お母さんは普段お家にいるの?」


 親の話になり、既に亡き人なことを伝えるといつも話が途切れてしまうし、気まずい空気になってしまうので避けるようにしていたが、成実と話しているとつい口が軽くなってしまう。誤魔化しても仕方がないと思い正直に話す。


「母さんは俺が小学生の頃に亡くなったんだ」

「えっ……」


 予想通り二人の間に気まずい空気が流れてしまう。だが、気を遣わせるのは本望ではないため、俺はどう言えばいいのか迷い、成実もなんと答えればいいのか迷っているようで二人揃って黙り込んでしまう。

当日になりましたね!

そして最後にお母さんのことを……

成実がどう思うのか、どう返事をするのかは次週!って言うのは冗談ですが、本日の更新はここまでです。


実を言うとストーリーの大筋は決まっていますが、本当にこれでいいのか?とか結構悩んだりしています。告白に関しても受験後ってことになっていますが、早めるべきか、そのままか、それとも遅めるかも結構迷っています。一日三話ずつの更新ですと恐らく今月中には展開が動くと思いますので、引き続きよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ