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128.文化祭最終日は疲労がたまってくる




「――ちゃん、お兄ちゃん!」

「んんっ……」

「起きて、お兄ちゃん。今日も早くに行くんでしょ?」

「瑠璃か……。ふぁ〜……」


 翌朝、俺はアラームで起きることが出来なかったようで、同じように早朝の仕込みに行く妹から体を揺すられて起こされた。

 昨日は早くに意識が途切れたため、時間としては充分に眠ったはずなのだが妙に体が重い。


「もうっ……そんなのじゃ、私の方のクラスに売り上げ追い越されちゃうよー? あっ、もし私のクラスが勝ったら何してもらおうかな〜」

「なっ、おい! 罰ゲームなんて聞いてな――ッ!」


 俺は立ち上がって瑠璃に抗議しようとしたが、立ちくらみしてしまい、咄嗟に瑠璃に支えられる。


「お、お兄ちゃん大丈夫? かなり疲れが溜まってるんじゃない?」

「いや……大丈夫だよ。心配かけて悪いな」

「んー、それならいいんだけど……ちなみに、昨日はどれくらい休憩時間あったの?」

「……昨日は食事以外ではずっと動いてたかな?」

「もー、絶対それだよ! それに最近は慣れてきたみたいだけど、元々そんなに人前で話したり動いたりしないタイプなんだから想像以上に疲れてるんだよ!」

「そうかな……?」

「そうなの! だから、今日はちゃんと休みを貰って。いいね?」

「………はい」

「よろしい!」


 瑠璃に言われてようやく少し自覚したが、思った以上に俺の心身は疲れていたようだ。彼女に無理するな、などと言ったにも関わらず、自分の方が無理をしていたなんて情けなさすぎる。


 とはいえ学校へは時間通りに行かないとなので、少し重い体を押して学校へと向かっていった。



 学校に着いてからは前日同様に、時間のかかるものから優先して作り進めていく。作業を始めたらそちらに集中できてるのか体調などは気にならなくなってきた。

 メニューが初日と2日目で少し違っていたり、量が多いことで予想以上に時間はかかったが問題なく進んでいく。


「おはよっ、友也くん!」

「あぁ、成実、おはよう」

「……?」

「……どうかしたか?」

「あっ、ううん、なんでもないよ! それで何からすればいいかな?」

「それなら――」


 彼女も今日は朝の料理班で、午後から接客担当だ。そのため早朝から来て一緒に料理を作っていく。




 そして開門には全ての準備が終わり、そこからは昨日の噂を聞いた人も多いのか、最初から多くの人達がうちのクラスへとやってきた。


 昨日、白雪からの提案で朝最初のシフトは多めにしておいたのだがこういうことだったのだろう。

 白雪の予測は的中することがあるのだが、先見の明でもあるのだろうか。まぁ、今回みたいに助かることの方が多いので、基本的には彼女の言うことは聞いておく方が良い。



 そのまま朝のシフトは予定通りに進んでいき、昼前になってようやく俺と成実の文化祭で初めてのちゃんとした休憩時間となった。


「ふふっ、やっと2人で回れるね!」

「あぁ、時間は多いとは言えないけど色々と回っていこうか」

「うん!」


 昼時には戻らないといけないし、戻る頃には教室の方は混雑してて着替える暇もないだろうということで今は2人とも店で着る予定のコスプレをしている。


 若干注目を浴びている気もするが、服装に関しては文化祭ということもあり周囲との違和感もそこまでは無いため、隣にいる彼女の可愛さゆえになのだろう。

 そんなことを考えていると隣から声がかかった。


「……あ、あのさ!」

「どうかしたか?」

「手……握ってもいいかな?」

「あ、あぁ、もちろんだ」

「ありがとっ! えへへっ……なんだか、こうして賑やかなところを2人で歩いてると夏祭りを思い出すね」

「確かにそうだな。あの時も楽しかったけど、今も成実と2人で回れて嬉しいし凄い楽しいよ」

「うん、私もだよ!」


 そのまま2人で短い間だが、文化祭を周りに行く。



「お化け屋敷ー、今なら待ち時間ほぼ無しだよー」

「縁日やってます! みんな是非来て! 楽しいよ!」

「トランプゲームやりませんか〜? 勝った方には景品ありますよ〜」


「凄い人だな……」

「うん……それに呼び込みも凄いね……」

「あぁ。こんなに賑わうものなんだな、文化祭って」

「あれ? 去年はお休みしてたの?」

「あー、いや、そんなに積極的に参加してなかったからあんまり印象に残ってないんだよな」

「そっか〜……ねぇ、今年の文化祭は楽しい?」

「……はは、もちろんだ。それに、楽しくなかったらここまで真面目に働いてないよ」

「そっか! あ、あそこの模擬店面白そうじゃない? 行ってみようよ!」

「あぁ、行こうか!」


 隣にいる彼女、晃や白雪、クラスの松村や他の皆も。この皆で、全員一緒だったから楽しく感じた、などというのは些か浮かれてるだろうか。

 こう自分の中で考えていると、前と比べて随分と自分が変わったと思う。


 とはいえ、もちろん彼女に言ったことは事実だし、午後からの仕事も真面目にやるつもりだ。

 朝、琉璃には心配をかけてしまったが、今日1日くらいなら多少体に鞭を打てば問題なく働けると思う。


 そんなことを考えながら、楽しそうに笑いながら手を引く彼女の後をついて行く。



 そうして文化祭を心から満喫し、昼時も近いので昼食をどこで食べようかと移動していると、校門から入って近くの屋台にいたためか中学生くらいだと思わしき少女から声をかけられる。


「あの、すみません……」

「あ、はい! なんですかっ?」


 成実がそれに反応し、返事をする。


「この教室を探してるんですけど、どこから行けばいいか分かりますか……?」


 そう言って少女が文化祭のパンフレットを指差すところを見ると、どうやらうちのクラスへのお客さんだったらしい。

 確かにこの学校にはいくつかの校舎があるので初めてならわかりにくく感じるのかもしれない。


「ここからなら、左の方に真っ直ぐ進んだ所にある入口から入って、階段を2階に登ったら看板があるから分かると思うよ!」

「なるほどです……ありがとうございました!」

「ううん、気にしないで!」


 そうしてその少女はペコペコと頭を下げながら成実の伝えた方へと向かっていった。


「ふふっ、来年の受験生かな?」

「そうかもな。というか説明を全部任せちゃって悪いな」

「あっ、ううん、大丈夫だよっ。それよりもお昼食べよ?」

「あぁ、そうだな」


 ちなみに昼食の食べに妹のクラスにも行ってみようとしたが、見るからに混んでいて時間に間に合わなくなりそうだったため断念した。



 そして今は少し校舎から離れた、いい木蔭のあるベンチで昼食を食べている。外にも屋台があったのでそこでいくつか購入して来たのだ。


「……ふぅ、ごちそうさまでしたっ」

「ごちそうさまでした。……そろそろ時間だしゴミを捨てたら戻ろうか」

「うん、そうだね」


 そうして俺たちは立ち上がり、ゴミを捨てに歩こうとした。しかし彼女が先を歩く中、俺の視界は暗転して……



――バタッ



「……ぇ?

――ッ!? 友也くん!! 大丈夫!?」








 えー、まず。書き途中のもの1話分ほど間違って消しちゃいまして、昨日投稿しようと思ってたのが今日になりました。思ったよりも誤削除って心にくる……



 そういえばなのですが、書いててタイトルからの乖離が酷くないか?などと思い始めている自分がいまして。書きたいことをただただ山盛りに盛り込んでますからなぁ……

 タイトルに関しまして、もし宜しければ変えた方が良いとか、こんなのはどう?など、忌憚のないご意見を頂けたら幸いです。



 それでは、今回もありがとうございました。次回は2/9の水曜日、時間はいつもと同じくらいの予定です。また次回もお会いしましょう〜

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― 新着の感想 ―
[一言] サ終がきっかけなのは何も間違ってないし特に違和感は感じない…かなぁ
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